16.植物には、脳がないことから知性がないのでしょうか?

 植物は、動物とちがい、生まれた場所から移動しない生き物であり、地面に根を張って生きています。

この様な状態で生き延びりために、植物は、動物と異なる方法で栄養を摂取し、繁殖し、世界に

広がっていけるように進化しています。さらに、外敵からの攻撃に対処するため部品が集まってできる

モジュール構造の体を作り上げています。 この構造のお蔭で、動物に体の一部を奪われても(草食動物

に葉や茎を食べられても)大した問題になりません。植物の体には、脳、心臓、肺、胃等の器官が存在しません。

植物がそのような器官をもっていたら、草食動物によって被害を受けたり、食べられたりした場合、個体の

生存が危険にさらされます。植物の体は、各部品が相互に作用し合い、しかも、ある条件下では、部品だけ

でも独立して生存できます。

 植物が人間と異なる構造をもっているせいで、私達は植物が異質で、自分とは無縁の存在であると思うように

なってしまいました。極端に言うと、植物が生きていることを忘れてしまいそうになります。 一方、ほとんどすべての

動物には、共通して、脳、心臓、口、肺、胃等があります。そのために、植物について様々な疑問が湧いてきます。

心臓がないから体液が循環しないのではないか? 口がないから、栄養摂取しないのではないか? 胃がないから

消化しないのではないか? どの機能も、それを制御して実行する個々の器官がなくても、きちんと植物に、それらの

機能がそなわっています。 では、植物には、脳がないから考えていないのでしょうか? この疑問から、植物には

知性がないという偏見が生まれてきます。 植物には、この特定の機能のための器官がないのに、どのようにして、

その機能を果たすことが出来るのでしょうか? しかし、植物は口がないのに栄養を摂取し、肺がないのに呼吸している。

人間と同じような感覚器官を持っていないのに、植物は見て、味わって、聞いて、コミュニケーションを取り、さらに、動くので

す。 それなら、どうして植物は思考しないと決めつけられるのでしょうか? この点について考える時に、「そもそも知性とは

何か?」を定義する必要があります。知性は、意味が広くて定義が難しい概念ですが、知性とは「問題を解決する能力であ

る」と定義しましょう。この様に定義して、植物の機能を見直すと、まさに、植物が直面するいろんな問題を見事に解決する

能力を持っていることが判ります。

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