リフォームで耐震化を! その2

 
 私が、住まいの耐震改修を勧めるのには
理由があります。 
 ・ 人命を守る、家族を守る
 ・ 街を守る、地域を守る 
 
 阪神淡路大震災を真直で見てきて、建物が
アッという間に、潰れてしまい、原形をとどめていない
様は、言葉を失い、茫然自失 となります。
 建築が、自然の驚異にはいかに無力であるか、
と思い知らされる、価値観が180度変わってしまう
衝撃的な出来事でした。 
 いつもは住まい手へ心地良い場所を提供する、
心身共に拠りどころとなるはずの住まいが、
一瞬にして潰れて、住まい手にとって凶器となることは
末恐ろしいことです。。。
 
 寝ていた場所によって、家族が助かったり
誰かを失ってしまったりしたら、あなただったら
どうですか?耐えられますか? 
 耐震化していれば救われた命が数知れずあることを
もっともっと皆、自覚して行動するべきだと思うのです。
(そういう私も自分のこととなると、心もとないのですが・・・)
 
 阪神淡路大震災の震度7 がどの程度のものか、
知らない人の方が多いでしょう。
 耐震補強していない建物がどんなに脆いものか、
お知りになりたい方は、
  e-ディフェンス という研究機関が行っている
実物実験の映像をご覧になってみてください。
 有名なのは、2005年11月の建物を2棟並べて
耐震補強の有無で、倒壊にどの程度の差があるかを
調べた実験です。
 http://www.bosai.go.jp/hyogo/movie.html 
(ページの下の方に05年11月分が記載、
 クリックすると映像が見れます)
 実在する中古住宅を、実験施設の中に移設・
再現して、検証を行っています。
 この結果から、耐震補強、(法で定められた
施工方法・仕様など)は有効である、という
結果が実際に証明されているわけです。
 
 このコラムの最初に述べた、都道府県により
耐震改修の助成に前向きでない、といったところが
ある事に、私は怒りを覚えたのでした。
 家は財産の前に、人命尊重、人命保護の意識が
抜け落ちているのではないか、という点です。
 
 耐震補強をしても、地震の程度によっては、
家は半壊して住み続けることは難しい、という事に
なる場合もあるでしょう。 
地震の規模や揺れは、数値や理論だけで計れる
ような単純なものではなく、予想外の事が起きる
ものです。  だから、耐震補強している住宅でも、
場合によっては「軽傷」で済み、場合によっては
「重傷」になってしまって建替えを余儀なくさせられる
ケースも有り得るのです。 耐震診断の評点が
合格ラインに入っているからといって、完全に全てを
保証されたわけではありません。
 じゃあ建替えするのだったら、今は耐震改修は
しなくていい、というのは、当の住人が生きていて
初めて言える、行えることなのです。 
 そして、もし「軽傷」なら、家の再建への費用も
抑えられますし、内部の被害を少なくなるわけです。 
 なので、耐震化をどうしようか、と迷っておられる方が
いらっしゃったら、ぜひ一度ご検討してみてはどうでしょうか?
 もう一つ、 耐震化が街を守る、地域を守る という事。
 地震で家が壊れてしまうと、そこに住み続けることは
困難となり、その土地を離れてしまう事は、阪神大震災の
後の復興状況を見聞きしてもお分かりでしょう。
 その地域に住む住人達の家々が耐震改修を行っていて
住み続けることが出来れば、街は活気を取り戻し、
復興も早いのです。 
 私はこちら関東に転勤で越してくる前は、兵庫県の芦屋に
少しだけ住んでいました。 
 芦屋と聞くと、高級住宅街(今風にいうとセレブな街?!)と
いうイメージですが、震災では神戸と同様、大変な被害を
受けたようでした。 私達はそういうことをなんとなくしか
分かっていないまま、利便性と静寂!?を求めた結果が
芦屋だっただけなのです。。。
 当初のイメージ通り?!高級な街並みやセレブな雰囲気は
昔、バブリーな頃に散策に何度も訪れた時と変わらない佇まい。
 いや、その頃よりも格段に街がキレイに、道路も歩道も広く
整備されていたのでした。 
 そう、地震で壊滅状態だったところから復興した結果だった
のです。 それがわかった時、「キレイな街」にびっくりした私は
とても複雑な気持ちになりました。 全部壊れてしまったからこそ
キレイになっている事、歴史の無い人工的に短期間で再生
されたキレイさに、果たして手放しで喜んでいいのだろうか。
 芦屋がキレイな街ということで、新たに転居してくる人も多い
ようです。マンションも沢山建ち、キレイな街並みを後押し
しているように見えます。。。 
 
 一方で、住宅街の中には、空き地も目立ちます。 
建替えして新築になった家が比較的多く、資金が潤沢にあった
ことが覗えます。 一方、建替え資金の問題か、又は他の
様々な理由があってのことでしょうが、空き家のまま、もしくは
そのうちに更地になって売り出されてる土地があちこちにあり、
歯抜けのような状態。  またそれらの土地も、一区画が大きく、
売り出しても桁が変わる高額。 
 そりゃ、誰も買わんやろ〜 って金額。
(不動産のチラシを見てると、ヨソでは見られないような
住宅や土地の売買広告で、それはそれで面白かった)
 
 そのうち、大きな区画は細切れにされ、数戸の建売住宅が。
街並みが変わってしまいますが、住人が増えるのは
いいことですよね。 芦屋だから、小さい家でも、多少
条件が悪くても、売れるんですね。 芦屋というネームバリュー
や、私達が求めたように、利便性と静寂を、と転居してくる人達は
多いと思います。  だから街は、活気を取り戻すことが
出来るんですけど、 これがどの街にも当てはまるか、
というと難しいと思いました。
 芦屋にいた時に、唖然としたことがもうひとつ。
確か、市が主催するお祭りか何かがあった時です。
ポスターや広報などでパレードが「**本通り」(だったと
思う)であります、とあちこちでお知らせしているんです。
 でも、それがどこかわからない。転居時にもらった芦屋市の
地図を広げてもイマイチわからない。 子どもに見せたいと
いう想いがあり、確か市役所かどこかに問合せしたんです。
 
 そしたら、対応した人からは「**本通り」というのは、
昔、震災前にはそこが商店街でメインストリートだったんです、と。
 今は全くその面影は無く・・・ 確かにその通りは数軒おきに
お店はこじんまりと開いてはいるけど、アーケードなんてのは
無く、道路も歩道も拡張され、交通量の割りに広すぎる道に
なっていたのでした。 
 私は、それを聞いて、またしてもビックリ。 そうか・・・・
地元の人は未だにその通りを「**本通り」と呼ぶそうで、
よそから新参者の私達にはわからなかったのです。
(かと言って、通りの名前も変えてしまっては、本当に
跡形もなく何も残らないので、そうして残しているのでしょう)
なんだか、ちょっと哀しくなる出来事でした。
 なので、街を守る、地域を守る、歴史を残す、という意味でも
行政は積極的に耐震化に取り組むべきだし、 一つ一つの
住まいを耐震化することで、皆で街を守る ということに
繋がっていく のではないかと思うのですが、
皆さんはどう思いますか?? 
 ハイチの大地震をTVで見るにつけ、何か出来ることは
ないかと想う、心痛むこの頃であります。。。。
 いつもながら長文で、恐縮です。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です