近所にKさんって人がいてね。
私の両親も結構仲良くしていたのよね。
うちにはフキが自生していて、
春になるとフキを摘んでKさんに持って行くと、
佃煮を作るらしく。
「作ったら持って行くわよ。」って言われたけど、
「私、フキ苦手なんで、良いですよ〜。その分楽しんで下さいね。」と言ったら、
「じゃあ、娘に作ったんだけど、これ持って行きなさいよ。」と、
揚げるだけで食べられる状態の春巻きをたくさん持たせてくれました。
その時、ふと涙が出て「お母さんってありがたいですね。」って話したのよね。
それは、数年前のお話。
その方の告別式に行って来ました。
二人の娘さん(私より年上)と話す機会があったので、春巻きの話をしたら、
「春巻きはね、得意中の得意。一度に100個くらい作るのよ。
私たちが同じ材料と同じ調味料使っても、あの味は絶対に作れないの。不思議よね。」
思い出の味ですね。
私も母の作った白和えが食べたい。
買ってみたり色々するけど、やっぱりあの味には出会えないの。
お別れは切ないですね。