地球では、草食動物が出現してきた4億年前から、草食の生物と植物との生存競争
が起こっています。 草食の生き物のなかで、最も注目すべき生き物は昆虫です。
虫の攻撃に立ち向かい、被害に対処するため植物は段階的に防衛作戦を展開しています。
植物と草食の生き物は互いに対抗しながら進化を続けていき、お互いの事を良く知るライバル
同志になってきました。
最近、「総合的病害虫管理」と言う言葉が出てきましたが、作物の栽培に置いて、殺虫剤の
使用を控える代わりに作物を食べる害虫の天敵を畑に導入して、植物の病害虫管理しています。
これは、常に害虫と天敵の個体数のバランスを取る必要があるため、管理が難しいとはいえ、
実に賢いやり方ですね。 この害虫駆除法の基本コンセプトが、「敵の敵は味方」です。
たくさんの植物が身を守るために、これと同じ戦略を使っています。植物は揮発性物質を放出して
敵の敵を援軍として呼び寄せています。そして、助けてもらったお返しに報酬を与えています。
例を挙げてみましょう。 ライ豆は大食のダニ(ナミハダニ)から攻撃を受けると揮発性物質を
放ちます。これに引きつけられて別の種類のダニがやってきます。それは肉食のダニ(チリカブリダニ)
です。このダニは、草食のナミハダニを餌としていて、ライ豆についたナミハダニを瞬時に食べつくしてくれます。
ライ豆は、だれから攻撃されているかを識別して、その攻撃から逃げるために、敵の天敵を呼び寄せる
事が出来たのです。
植物の優れた能力と、それを基にした植物と動物の見事な協力関係を築いています。