東京新聞12/1掲載されました
幕張メッセや千葉マリンスタジアムがあり、県外からも多くの人が集まる千葉市美浜区の幕張新都心。せっかく人が集まる施設があるのに、地元の名産品がないのは寂しいと、サツマイモを使ったスイーツが売り出され、「ゆるキャラ」で知名度を上げる取り組みが行われている。なぜ、サツマイモかというと-。 (那須政治) 幕張新都心は戦後、埋め立て地に造られたが、新都心北東側の京成幕張駅周辺(同市花見川区)は昔から陸地だった。ここに、昆陽神社と甘藷(かんしょ)試作碑がある。
碑のある場所は江戸時代の蘭学者、青木昆陽(一六九八~一七六九)が一七三五年、八代将軍徳川吉宗の命で甘藷(サツマイモ)を試作した地だ。以後、サツマイモの栽培は全国に広がり、ききんから人々を救ったとされる。
この逸話に目を付けたのが、地元の自治会や企業、県、市など二十二団体でつくる「幕張新都心賑(にぎ)わいづくり研究会」(会長・柳沼孝一郎神田外国語大教授)。幕張名物として、県産の無農薬サツマイモを使った菓子を開発した。
菓子は、サツマイモのあんを使った和菓子の「昆陽」(一個二百円)と、サツマイモのコロッケとキャベツをクロワッサンに挟んだ「芋ワッサン」(二百六十円・要予約)の二種類。幕張ベイタウンの洋菓子店「パティスリータルブ」が半年ほど前から販売している。
研究会の会員で同店経営者の竹見茂雄さん(39)は「イモの味をいかに出すかに苦労した。みんなの意見を反映した商品」と自信作を紹介。「店の主力商品になりつつある」と評判も上々の様子だ。
研究会では、「幕張=サツマイモ」のイメージを定着させようと「ゆるキャラ」も作成し、名前を募集している。幕張地区の企業に勤務する研究会副会長の木谷和夫さん(61)は「イベントやプロ野球の応援などで訪問者の多い幕張だが、特定の土産物がない。二品がそれになれば」と期待している。
問い合わせは、商品がパティスリータルブ=電043(351)7551