2. 植物のコミュニケーションは臭覚で取っているようです。

 植物は本当に鼻を持っているのでしょうか。人間と同じ感覚器官があると言っているのではありません。人間は鼻だけで臭いを嗅いでいるのに対して、植物は身体全体を使って臭いを感じる事が出来ます。
植物は、根から葉に至るまで細胞の表面に空気中を漂っている物質(揮発性物質)を捉える受容体があります。植物の臭覚は鍵(揮発性物質)と鍵穴(受容体)で説明されます。それぞれの鍵穴は適切な鍵(揮発性物質)が差し込まれることで開きます。鍵が開くことによって、臭覚情報を作り出すメカニズムが始動します。
 でも、植物の生活で、臭覚は何の役に立つのでしょうか。植物は臭い、もっと正確に言うと、臭いの微粒子によって常に、周囲の環境から情報を得たり、植物同士や昆虫とのコミュニケーションを図っています。
 臭いは植物の「言葉」です。それぞれの臭いは、差し迫る危険の警告や、誘惑や拒絶のメッセージなどを伝えています。あらゆる植物で花を咲かせ、その種が子房で覆われている植物(被子植物)が特有のにおいを発して、花粉を運んでくれる昆虫とコミュニケーションを図っていることは以前から知られています。においは「プライベート・メッセージ」で決められた相手と話す目的を持っています。
 植物が放出する「ジャスモン酸メチル」が示すメッセージは、すでに明らかにされていて、植物がストレスにさらされた時に放つ臭い(化合物)で、「今日はぐわいが悪い」という明確なメッセージを伝えています。植物のストレスの原因は、他の生物、例えば、菌類、バクテリア、昆虫等、植物の健康状態を大きく乱す生き物や寒すぎる、暑すぎる、酸素が足りない、空気や土壌が塩分を含んでいたり、汚染されていたり等、何でもかまわないのですが、そんな時に植物は近くに生きている植物に、危険が迫っていることをリアルタイムで警告しています。目的は、基本的には植物自身の身を守る事にあります。
 警告を発する植物として有名な植物はトマトです。トマトは昆虫に襲われると数百メートルも離れた場所に生きている他の植物にも警告を届けられるほど大量の臭いを出します。

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