被災地~南三陸町2~

なぜか、不意に思った。
「瓦礫とかゴミとか言っちゃいけない。」
だってそこにあるものは震災前まで
普通に使っていた生活感のあるものばかりなんです。
ボールペンがささったエプロン。
ベルトが付いてるズボン。
探し物をしてた数人の方の会話が聞こえた。
「家があった場所には自分のものは何もね~な。」
「最初は津波に流されたから山側に探しに行ったんけど。」
「けど、津波のあとは激しい引き潮になったんでもう、探しようがね~な。」
「海の沖の方に行っちまったなぁ。」
その人たちは
家の基礎しか残っていない所に腰掛けて
途切れ途切れの会話に
煙草を吸いながら遠くを眺めていた。
到着した時間が遅かったのか、
南三陸町にはその数人の方以外、誰もいなかった。
日が暮れると辺りは真っ暗になります。
何の音も聞こえませんが
耳を澄ますと
微かに歌を歌う声が聞こえてきました。
音を遮る建物がないため、
風に乗って聞こえるんでしょうか。










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