目黒雅叙園 と 假屋崎省吾の華道展

  

 昨日、かねてから念願の!目黒雅叙園に、行ってきました\(^ ^)/
 假屋崎省吾(以下カリーで呼ばせてもらいます)のお花もいつかは見ておこうとは思ってはいたが、そちらは趣味ではなく・・・ あくまでも、あの目黒雅叙園の保存木造建築物が見たかったのら。 
 
 

 さかのぼること、20年以上前?!当時大学生の私は、
美術館巡りをするべく、京都からはるばる東京まで来て、
やっと目黒まで来たのに、閉鎖してて見れんかったのだ。
当時はネットもなく、数少ない情報から、どうも必見の建築物
らしい→見ておきたい、となってんけど、結局見れず・・・
社会人になって、出張で東京に来た時にも、見ようとチャレンジ
するも、 連絡先もオープンじゃなかったり、一般の人は
いつでも見れる、というわけではなかったり、と、お高く留まって
おったんだわ・・・ 
 ここ数年? カリーの展示会などしている、公開してる、という
のを小耳にはさみ、いつか見たいな〜という想いが、また
沸々と・・・ それが、今回は、転勤でこっち(千葉)でしょ〜!
テレビでカリーが宣伝してるのを見て、 こりゃ行かんとアカンわ〜
となった次第。。 チケットを格安でオークションでゲットし、いざ!
 目黒雅叙園も、そこに併設(昔は旅館として使用)された
木造建築(百段階段)も、 むっちゃ有名、ってほどでもない。
 ただ、その木造建築物は東京都指定有形文化財で、今は
保存建築物として、時々、公開される。 江戸時代の絢爛豪華な
装飾を引き継ぐような内部の様子は、 個人的趣味は別にして
一見の価値は有るといえよう。 
 1991年に新装オープンしたようで、だから前は見れんかった
のね、と納得したのでした。
 気になる人は、HPを見てくれい・・・
    
http://www.megurogajoen.co.jp/ 
 TOPページの中の、目黒雅叙園を知る、というサイトを見ると
 詳しい説明が・・・ちょっと重いけど・・・
 
 実際、見学して感じたのが、 思ったほど装飾華美、という
印象ではなく、お金は掛けているが、それ相応の見ごたえのある
重厚な造りで、上品な障壁画・天井画に埋め尽くされた空間で、
当時の超一流の職人・画家達を集めた様子がうかがえる。 
 百段階段という名の通り、階段を10〜20段上る毎に部屋があり
最後の7部屋目は『頂上の間』と名がついている。 
 目黒の傾斜地を利用して建てられていて、廊下のガラス戸から
垣間見ると、斜面になっているのがわかる。  
外観はどうなっているのか、屋根はどのようにかけられているのか、
など、興味は尽きない・・・ 
 各部屋は、前室(6〜12帖ほど)と本間(12帖〜24帖?もっと?)の
2部屋構成が多い。 ( 今回は、華道展なので、人はむっちゃ多くて、
混雑してるし、 本間全部を使ってカリーが活けていたりするので、
空間をゆっくり味わう、といったことは難しかった。。。)
 
 驚いたのは、どの部屋も大きいこと。 長押・鴨居の上の欄間部分は
通常1尺〜2尺程度だが、1間近くある。 約1600〜1800ミリぐらいある
ので、 そう、天井高が3m以上あり、高く、広く感じられるのだ。 
 その天井を格天井(それも意匠を施した)にして、各面に絵が描かれており、
欄間の部分にも絵が施され、 さらには襖戸にも絵・・・ ただ、天井も
欄間も一つの絵のサイズ・割付が大きいので、金箔塗りなどしてあっても
しつこくなく、ダイナミックな絵を描いても映える。 天井高があるから、
重くない・・・などなど、 さすが、ってカンジ でした。 
 
 鴨居というか、桁になってる、横架材も、長いもので四間半(8m以上)
一本もので、北山杉らしい・・・ うーーん、すごい!
 床の間もダイナミック、というか、豪華な造り。 床柱なんて、どの部屋のも
凄くて銘木を使ってる、というだけでなく、径が大きい、だけでなく 彫り物を
施してるものもあったりで、 スゴイの一言、でした。。。こんなの初めて見た。
 障子建具の意匠も凝っており、好きな人にはタマリマセン。
螺鈿細工がもっと多いかと思いきや、 ホテルから会場へ行くエレベーター
の内装と、 第1の間ぐらい。 この最初の間は、黒漆の長押に螺鈿が
施されている。 どの部屋もだけど、長押自体、高さ(見付けというか、幅と
いうか)があるので、そこに意匠を施すのには充分なのだ。 
 当日は曇り空で、室内もそんなには明るくなく、ホテル側で取り付けてある
照明だけで空間を見ると、 暗めで、金箔や螺鈿や黒漆は、鈍い光り方で、
ある意味、落ち着いて見える。 今回は、カリーの生け花を照らすので
スポットライトが使われ、少しは明るくなっているが、 部屋の雰囲気を
壊すことのない使われ方なので、良かったと思った。
 HPでの写真や、 DVD(興味ある人は購入してみたら) などで見ると
きらびやかな、キラキラと見えるように撮っているが、実際は、もっと
落ち着いている。 のが私の抱いた感想。 
 (DVDは、ホテル内でも流してました)
 百段階段は、厚さ5センチほどのケヤキ板の踏み面で構成され、
多くの人が通ることによって、黒光りしており、風情を感じる。っが、
滑り止めのゴムがついており、ちょっとザンネンだった。  
 
 
  カリーこと假屋崎省吾の華道展は・・・
 この見事な空間に負けていない、ダイナミックで、空間とも調和の
とれた、見事な華のパーフォーマンス でした。 
 
 どの部屋も、それなりに豪華だったり、ストーリー性というか、
趣き(おもむき)が異なり、それぞれの個性があった、のだけれど、
 カリーの華たちも、それらを上手く使って(当たり前だけど、私がいうのも
なんですが・・・)部屋の雰囲気を壊すことなく、相乗効果というか、
見事な、競演になっていた、と思いました。(なんて言ったらいいか・・・) 
 私は華道には詳しくないのですが、少し知っている中では、
勅使河原宏(テシガハラヒロシ)(故人) が好きでした。
草月流っていうんですか・・・
勅使河原氏の生け花は、生け花っていうの?っていうぐらい、ダイナミックに
花や木を使って空間を創る、人で、 花でボリュームを出すというより、
線の構成によってボリューム感を演出する、って言うのかな・・・ 上手く
表現できませんが、 まあ、その男性的な、というか、空間のダイナミズム、
みたいなのが、好きで、 生け花はチマチマしたもの(失礼!)って・・・って
思っていた節があり・・・ その後、生け花、華道にも奥深いものがあるんだ、
流派により、モダンな、R・メープルソープの世界、のようなものもあり、
食わず嫌いはアカンなあ、と 見るようになった次第。。。今回も
見てヨカッタ。 
 カリーのは、その、ダイナミックな面と、華麗な、生け花の現代版、っていう
2面があるようですね。 百段階段の各部屋の豪華さ重厚さに負けない
カリーのダイナミックな作品がたくさん見られ、 多分、カリーも
この空間でしか表現できないって思ったり、ここだからこそ創りたい、って
思って挑むんだろうなあ〜 と、勝手に納得してしまいました。 
奥の間の一部屋全部を使っての作品や、 床の間から溢れんばかりに
彩る華々・・・ 色合いも、部屋で使っている色をアクセントに持ってきたり、
豪華な部屋に負けないメリハリの利いた色彩構成、枯山水の雰囲気
漂う部屋には、枯れ色を取り入れた構成、など、いろんな表情が楽しめました。
 
 作品の詳細は省略しますが、 ダイナミック=男性的な構成、というか
華たち、なんですね。 主にスギや流木など木々を使っての構成なので、
鑑賞してるオバチャンたちの中からは、『好みじゃない』 なんて声も
聞かれましたが・・・ 私は断然こっちがヨカッタ。 
それにしても不思議なのは、 作品が倒れないように、どうやって
バランスをとっているのか、ということ。 ダイナミックな構成、
木々を使っての構成だと、足元周りよりも、枝葉、先っちょの方が、
ボリュームがあったりするねんけど、 どうしてるのか? 土台というか、
黒塗りの板に乗せていたりするけど、薄い板だしね。釘止めも無理やし。。

重しを流木の中に埋め込んでいるのかな??
 一つ一つの花を見ても、この会期に合わせて咲くようにしてるのか、
生き生きとしてるし。 メンテ大変だろうなあ〜、とか、会期に合せて
作品作るのも、他のアートと違って何ヶ月も前から作っておくわけにも
いかんしなあ、会期前は徹夜かな、とか、余計なことまで心配してしまい
ました・・・ 
 後半は、女性的というか、ブーケの世界もあったりで好みも分かれる。

(こっちの方がきっとカリーの本流なんやと思う)

花器も、ガラス製など、カリーが創作したもの多数で、面白かった。 
 確かに『投げ入れ』で花を飾ると、普通の花器(かびん)だと
倒れてくるもんね。 有る程度の重さもありつつ、重く見えない花器、とか、
投げ入れに適した、ひっかかりのある花器や、剣山を底に入れれる
花器など、 華道家ならではのオリジナルな花器がミュージアムショップ
でも販売してて、思わず欲しくなってしまいました。。。 
 子育て中の我が家で花を飾るのは、年1回?! それにこんな
お高いモノは・・・ と、我に返り、帰途に着いたのでした。。
 ご興味のある方は、一度ぜひどうぞ。 
カリーの華道展は、毎年秋にやっているようだし、 百段階段の公開は
次はひな祭り前の時期にあるようだし、 ぜひ現物をご覧になってみて☆ 

(ただし、人が多いから、多分いついっても、ゆっくり畳に座って空間を味わう、

ってことは出来なさそうです・・・)

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