3.植物は生き抜くために味覚を獲得しています。

 味覚は、動物と同じように植物でも臭覚と密接な関係があります。植物の味覚の感覚器は、栄養物として使われる化学物質を取り込む受容体の事を差します。
 植物の根はたえず土を味見して、硝酸塩、リン酸塩、カリウムといった「食欲をそそられる」栄養素を探しています。植物はミネラルが限られた場所にしかない時も、根は的確に見つけ出します。
 ミネラルがより多く集まっている場所では他の場所より多くの根が伸び、すべてのミネラルが吸収できるまで、どんどん伸びていきす。
 土壌には植物が求める栄養源がどこよりも豊富にあるため植物の味覚は根にあり、本能的に土のなかに栄養源を探しに行きます。
 しかし、食事の仕方が違う植物もたくさんいます。それが、「肉食植物」です。どうしてそんな肉食植物がいるのでしょうか。
 これもまた進化の過程に原因があります。この様な植物は、湿気の多い環境や沼地で進化した植物です。そのような場所には、窒素(生命に必要な要素で、タンパク質を構成する基本成分)が乏しいか利用できない場所であり、そこに生きる植物は、根や土に頼らない窒素摂取の仕組み作り上げなければなりませんでした。
 
 この問題を解決したのは、地上に出ている葉の形を変えて、葉を罠に変化させ、空飛ぶ小さな虫を捉えて殺すだけではなく葉の上で獲物を消化して、そこに含まれる養分を吸収するように進化してきました。例として、ハエトリグサは罠の形に変化した葉の上に、甘い香りのする糖分を分泌して、虫をおびき寄せる戦略を取ったのです。
 ハエトリグサは無駄にできるエネルギーはないため、葉に獲物が触れても、すぐに葉を閉じる事はなく、獲物が葉の真ん中まで入り込んでくるのを待ってから葉を閉じます。この死の罠は二枚の葉からなっていて、それぞれの内側には小さい毛が三本ずつ生えています。
 この毛が、葉を閉じる引き金として働きます。しかし、毛の一本に一度触れただけでは罠は作動しません。少なくとも二度触れる必要があり、しかも、二十秒以内にもう一度触れる必要があります。
 その時初めて、ハエトリグサは何か興味深いものが罠にかかったことを知り、葉を閉じます。
 捕まった虫はもがき、何度も毛に触れる事になり、その刺激によってハエトリグサはますます強烈に締め付け、虫が動かなくなって死ぬと、葉は消化酵素を分泌し始め、ほとんど完全にその虫を溶かして栄養素を吸収しています。

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