浦安 液状化での被災住宅の詳細調査の必要性

 久しぶりの更新です。
目先の仕事に追われ、気が付いたら5月。。
またまた長文のつれづれ想いですが・・・

(微妙に左手奥にむかって傾いている低層住宅)
浦安では被災住宅=液状化による傾いた住宅の救済、
復旧工事などについて、情報や意見が連日飛び交っているようです。
 被災され、傾いた住まいに住んでおられる方にすれば、
一日でも早く直したい、この気持ち悪いカンジをなんとかしてほしい・・・
また一方で、救済を早くしてあげたい、と思う誠実な会社などと
共に、ビジネスチャンス!と言わんばかりに群がる様々な工事会社・・・ 
被災地である浦安の住宅街の住民の方々は焦りや不安、迷いなど
様々な想いで一杯のことと思います。。。
浦安市では、被災調査の一次調査は終わり、5月初めから
各戸に罹災証明書を発行していき、不服申し立てのあった住戸について
二次調査を行っていくそうです。 
一次調査が外観からのみの判定で、二次調査になって初めて屋内の
傾きなど詳細に渡って調べるとのこと。 
 その結果判定により、支援金などの交付の有無が決まる。。。
ただ、それら調査はあくまで判定のためのものなので、既存建物の
基礎がベタ基礎とか、地盤改良したかどうか、なんてのは、調査結果と
して残らない。。。
一方、今回の液状化は類を見ない規模、などと言われ、多くの学者さん方が
浦安の被災地の調査に乗り出しており、きっと、もう少ししたら、
様々な見解報告(っといっても一様な?!)が出されることなんでしょう。。
 既に業界内でのレポートなどでは、「浦安のような軟弱地盤に
戸建て住宅を建てるなんて、驚きを隠せない!」なあんて、
浦安に戸建て住宅が建っていることを初めて知ったような学者の方々の
発言も有り・・・
 今回の傾いてしまった住宅と、液状化の軟弱地盤とを見ていくと、
地盤を堅牢にしたり杭を打ったりジャッキアップしたりといった地盤を
なんとかする、傾きを是正する、ということに策は尽きる、という結論に
なりそうですが・・・
 私は被災地を見て回り、地盤の状態が同じなのに、なぜ傾きが住戸に
よって異なるのか、傾きの程度に差が出来るのか、区画により傾き方向など
傾向があるようだ、などなど、
詳細に調査してデータ化して残し、次のために活用できるようにしないと
アカンのんとちゃうかな、と、思ったりするのでした。。。
今回の液状化により傾いた住宅を見て、建築専門家から、
「日本の建築基準法はたいしたもんだ。地盤が悪かったから傾いたけれど
建物自体の損傷は少ない。建物の安全性を担保する、基準法が実証された」
とのこと。確かにそうなんですが~ 
人命優先の基準法(すぐに倒壊せず、人命を損傷させない)であって、
財産保全の基準法まででは無い、ってこと。。。 
しかしながら、建物の傾きなどの被害を少しでも軽微に済ませられる
策は、無いのだろうか・・・ 
木造住宅は、軟弱地盤では建てられないのか??
(木造のほうが、傾いてしまった場合のジャッキアップなどはRC造よりも
有利ではあるが・・・)
地盤を堅牢にしたり、杭を打つ、ことしか=地盤改良することでしか、
これからの「地震に強い家」は建てられないのだろうか?
地盤改良しても、「絶対大丈夫」という保障が無い限り、建物自身での
傾きに対する策は講じられないのだろうか?? 
 
 木造住宅の戸建てはやめて、軟弱地盤では、マンションのような
大型建築物で杭を支持地盤まで45mも打ったものしか、建てられ
ないのか・・・ 杭が折れたら?マンションなら、液状化には対応できても、
大きい直下型地震がきても大丈夫、なんて保障は・・・
震度7クラスまでは、建築基準法で対応していても、今回のような、
「想定外」の地震がきたら、大きい小さいに関係なく何かしら壊れてしまう・・・
絶対なんて無いんだから・・・
 だから、大きい建物にしていけば大丈夫、なんて論理が、私はコワイ・・・
もしかしたら、この新浦安のような軟弱地盤では、このような選択肢に
なっていくのかも知れないが・・・
小さい住宅、木造住宅でも、少しでも地震に強い家、今回でいえば、
傾きを少なく抑えられるような家に、設計できないものか・・・
 詳細調査をやったほうがいいと思うのは、そういう木造はダメだと
レッテルを貼られる前に、現状の詳細被災状況を、既存履歴と共に、
データ集約し、傾きの度合いが、地盤改良の有無、基礎仕様の差、
建物シルエットやその他要因は何か、を探り、つかんでおくことが
必要なのではないか・・・
っと思いながら、そんな調査は私個人ではとうてい出来ず・・・(泣)
どうやって動いていいかもいまいちわからず・・・ 
今までは、会社所属での設計士だったので、そういうことも会社を通して
自然と出来てきたというか・・・今回は単なる、一設計士。。
無力感に打ちのめされ、トホホ・・・である。。。
(周りを動かしていく力なんぞ、私にはかいもく無いしな~ まあ地道に
やっていくしかないわけですが・・・)
 もちろん、これら調査をどこか大学や研究機関がやっていればいいのだか、
液状化に注目した地質系の調査は多くやっているようだが、建物からの
被災に着目した調査って??・・・
被災度調査でやっている、と思われがちだが、傾き度合いを調べたり、
ひび割れなど、あくまで「被災度」を調べる。。
建物自体の特性というか設計内容との照合などない・・・
 
 実際、改修工事を行う場合などは、建物履歴を調べたり、傾きなど見て、
総合的にデータは集めるが、そのデータは、各工事会社・住宅会社のもの。。
トータルで新浦安の傾き住宅調査のデータが残るのか、っていうと、
心もとない・・・ 
基準法や各設計士へのスキルへのフィードバック、なんて無さそうだ・・・ 
なんとなく、のうわさではなく、きちんとしたデータに基づき、
今後は、軟弱地盤では、矩形シルエット、とか、ベタ基礎で仕様詳細は
これこれがベター、とか 出てくれば、設計者たちも迷わないよね・・・
浦安市に掛け合う、という手も考えられるが、今回の場合、詳細調査なんて
浦安市としてはやりたくないだろう。。。自分の首を絞めるというか、
これ以上不利なデータは集めたくない、のが本音だろうし・・・
 私が所属する千葉県建築士会市川支部は、浦安市川エリアが管轄で
主に無料相談会や耐震診断の無料相談会、などを市の依頼を受けて行う
活動をしており、(良質建築の普及促進が目的・・・) 今回の被災に
関しても、市からの協力応援依頼を受けて、被災調査に協力したり、と
いった活動を行っている。 
無料相談会などは、建築事務所協会と建築士会に市が依頼して双方で
協力して行っており、その依頼による今年度のスケジュールももう既に
決まっておるようで、見ると、市川市での開催が多数・・・ 浦安市としては
必要としていないのか・・・サビシイ・・・ 自治会の要請があれば
出張相談会などもやるそうなんですが・・・それも無い?!
(たぶん市川支部、って看板なので、浦安のことはどこでやってるの?
ってのが、一般の方々の思いだとは思うのだが))
 まあ、こういう団体は、皆、それぞれが仕事をしながら所属する
横のつながりのためのもので、そこでの活動はどうしても自身の仕事の
次に、と優先度は低くなるのは致し方無く・・・
 事務所協会と違って建築士会に入ってるメンバーは、個人の建築士なので、
設計事務所の人もいれば工務店、住宅会社、また、経営者・代表者もいれば
従業員もいるわけで、 そういう人たちが集まって、何か、被災地のために、
と思っても、想いは強くても、なかなか足並みは揃いづらい・・・
 既に、昔のお客さんから改修工事の相談が来ていたりして、ほんと、
目の前の工事、仕事に忙殺されているのが、各建築士の状況と言えるかも・・・
 
 なので、私のように、子育てしながらの、平日日中と夜中に仕事する
者からすれば、直接の傾き直し工事には出向いていきにくいけど、
(現に今の仕事は直接お客さん(施主)とやり取りせず、設計事務所や
住宅会社の設計サポート業務や提案業務を主にしてて、ちょこっと相談
コンサルをやってるので・・・ 土日に自由に動けないから仕方ないねんけどね) 
 バックヤード的な、こういう調査のようなことは、今の私には、
出来るんとちゃうかな~と思うから、やる必要性を他の人よりも強く
感じてるんだろうな~ 
 それに、関西に居て阪神大震災とその後の設計へのフィードバック、
基準法改定まで、など、木造がダメだと言われながら、耐震設計できるような
仕様規定まで出来ていったのを肌身で感じてるので、 
今回の震災で、木造はダメだ、なんてことで、設計強化につながらなかったと
したら、無念でならん、のだ。。。どうするべ。。。
まあ、どこでどんな調査をしてるのか、調べたいんだけどね。。
そこで私が想ってる調査が行われていたら、私も納得できるんだけど・・・
どなたか情報あれば、ぜひ教えて頂きたい所存です。。 
自分で動きだしてもいいんだけど、個人情報うんぬんとかで
被災調査などの基礎データすら提供してもらえないし(当たり前ですが!)
やっぱし、こういう調査って難しいのかな・・・ 
あんまし調査の必要性がないのか・・・ 私はとってもあると思うんだけど。。
結果はおんなじでも、詳細データでは傾向って、予想以外にも
いろいろ出てくると思うねんけどね・・・
(傾きを直す是正工事は緊急性・重要性はもちろん高く、こういった調査は
緊急性も重要性も高くはないけど、しなくていい、ことでないと思うねん。。
緊急性もないっちゃあ無いけど、傾きを直してしまったら判らなくなるから、
工事前に調査する必要があるしね。。。)
直接的には被災者の支援・救済にはつながらないかも知れないけれど、
長い目で見た時に、この被災経験のことが、建築業界の発展の為に(大げさ?!)
つながっていくように思うのだけれど・・・ エゴかしら・・・
皆さんはどう思います??

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