住まい作りのポイント -玄関廻り- その1

 住まいを新築、リフォームなどしていく上で
それぞれの空間・ゾーンでの、住まい作りのポイントを
私の今までの設計に携わってきた経験を踏まえ、
オススメや押さえておくべきポイントなどをご紹介。
 玄関廻り、玄関扉の内側の空間、について
お話していきます。  
玄関ドアについては外観のところで詳しくお話し予定。
玄関扉を入ったところの空間というと、 靴を脱ぐ土間
昔でいうところの三和土(たたき)のスペース。
それと、靴を脱いで上がったところのホールのスペース。
 
 これらのスペースをまとめて玄関廻り、と今回は
呼ぶことにします。
 これらのスペース、 間取りで気をつけたい点は
 ・広さ  ・明るさ  ・収納 
・広さ は、もちろん広い方がいいわけですが、
 生活する場ではないこれらのスペースは、ついつい
 後回しにされ、狭いスペースしか確保できない、ということが
 往々にしてあります。 
  大きな空間は贅沢でゴージャスな雰囲気を演出出来るので、
 邸宅などでは、玄関廻りのスペースを大きく採る事は、必須と
 なっているくらいですよね。 
  私ん家は庶民だから狭くていいわ、っておっしゃる方も、
 ある程度の空間は確保した方がいい、と私は思います。
  リフォームでこれらのスペースを広げたい、といったお客様は
 多く、 実生活で、玄関廻りのスペースが小さい為に不便、
 という方は多いですよね。 
  特に、 介護をされているご家庭、 また、
 来客の多いご家庭(大人同士だけでなく、子供同士も) 
 趣味がアウトドアや外回り関係(収納スペースの確保で済めば
 いいですが)の家庭
 家族数が多い、 子育て世代(ベビーカーなど)、
 ご年配の家族(靴の脱ぎ履きなど) 
 宅配など利用され荷物やストッカーを置くことが多いご家庭・・・
  もう少しだけでも、スペースがあれば、とお思いのご家庭は
 多いはず。 上記にあてはまらないご家庭の方が少ないですし、
 ライフサイクルの中で、今は必要なくても、将来的に必要性が
 高まるのが、この玄関廻り、と言えるでしょう。
 ただ、むやみに広げられたら、とっくにしていますよね・・・・
それが出来ないから、皆さんお困りなわけで・・・
 ちょっとだけでも広さを確保する場合のポイントです。
広さを確保するのも、 上記に挙げた、それぞれのライフスタイルに
よって確保の仕方は異なってきます。 
・来客が多い、出入りする家族が多い、など人が一度に
 玄関に集まる頻度が高い場合は、やはり、間口を広げましょう
 ホールの幅のことです。 出来るだけ確保する為に
 上がり框のラインを斜めにとったり、L型に確保したり・・・
  土間の奥行きよりも間口方向がオススメです。 
 時々、廊下や縁側のように、とっても横長の玄関スペースの
 事例がありますが、そういうのもイイですね。
・車椅子や介護などで介助が必要な場合も、出来れば
 間口=幅方向に広ければ、人が数人立ちやすいですね。
・広さの確保が、土間スペース・ホールスペースの両方で
 確保できなくても、どちらか一方だけでも広めに確保する
 ことは、比較的可能では? 間口が難しい場合でも、
 土間もしくはホールの広さだけでも、ある程度広いと
 格段に使い勝手は向上します。 
 上がり框の部分の幅は狭くとも、土間が広いと靴の
 脱ぎ履きもスツールに座ってなど可能になります。
  マンションなど廊下の幅だけしか間口が確保出来なくても、
 土間スペースを広くとったところならば、ゆとりある空間に
 なるでしょう。
・ホールを広くとるコツは、他の空間や動線と兼ねることです。
 例えば、 居室への出入口前のスペース、収納スペースの
 前の空間、 トイレや洗面への動線と兼ねる 等など
  2階への階段スペースと兼ねるのはよくやる手法ですね。
  特に新しい事ではなく、従来から使われている設計手法
 ですが、 その際にちょっと広げる、のではなく思い切って
 大きくとる、一見無駄と思われるぐらいのスペースが
 生活していく上では、使い勝手のいい、満足度の高い空間に
 なっていくのですね。 
  収納と絡めたスペース拡大は、後述で。
 新築のプランニングの際、 現在は広さが必要なくても、
納戸などを設けておいて、将来、収納よりも、実際使う
ホールや土間にリフォームして拡張できるようにするのも
一つの方法です。
 リフォームの場合、 玄関に隣接する他の空間をよそに
移して、玄関土間、又はホール側を広げるケースは多いです。
 思い切って、玄関位置を変えることによって広げたケースも
あります。 
 思い出す事例ですが、 介護を受けている奥様のご要望が
「自分の棺おけを玄関から出したい」 だったのです。 
その方は、自らの葬儀を想定し、 玄関に隣接する寝室に
安置した後、棺おけを出すのを、寝室からダイレクトに掃き出し
サッシから出るのではなく、やはり玄関から出たい、と。
その場合、寝室のドアを通って玄関ホールに出て、玄関扉を
開けて、門を出て行く動線を考えた場合、 2m強の箱物を
出すのに、水平移動では難しいことが明らかにわかりました。 
 引越しの荷物の場合は、縦横斜めなど通るためには色々
しますが、さすがに棺おけの場合は、そうはいきませんよね。。
 お元気そうなその方とご主人とお話しながら、 扉の位置や
ちょっとした工夫を重ねて、 そんなに広くなかった玄関廻りが
随分と広く感じる空間に変わり、 奥様のご要望も難なくクリア。
ご満足頂ける住まいとなりました。 実際にそのご要望が
実現されていないことを祈るばかりですが・・・・ 
 玄関は、外への、社会への出入口・・・ 広げることにより
外に行きたくなるような、生活が楽しくなるような、
そんなスペースとして、大切なものといえるのではないでしょうか。。
次回は、明るさ、収納について・・・ 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です