住宅資金を支払ったのに、工事会社が倒産して
家が建たず、住宅ローンだけが残った・・・
こんなニュースがあちこちで流れています。 先日
NHKのクローズアップ現代でも、取り上げていました。
富士ハウスやアーバンエステートなどで注文住宅を
契約し、着工時には7〜8割程の支払いをしてしまっている。
会社は倒産し、住宅ローンだけが残る。 憤る建築主・・・
朝日新聞ニュース
2月ごろからのニュースを見てて、私は当初、お金がある人が
支払ってしまった悲劇か・・・ と、ただただ残念に思っていました。
ただ今回、住宅ローンが残る! と! 何かおかしいのでは?!
私の知る限りの知識での感想などを書きたいと思います。
私がこの業界に入って後に、バブルの後の不況時の頃から、
業界内で言われていたのは、支払いすぎるな! 出来高での
支払いは鉄則!だったように思います。
それは、建築主が会社に払うのも、会社が下請けに、その下が
職人達に・・・どの場合もです。 それらを支払いすぎた途端、
相手がトンズラする事はよくある話・・・ 特に年末や3月末、そしてその
後の1ヶ月ほどは特に要注意なのだ・・・
なので、リーマンショック以降、 年末や3月末などはどこが倒産
するのか、気になってました。。。
でもこんなことは一般の消費者=建築主たちは知らない・・・
でも、過払いになるのは、現金を持っている場合で、住宅ローンなど、
銀行からの融資を受ける場合は、銀行がチェックするのだから、
過払いはありえない。 私の知る限りではそう思ってました。
銀行は、完成した住宅を担保にして、建築主にお金を貸すのが
通常だと思います。 担保の物件が完成していないのに、お金を
貸す、ローンの決済をしてしまう仕組みがイマイチ理解出来ません。
銀行は、ローンを組む審査の過程の中で、建築物が違法でないか、
正しく、予定通りの物件がその場所に建っているか・建つのか、などの
確認を行います。 確認申請資料の提出を義務付けられたり、
完了検査をキチンと受けたかどうか、通ったかどうかを確認して、
ローンを下ろす=決済するハズ・・・
(そうでなければ、架空のローン申請で、住宅資金を受領する詐欺
行為が横行するから・・・ そんな事件もありました)
それに、建物の登記の設定を行う際に、抵当権などを設定し、
住宅ローンの銀行が第1抵当権に入るので、銀行は抵当に入る建物に
ついて、確認するのが当たり前。 実際は、現地の確認などイチイチ
出来ないので、土地家屋調査士が現場を確認して行う。
これを表示登記といい、これにより、確かローンの実行が出来るように
なるハズ・・・ 保存登記まで行って、初めて、その建物が建築主のものと
なるのですね。
なので、登記も終わっていない物件に、ましてや、まだ未着工の物件に
多額のローンを実行する、そんな銀行側の進め方に疑問を感じずには
いられません。
私が以前担当した事例で、 会社側は、中間金として、3割ほど、
(着工から含めると5割ほど)入金が条件となっていました。
ですが、住宅ローンを組んでいたため、銀行側は、最後に決済したい。
こちら側は中間金として、出来高分は支払ってほしい。 銀行側に
私から事情を説明して、銀行側にも現地を確認してもらって、
中間に**、引渡し時に**、という住宅ローンにしてもらった記憶が
あります。
その時の担当事例というのは、住みながらリフォームする、というもので、
リフォームするこちら側としては、担保が無い、わけですね。 住んでいるので、
何かあった時に、工事物件を押さえることも出来ませんし、この場合は
お金の立場的には、工事会社が一番弱いと言えます。
それで考えると、新築工事中の物件は、誰のものか?
注文住宅で、出来高支払いをしてると、その割合に応じて、建築主の
もの、かも知れません。 私の知る限り、工事中の物件に、火災保険を
かけるのは、工事会社なので、それから考えると、工事中は、工事会社の
所有物になります。 なので、ローンを工事中にもしくは工事前に決済する、
というのは、 工事会社に対して、ローンを実行したことになり、おかしな
話になってしまうような気がします。。。なんか変ですよね〜 ?!
本当に、どういう経緯で住宅ローンが実行されたのか・・・
富士ハウスは、民事再生法という、会社再建の道を選ばずに、
倒産の道を選んだ。 これも、筋書き通りのように思えてしまう。
住宅建築の仕事は、昔から、クレーム産業と呼ばれ、施主からの
クレームから逃れられない運命になっている。 住んでからも、
不具合が出たら工事会社に言って直してもらう。 施主からしたら
当たり前。 このアフターサービスやクレーム直しと呼ばれる工事に
大手のハウスメーカーも中小の工事会社も、多くの費用を費やしており、
それらの経費は、それなりの割合を占める。 どんなに丁寧に工事を
しても、不具合が生じる場合はあるので、
(車や家電と違って、工場で全てを作るわけではないのです。)
大手の会社は、それらを縮小することを諦め、反対にアフターサービスを
売りに、ある程度の費用を掛けることを前提に経営しているのが、
私の知るところです。
アフターサービスやクレーム直しなど、建築し引渡したら終わり、ではなく、
住み始めてからも、建築主と工事会社とはお付き合いは続く。
欠陥住宅など、粗悪住宅を作っては、倒産という形をとり、 建てた後は
知らん振り、という業者は多い。 欠陥住宅が取り沙汰された、90年代から、
業界内では『倒産して終わりにしてしまえば、後は知らない』 という業者が
欠陥住宅を作る、と言われていた。 工事会社の社長は、死んしまったわけ
でもないので、平気な顔して、新たに看板を掲げている、らしい・・・
なので、 工事を依頼する場合は、ある程度の年数=実績があるところに、
と言われるのは、そういう理由からでもある。
なので、富士ハウスは、アフターサービスなど、建てた後のメンテナンスに
多額の費用が発生することにも嫌気が差したのではないか・・・ もちろん
費用の捻出も出来なくなってきたから・・・
同じ業界で働くものとして、これらの事は、本当に胸が痛い・・・
法の不備も指摘されている。 本当に、早急な対策を望む。
ただ、以前から、何かあると、それなりの制度が出来てきたが、
多くは利用するには中途半端だったり、利用しにくかったり・・・
利用しにくくても、出来れれば利用してみるなど、消費者の方々にも
少しでも防衛して欲しい。
出来れば、設計監理や工事監理など、建築士が第3者となって間に入り
チェックするような制度を利用してほしいと思います。 多少お金が掛かっても、
保険と思って利用するようにすれば、 工事会社の方も、『悪さ』 はしないように
なるのではないかと思います。。 これも昔から言われてる事で、でも中々
利用されない。。もっとキチンと制度化して、簡単に利用できる仕組みを
つくる必要があると思います。。