伊東監督「今いる選手にいい刺激を与えられれば」

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桜美林大・佐々木を競合の末に獲得したロッテ。即戦力重視のドラフトに伊東監督「今いる選手にいい刺激を与えられれば」

ロッテ伊東監督は「もっと競合になるかと……」

 2年連続でパシフィックリーグ3位となった千葉ロッテマリーンズ。今季は、2年連続2ケタ勝利の涌井秀章、防御率2.16で最優秀防御率を初受賞した石川歩を筆頭に、4年ぶり2度目の首位打者となった角中勝也、6月には自身初の月間MVPに輝いた田村龍弘、初めての全試合スタメン出場を果たした鈴木大地らの活躍が目立った。

 しかし一方で、誤算もあった。
 2年連続30セーブ以上を挙げていた絶対的守護神の西野勇士がケガで戦列を離れ、夏には内竜也や藤岡貴裕も相次いで離脱。終盤はリリーフに南昌輝、松永昂大、抑えに益田直也というパターンは確立されるも、新たにブルペンを支える投手が現れず、中継ぎ投手に泣くシーズンとなった。

 また先発陣も、涌井、石川に加えて、7勝9敗と負け越すもほぼローテーションを守った二木康太の成長は来季に向けてプラス要素にはなったが、昨季8勝の大嶺祐太が今季は1勝止まり。唐川侑己、イ・デウン(今季限りで退団)、チェン・グァンユウと、ローテ入りするはずの選手が結果を残せず、先発不足にも悩まされた。

 そのため、今年の補強ポイントは即戦力投手だった。

 ドラフト会議では、公言通りに田中正義(創価大)を1位入札した。抽選で外れると、次に佐々木千隼(桜美林大)を指名。外れ1位を5球団で競合するという異例の事態にはなったものの、山室晋也球団社長が交渉権を引き当て、大学屈指の好投手の指名に成功した。

 最大4球団で競合となることが予想されていた佐々木が、外れ1位の指名時に残っていたのは意外だった。

 伊東勤監督も「正直意外です。想定外。もっと多くの球団が競合してくるかと思っていた。他の球団もそういう(佐々木を1位で指名するという)読みはしていたと思う。けん制しあった結果、こうなったんだろう」と話すなど、“幸運”に恵まれたと言える。

 田中を外したとはいえ、5球団競合も抽選の末、佐々木の交渉権を獲得したことは、改めて“引きの強さ”を感じずにはいられない。これまでに、ロッテは服部泰卓、松永、伊志嶺翔大、石川、平沢大河らを抽選の末に引き当てている。その運の強さは“まぐれ”ではなく、“持っている”球団なのかもしれない。他球団に“抽選に強いロッテ”という印象を改めて与えたのではないだろうか。

 担当スカウトの井辺康二氏は「フォーク、シンカー、カーブと制度の良い変化球を投げる、非常に完成度の高い投手で来季、1年目から一軍ローテの期待が高まる」と評している。

 佐々木には、来季は1年間ローテを守り、2年目に2ケタ勝利という青写真を期待したい。そうすれば、涌井、石川とエースを争う存在に近づいていくはずだ。
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