20.植物の根の先端(根端)は動物の脳に匹敵する機能を持っている(ダーウイン)

動物にとって、脳がなければ知的生物ではありえません。 しかし、脳は、本当に知性の唯一の

「生産の場」でしょうか。 もし、体を欠いた時にも、脳は完全に知的でしょうか。 それとも、単なる

細胞と同じようにみなされるのでしょうか。 脳だけでは、間違いなく知性が生まれません。

脳は魔法の器官ではなく、単独では何も作り出す事は出来ません。

 植物の場合はどうでしょうか。 植物の場合は、認知と身体機能は切り離されていませんので、

個々の細胞すべてと結びついています。 植物は進化を通じて、植物の個々の器官に機能を

集中させずに、体全体に機能を分散させた構造の体を作り上げています。植物は体の各部分を

失っても、個体の生存が危険にさらされることがないように、根本的に異なった構造を取っています。

 植物は、肺、肝臓、胃、すい臓、腎臓も持ちません。それでも、それらの器官が動物に置いて

果たしている機能すべてを、植物もきちんと果たすことが出来ます。

 それなら、どうして、脳が無いからと言って、植物に知性があってはいけないと言えるのでしょうか。

 

 ダーウインは、根には、行動を決定する機能と伸張の向きを定める機能があることに気づいていました。

現在、根の先端(根端)に、地中での根の成長を正しい方向に導く機能と、水、酸素、栄養分を探して

土の中を探検する機能のあることは一般に知られています。しかし、根端は地中を探検し、根を正しい

方向に導きながら、同時に、より複雑な調整作業もしなければなりません。 酸素、ミネラル、栄養分は

地中のさまざまな場所にありますが、それぞれ遠く離れた場所に分散していることもあります。

従って、根はたえず重要な決定をくださなければなりません。 右に伸びて、リンにたどり着くべきか、

それとも左に伸びていつも不足している窒素を見つけるべきか、下に伸びて水ウィ探すべきか、それとも

上に伸びて、きれいな空気で呼吸すべきか、対立する要求を上手く調整し、行動を決定するにはどうすれば

良いか、さらに、根が伸びていく際に、度々、障害物を迂回したり、敵に出くわして身をかわしたり、防衛したり

しなければなりません。 一本の根にとっての必要性だけではなく、植物の個体全体にとって何が必要なのか

と言うことも考慮に入れなければなりません。 もしかすると、一本の根の必要性と植物全体の必要性が

食い違うこともあるでしょう。

 根端の長さはわずか数十分の一ミリから二ミリですが、根の伸びる部分であり、活発に活動している部分です。

そして、優れた感覚能力を持ち、さらには活動電位を基盤にした非常に強力な電気活動を行っています。

すなわち、動物の脳に置いてニューロンが用いているのと非常によく似た電気信号を作り出しています。

あらゆる植物は数えきれないほどの根端を持っています。 非常に小さい植物でも、一個体千五百万以上の

根端があります。各根端は、重力、温度、湿度、磁場、光、圧力、化学物質、有毒物質(重金属など)音の振動、

酸素、二酸化炭素の有無などの計測をしています。根端はこの様な変数をたえず記録し、植物の各部分の

要求と個体全体の要求を考慮に入れて計算を行い、その結果に応じて、根を伸ばしていきます。

 あらゆる根端は、まさに「データー処理センター」です。 しかも、単独で動いているのではなく、植物一個体の

根系を構成する他の無数の根端とネットワークを築いているのです。

 根端は、動物の脳に似た機能を持っていると思いませんか。

 

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