園長挨拶

園長挨拶

 平素より、当園を様々な側面からご支援いただいておりますことに心より感謝申し上げます。
 
 房総双葉学園は設立より60余年、子どもたちの人権を護る砦としてその暮らしを支え続けてまいりました。技術革新が進み物質的には豊かな時代になりましたが、心はどうでしょうか。残念ながら、子どもたちの尊厳が損なわれる事態が無くなることはありません。この世に存在価値のない子どもはだれ一人としていません。みんなかけがえのない命なのです。私たち房総双葉学園と児童家庭支援センターふたばの全職員は、入所している子どもたちはもとより地域にも働きかけ、全ての子どもたちの尊厳が護られる社会を目指し、人権擁護機関としての使命を果たしていきたいと考えています。
 
 さて、当園は里親さんが子どもたちの自立支援を目的に立ち上げた全国でも珍しい施設です(あゆみをご参照ください)。当時の里親さんが抱えていた課題解決に向けて協働した、その意志の集合体であったともいえましょう。時代は遷り変わり、今や日本の社会的養護は施設から里親や養子縁組優先へと大改革に踏み切ろうとしています。当園にとっては一見逆戻りするような流れに見えるかもしれません。しかし、私たちはこれを新たな潮流を生み出すステップアップの段階に入ったと前向きに捉えています。これからは里親か施設か、家庭か施設かといった既存の枠組みにとらわれた考え方ではなく、融和的な新しい社会的養護の形を大胆な発想で創造していきたいと考えています。現代社会においては、家庭の孤立化によって子育て文化の継承が難しくなってきていると言われています。そうした中、児童養護施設がこれまで積み重ねてきた知恵や経験は、地域の貴重な資源になるはずです。里親さんと手を携え、そして地域の家庭に手を差し伸べながら、みんなで力を合わせて子育てができる地域づくりに向け、その一翼を担うことができれば幸いです。
 
 最後に、社会的養護を利用している子どもたちの権利保障は、私たちや行政の力だけでは達成できません。幸いにも当園は、私たちの抱える課題に対して知恵と手を貸して下さる大変心強いサポーターに恵まれております。今後も引き続き私たちの活動に関心を寄せていただき、お力をお貸しいただけますようお願い申し上げ、挨拶とさせていただきます。

施設長 柴田敬道

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