防災の日に想う 家具転倒防止は自助努力??

9月1日は防災の日。 
今年は、例年になく、「家具転倒防止をしましょう」 とあちこちで発せられた
ように思いますが、皆さんは、メディアやイベント等々で見聞きされましたか?
(この原稿は、遅れて掲載してまする)
 私も以前のセミナーやこのブログでもお伝えしてますが、
「家具転倒防止を行って、家具の下敷きやケガから身を守りましょう」
「助けを待つ側から、助ける側へ、その為にも家具転倒防止を!」 
と、さかんにお伝えしてきました。 
自分の住まいや、身の回りの家具固定を行うこと、大地震が起きても
家族や近隣同士で助けあえるように、家具転倒防止は、最低限しておくこと、 
それが、自助努力であり、 もし家具の下敷きになっても、助けがこなくても
それらは自己責任である。。。 まあ、ここまで自己責任、と強くは言ってなくても、
周囲の家は、家具転倒がなかったのに、ウチだけ家具が倒れてきてケガしちゃった、
なんて、恥ずかしくって言えなくなってしまうぐらい、 段々と、啓蒙する側は、
強くアピールしてきている。
(私も、ある面、そうなんですが。。。) 
以前のセミナーでの家具転倒防止器具紹介
でも、本当に、自助努力のハナシ、各家庭で取り組む範疇、なんだろうか? 
現在、これら家具転倒防止を行っている割合が低く、また、大地震の際に
スピーディー(又は各自で)避難できない、という人たち、に、高齢の方、
介助が必要な方が多い、という事が言われる。 
確かに、そういう人たちは、タンスの固定はチャンと行っているか、と訊ねても
難しい面は否めない。 
そういう、社会的弱者 の方には、 行政が、ボランティア等で、 固定して、さしあげる、
ことは、当然といえば、当然のことと言える。 
では、それ以外の人たち、家庭は、各々の問題なのか?
ここで、ご紹介。。 横浜市で昨年2013、議員立法で、「災害時自助・共助推進条例」が
出来たのってご存知でした? 
 その第7条に、市民は、家具転倒防止に努めなければならない。。。というのが
書かれています。 
 えーーービックリ。。。。 
 確かに、市民の努力は不可欠だが、それって、どうなの? 
住まいの耐震補強も、 各自の努力義務ではあるけれど、
自己所有の自己財産は、各自やりましょう、って
言われてるけど、 微妙に違う気がするんだが。。。 
ここで、細かく言えば、 家具固定をしていないと、確かに地震がきたら
負傷者になり、自身も困るし、家族も困る。助ける方もタイヘンなので、
できるだけ、ケガ・助けが要らないように、未然に防いでほしい、というのが
誰もが思うところである。 それが減災の考え方。 
その為には、各自が努力するなり、多少、何かしら行動や対策を講じて、
減災につながるようにするのは当然である。 これに私も異論なく、もっともなハナシと思っている。 
私が言いたいのは、(上手く言えないけど。。。) 
 ナゼ、 多くの家庭で、家具の転倒防止を、皆同じように、個々に行わないと
いけないのか? なぜ、家具の転倒防止を、個々で対策しないといけないのか?
なぜ、対策されてないのか? なんで、各自なの? なんで、家具を置いたり
買ってきたら、家具固定が、自然に(スムーズに)出来ないの? 
なんで、家具購入以外に、 防止金物をわざわざ買いにいって、よくわかんないなあ、
ホンマに効くのかなあ?と思いながら、付ける労力が発生するの?? 
なんで、市民レベルなの??? いつまで自助努力なの??
っといった、具合。。。 このギモン、わかって頂けます?
要するに、 阪神大震災から、来年で20年、耐震や防災のグッズが出だしてから、
15年以上、 なぜ、昔と今と、変わってないの??? 
そう思いませんか?? 
 タンスの上に「つっぱり棒」タイプの家具転倒防止器具が出たのは、阪神大震災以前から。
それがあの震災を契機に、一気に認知・普及していきました。
っが、 あれは、あくまで「一時しのぎ」の家具固定ではなかったのか?? 
なぜ、いまだに、建築下地がどこに入っているか、センサーで調べながら、下地を確認して、
家具固定の金物、あの性能最優先の無粋な(ブサイクな)金物や器具を
仕方なく買ってきて、、 家具にキズ付けたくないと思いながら、また、本当に効くの?
これでいいの?大丈夫なの?なんて思いながら、 渋々取り付ける。。。
ネジ頭がちょっと曲がりつつ、なんとか、家具の天板にネジで留め付ける。。。
これしか方法がないの? こんなデザインのものしかないの?
そういうギモンや疑心暗鬼になりながらも、仕方なく家具固定を行う人はいい。。
結局、やらない、って人も多い・・・ 
これが、この20年弱、変わらず、各家庭で繰り返されてきた、のではないでしょうか?
皆さんは、この20年で、何度、住まいを変えたり、新たに家具を購入したりしましたか?
もし、新しい住まいが、新しい家具が、家具転倒防止に配慮されているモノ、家具固定が
簡単に、もしくはスマートに、センス良く、できるように、なっていたなら、 
今頃、そんなに、家具転倒防止に気を揉むことはなかった、のではないでしょうか?? 
家具転倒防止に関する規定や基準がキチンと決まっていれば、 それにのっとって
建築屋は家を建て、インテリアコーディネーターは自信を持って家具をオススメでき、
住まい手は、安心して家具購入やレイアウトを楽しみ、 固定する。
なんで、何も基準もキマリも作られないの? なんで、固定だけが議員立法になるぐらい
義務化されないといけないの? もっと根本的は解決なり、対策があるのではないでしょうか?? 
建築業界も、家具・インテリア業界も、この対策に対する、取り組みは、結果的に
お粗末だと言わざるを得ません。 
(私はよく、何様のつもりだ、とよく驚かれ、お叱りも受けるのですが、 それら失礼を
承知の上で申し上げています。 ) 
なぜ、市民が、各個人が、 頭を悩ませながら、転倒防止に対応しないといけないのでしょうか?
もっと、建物側に、固定がスムーズにできるような下地や仕組みがあり、
家具の側に、固定できる対策・仕組みがあり、 
金物の側に、それら2つを繋ぎ、固定をきっちりできるような仕組み、が できると、
いいように思いますが、なぜ、出来ないのでしょうか? 
三位一体で取り組めば、もっともっと、家具固定はスムーズ&スマートに行えるのに。。。。
インテリアやセンスアップ、デザイン性を考えたら、当然のことなのに。。。。。
各業界や関係者の方々、各会社ごとでみると、とても頑丈な、よく工夫された、
生活者が、少しは購入したくなるような、取付たくなるような、モノが商品化されています。 
 でも、それらは、ほとんどの場合、 自社で完結しているモノだったり、しくみです。
壁を傷つけないように固定する器具、だから、こういう形状、、といった具合。。。
傷つけないように、と言えば、聞こえはいいですが、要は、接するモノの下地や堅牢さが
わからないので、表面的にしか 絡められない、というのが、本当のところではないでしょうか? 
いつまで、この「一時しのぎ」的な措置を行わないといけないのでしょうか? 
いつまでも、家具の上部に、無粋な金物が、素人が取り付けた、少し曲がったネジ頭が
みえつつの、せっかくの良い家具の脳天に、ブスブスとネジや器具を刺してしまわないと
いけないのでしょうか? 
私は、イヤです。 オカシイと思います。 
もっと、なんとかしてください。なんとかしましょうよ。 
自助努力という言葉で、個人に責任を押し付けて、なんだかオカシイと思いませんか?
だってキケンだって、わかっているのに。。。 
誰もが被害に合う可能性が高いのに。。。
もう答えはわかっているハズです。 
建築業界と、家具インテリア業界が本腰を入れて、対応してこなかったからです。
自分たちのことではない、分野外のこと、引き渡したらそれでオワリ、と思っている。。。。。
個々の自助努力だ、各家庭の問題だ、
家の構造は様々だ、家具はどこに置くのか判らないから、 壁面全部に下地をするのか
どんな家具にも対応できるなんて、ムチャだ、、、コストにハネ返ってお客様の理解が得られない
・・・・  etc,etc 
 私が建築業界、家具インテリア業界にいて、これら、業界側の言い訳は、想像できちゃいます。
もう言い訳ではない、と思っています。 すべて、キチンと精査して、整理して、対応していく
仕組みを整えることは可能なんです。 そんなにバリエーションがあるわけでもない。。。
 私も、色々調べていってわかってきました。 
ようは、ちょっと考えて、横同士の仕組み、業界を超えた取り組みを行おうとするかどうか。。。。
建築屋さんは、「ボクら、やってるよ」と言います。 下地を入れて、家具固定できるように
しているよ、と。。。 でも、住まい手には伝わってないんです。 標準ルールじゃないんです。。。
合板の厚みを頑丈なタイプにしたから、費用をおくれ、と言われたら、施主はそれが正しいのか
どうなのかさえもわからないのです。 それらがルール化、基準化、オープン化されてないから。。。。 
ルール化や標準化ってメンドウ。。。 ハウスメーカーじゃないし。。。
っと、言い訳はたくさん思いつきます(笑)  耐震補強も、階段の手すり取付も、
標準ルールを決める際、建築基準法に盛り込んでいく際は、たくさん反発しましたよね。
でも、法律化されたり、公庫の標準仕様になったりすれば、一気に右へ習え、で
(法整備されると、当たり前ですが) 普及していくのです。 
なんで、そうならないかなあ~ 市民の安全の為なのに。。。。 
。。。各業界で音頭を取る人がいない、足並みがそろわない、
タイヘン だから。。。 実験や検証をしていたら、たぶんオリンピックは終わってしまう。。。
大学の教授に、専門の研究機関にお願いしたら、時間とお金がかかってしまう・・?
そう思っている業界人がほとんどです。
私のような考えは、防災・減災を唱っているところでは、まず理解されにくい。。
私一人で、このような考えを伝えたり、業界を動かしていく事は中々、 難しいです。
どこにノックしていって、協働でしていけば想いが実現するのか。。。
家具固定を実際に行っている市民の方々が、もっと声を上げて、
一緒に、オカシイって言っていきましょうよ。 なんとかしてよ、って。。。 
各家庭で、家具転倒防止、やってくださいね~ と専門家は訴え、
やりますよ、と、自助努力だーと ガンバル市民。
器具を配り、 ボランティアで取り付けにいく関係者。。。 
これでホントウに、いいのだろうか???  
皆さんはどう思いますか??? 
 

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