老化現象

続き
「なんという情けないことをするのよ」と、言わんばかりに、自分の肘で、ご主人の脇腹を、さかんにつついているのである。
ご主人は、しょげきって、窓の外に、うつろな視線を向けていた。
伊藤 守著 「今日を楽しむ為の100の言葉3」
愛する人のために、敢然と席を確保しようとするその健気さは、あっぱれだが、その為は、他人に迷惑をかけ、社会の秩序を無視する行動は、どう考えても、「老化現象」しかあるまいが、高齢化社会が進むにつれて、こんな光景が増加するのかと思うと、とても口惜しい思いがする。
電車の中で、ふんぞりかえって坐っている若者を見るのは、もちろん嫌なものだけれど、きょろきょろ、そわそわと、席の空くたびに、物欲しげに振る舞う実年を見るのは、何故かもっと悲しいものである。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です