(吉永小百合);ほら見なよ、あの雲が誘うのよ、それだけのことよ。 世間的には大人気らしいのだが、個人的には吉永小百合に親しみも畏敬の念も抱かない。マドンナとしても、 それほど光っているとは思えない。むしろ珍重すべきは二代目おいちゃんの松村達雄の軽みではないだろうか。 また、最初に歌子たちと寅が出会うまでの流れも秀逸。しかし、例によって柴又で再会した後の展開は、 前半ほどには心を浮き立ててくれない。トータルで見て、十分に面白いんだけどね。傑作と呼ぶには何かが足りない気がする。
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(第7作)男はつらいよ「奮闘篇」
(第7作)男はつらいよ「奮闘篇」
(榊原るみ);夏になったら鳴きながら、必ず帰ってくる、あの燕さえも、故郷恋しを、唄っているのでございます。 シリーズ第7作。 いよいよ松竹映画の金看板となって、山田洋次=渥美清のコンビが冒険を試みたと感じている作品。 マドンナ役の榊原るみは、知的障害を持つ女性。感動的な出会いのシーンから、徐々に狂い始め、暴走状態に入ってゆく寅さん。 寅さんの常人と外れた部分を感じさせ、ひやりとさせられる場面がかなりある。 そして最後はいつもの寅さんに戻って、というオチ。その寅さんと同等のウエイトで故郷・葛飾柴又「とらや」の人達が描かれている。 冒頭、故郷の暖かさを懐かしむシーンから始まり、一時の平和と喧嘩。 しかし、ちょっとしたことに大騒ぎで心配する家族の姿に観客は自分の田舎を連想するに違いない。
(第6作)男はつらいよ「純情篇」
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•若尾文子);思い起こせば旧年は、恥ずかしきことの数々、玄界灘波音を聞くにつけ、思い出すのは故郷柴又の春でございます、未練な寅とお笑い下さいまし。 あらすじ~長崎で出戻り女とその父の愛情あるやりとりを聞いた 寅さんは、故郷の柴又が恋しくなった。 その頃とらやでは、遠い親戚で和服の似合う美人.夕子が下宿していた。 そこへ寅さんが帰ってきて、夕子に一目惚れする。 一方、博の独立問題で博と社長.梅太郎がそれぞれ寅さんに相談したから大変。 話がこんがらがって大騒ぎ。結局、博は元のサヤに納まるが、 寅さんのお熱は日増しに上がっていく。しかし、別居中の夕子の夫が訪ねてきて はかない恋に終止符が打たれた。 寅さんが大人の恋を展開する哀しく滑稽なシリーズ第6作です。 原作・監督=山田洋次 マドンナ/若尾文子/ロケ地/長崎県五島列島福江島 <封切日>昭和46年1月15日