(第42作)
ぼくの伯父さん~(檀ふみ); しばらくマンネリ調の作品が続き、低調だった寅さんシリーズは、吉岡秀隆の相手役として後藤久美子を迎え、満男と泉の恋物語を中心に話を進める「ゴクミシリーズ」になって見事に復活したと思います。その第一作がこの「ぼくの伯父さん」です。終盤、寅さんが泉の伯父である高校教師に「私は満男を褒めてやりたいと思います」と静かに啖呵を切るシーンは、寅次郎が満男への連帯感を表す、ゴクミシリーズの中でもキーポイントになる名場面だと思います。
アーカイブ | 11月 2011
寅次郎心の旅路
(第41作)
寅次郎心の旅路~(竹下景子); 寅さんシリーズの中で、唯一海外ロケをした作品でしたが、ウィーンを歩く寅さんにはちょっと無理があり、竹下景子の恋物語も中途半端でした。但し、前半の自殺を図った柄本明を助けるお話は、笹野高史やイッセー尾形の怪演も有り、非常に楽しめました。
寅次郎サラダ記念日
(第40作)
寅次郎サラダ記念日 ~(三田佳子); 葛飾柴又生まれのテキ屋“フーテンの寅”の活躍を描いた、渥美清主演で贈る傑作人情映画のシリーズ第40作が待望のDVD化! 小諸の駅前で知り合った老婆に気に入られ、楽しい一夜を過ごした寅だったが、実は彼女は、不治の病に侵され、余命いくばくも無かったのだ。そのことを知りつつも自分が長年連れ合いと住み続けたこの家で最後を迎えたい、と願ってもいた。しかし、結局この物語の最後、老婆は小諸病院で亡くなる。そのことで女医の真知子先生は自分を責め続けるのである。第10作「夢枕」で伊賀の為三郎のはかない最期のことを聞いた寅はこの世の無常と旅の生活の哀しみをつくづく思い知らされるのだが、今回も寅にとっては、自分の人生に照らし合わせて考えざるを得ない「人生の最期」の問題が突きつけられている。
寅次郎物語~(秋吉久美子)
(第39作)
寅次郎物語~(秋吉久美子); この作品を見て、山田洋次監督と秋吉久美子の相性の悪さを感じました。秋吉久美子演じる隆子は、化粧品を売りながら旅するセールスウーマンで、陰のある女だけに、上手く描けば「あじさいの唄」のいしだあゆみのような印象的な役柄になったのにと残念です。美保純がこの作品を最後に寅さんシリーズから引退してしまったのも寂しいです。
知床慕情~(竹下景子)
(第38作)
知床慕情~(竹下景子); この作品は、竹下景子が出演した三作の中の最高作であるばかりではなく、「男はつらいよ」シリーズの中でも最高傑作の一つではないかと思います。特に三船敏郎の頑固な老獣医と淡路恵子のスナックのママの恋物語、それを取り巻くすまけいの”船長”ら心優しい知床の人々がとても良かったです。一時、元気を無くしていた「男はつらいよ」シリーズもこの38作「知床慕情」以降、元気を取り戻した感じです。