8.植物内部のコミュニケーションの取り方

植物は20の感覚で、周囲の環境の情報を集めて、自分が今、どのような状況に置かれているかを

認識しています。 具体的には、根が「地中に水がない」と感知したり、葉が「昆虫から攻撃を受けている」

気づいた時に、その情報を植物の他の部分に伝えなければ生存の危機に直面する。この様な事態に植物は

どのようにコミュニカーションヲ取り、対応しているのでしょうか。

 ヒトの場合は、何かに足をぶつけて痛みを感じるのは、足と脳の間のコミュニカーションによるもので、

電気信号が神経の伝達に関与しています。

 植物の根から届けられる情報や葉から届いた情報は、植物全体にとってなくてはならないもので、

生き延びるために、急いで伝えなければなりません。しかし、神経がありませんからどのように伝達しているのでしょうか?

 植物も体のある部分で得た情報を別の部分に伝えるために、電気信号、水、化学物質を信号として使っています。

短い距離の場合、電気信号は細胞壁に開いた小さい穴をとうして、一つの細胞から別の細胞へと伝えられています。

この現象を「原形質連絡」と言われています。長い距離の場合は、主に「維管束系」が使用されます。植物には心臓が

ありませんが、循環器形(維管束系)を持っています。植物は低いところから高いところへ(導管部)、高いところから

低いところへ(師管部)液体を運ぶ循環装置を持っています。導管部は、水と無機塩類を根から葉へと運ぶための

管です。師管部は光合成によって作られた糖質を葉から果実に、または葉から根に運ぶ管です。

 根が吸収した水分は、葉の蒸散作用によって大部分が失われてしまいますので、絶えず補給しなければなりません。

光合成で作られた糖質は、植物の主なエネルギー源ですから、製造工場(葉緑体)から体内のすべての場所に、休みなく

運び続けなければなりません。この様な維管束系をとうして、電気信号はかなりのスピードで循環しています。

地面の水分量が足りない、あるいは、充分にあるといった情報をもとに、葉は適切な行動をとることが出来ます。

 葉の表面にある気孔は、植物の外部と内部とをつないでいる小さな開口部で、我々の皮膚の穴に似ています。

各気孔は二つの「孔辺細胞」によって管理されています。この孔辺細胞は、植物の生きている場所の環境、すなわち、

水分や光の状況に応じて気候の廃兵に関与しています。気孔の仕事は、光合成に必要な二酸化炭素を取り入れるために

植物は少なくとも太陽が出ている時間帯は開けたままにしておきたいが、気孔が開いていると蒸散によって大量の水分が

失われることになります。植物の体の要求に対して上手くバランスを保つことが必要です。大量の水分を失おうとも、気孔を

開けて生きるために必要な糖類を光合成によって作り出すべきか、光合成を我慢して必要な水分を保つために気孔を

閉じるべきか、大変難しい問題に直面していますが、植物はどのような基準で判断しているか不明ですが、両方の

バランスを取り、正しい決定を下すことが出来ます。昼下がりの最も暑い時間帯には、最高の光合成をおこなえる

可能性を捨てて、気孔を閉じて水分が減り過ぎないようにしています。この様なスピードを必要とする情報は

電子信号で葉に届いて葉は気孔を閉じます。また、速くて必要不可欠な電気信号と一緒に、化学物質(植物ホルモン)

の信号も送られます。

  1 comment for “8.植物内部のコミュニケーションの取り方

  1. オイッチニ
    2016年3月3日 at 7:35 PM

    始めまして、
    植物好きのオイッチニです。
    何となく剪定をするときに感じていた事を、はっきりと解説して頂いて
    とても参考になりました。
    これからも、いろいろ教えてください、期待しています。

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