泥道の“わな”

(長文、失礼します)
おとといのことです。すでに散歩に出たことは書きましたが、その道々でのできごとです。
陽は西に傾き、八釼神社の森の上で赤々と燃え立っていました。しばし、紅い夕陽と黒く陰りゆくこんもりと繁る森の風情を楽しんだあとです。その“わな”は仕掛けられていました。

【写真12】 泥道
知る人ぞ知る鷺沼地域と幕張本郷をつなぐ、地図にも載らない畑中の1本道。行く手の水溜りは霙混じりの雨降りのあと。少し不安を抱きながらも、1歩、また1歩とあしもとを確かめながら進んでいきました。
わたしが通る前に1人、何事もなかったように、この道を抜けてきた人がいました。
――水のない固いところ、少し乾き始めているところを行けば・・・。
無事通り抜けてきたさきほどの人と同じように、自分も反対側の乾いた土の上に立てる――そう思いながら、あと1メートルほどのところまで進みました。“木登り名人”が、あとわずかで地上に降り立とうとしている木上の人に向かって「気をつけろよ」と声をかける頃合いと見ました。
水溜りから遠い固まっていそうな、ここぞと思える土の上に左足を下した――その瞬間です。地表で止まるはずの靴底がズブズブズブ・・・。な、なんと、土のなかにもぐっていきます。
あれほど注意してきたのに・・・。不思議なもので、この瞬間、わたしが何をしたかというと、ゆっくり周囲を見渡しているんですね。
――このみっともない始末を誰かに見られていないだろうか!?
すぐ後ろに、同じように水溜りを避けながら近づいてくる初老の男性。わたしの不始末に気づいたのか、水溜りを避けるというよりも、どんどん畑のなかに入っていきます。
――そうか、その手があったか・・・。
もう、後の祭りです。しかし、その男の人もよく見ると、どうも畑のなかで必死の様相。
――そうか、耕された畑の土も水分をたっぷり含んでいるはず・・・
一瞬のうちにそんなことを考え、ようやく泥に埋まった自分の左足を引き抜こうと、右足を支えに力を入れました。しかし、左足はさらに、ズブズブ――沈む。あれ~!?
そうなんです、わたしの左足には1.5キロのオモリがついているのです。こうなると、このオモリがいつになく重い。そうこうしているうちに、支えの右足も滑ってきます。さすがに焦りました。もう体裁など考えていられません。足掻くようにして泥を蹴りました。幸いに、右足は最後まで固い土の上にあったので、なんとかその場を逃れることができました。

【写真13】泥にまみれた靴(左足)
おわかりいただけますか。もう、足首まですっぽり泥に隠れていたので、オモリまで泥付きとなりました。

【写真14】乾燥してきた泥靴(左足)
陽も陰ってきていたので、あまり恥ずかしい思いはしなかったのですが、そのあとも、こんな足元で本郷の街を歩いていました。
で、泥道の“わな”のあったところですが、「うまく抜けた人はどこに脚を置いたのだろう」と、そのとき周囲を見渡してみたんです。でも、どこにも痕跡を見つけることができませんでした。さらに、わたしの後を歩いていた人も実は、“わな”にはまっていました。靴についた泥をティッシュで落としながら、2人で「やられましたねえ」としばし苦笑い。
ということは、平然と通り抜けていった人の足元も、もしかしたら・・・。

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