こんにちは。勤務医の鈴木です。
3月に入り、気候も少しずつあたたかくなってきましたね
寒いのが苦手な私は、春が待ち遠しいです
春がやってくると、わんちゃんを飼っている皆さんにとっては
フィラリア予防と狂犬病予防接種のシーズンですね。
3月2日から新年度の登録が可能となっています!
今年も忘れずに予防してくださいね
ちなみに、今年の注射済票は黄色です↓
*千葉市獣医師会の所属病院では登録手続きが窓口で可能です。
さてさて、今回から「マナークラス」の内容をご説明してきたいと思っています
まず、皆さんは「行動治療」という言葉に馴染みがありますか
「しつけ相談」を獣医学的な言葉にすると「行動治療」ということになります
基本的に同じことですが、私たち獣医師が「行動治療」を行う目的は、
①異常行動がしつけの問題なのか、身体に病気があるのかを鑑別すること。
②動物行動学に関してより科学的な情報を飼主さんに提供すること。
③お薬を上手く処方することによって飼主さんとそのペットの関係を早くよくする手伝いをすること。
です。
何故このような診療科が発展したかというと・・・
昨年、私が行動学を学びに行ったアメリカでは、犬の死因の一番が「問題行動による安楽死」でした。
「多くの動物が人間側の都合により命を落としている。」
この事実を変えるためにこの診療科が発展したんだと思います。
一方、日本の現状を考えると・・・
ほとんどの場合、トレーナーさんがしつけの問題を解決してくれていると思いますが、
それだけに頼ってしまうと、
実は病気で痛いところがあって攻撃的になっているだけだとか、
神経学的な異常や代謝疾患があって異常行動が起こっている、
といったようなことを見逃してしまう可能性があり、
また、それぞれの施設のやり方が異なったりして、飼主さんが混乱している可能性があります
そこで、今日本では、行動診療科という獣医の診療科が注目されており、
動物行動学者(獣医師とは限らない)、獣医師、トレーナーが協力し合ってペットと飼主さんの関係をより良いものにする
プログラムを考えましょう!!!という取り組みがされつつあります
(個人的には、ここにペットショップの関係者も入って来てくれるとさらにいいと思っていますが・・・)
どのような取り組みかというと・・・
今、自分の家の犬のしつけの問題に悩んだとします。
まず、原因になっていることを探す。(まずはここで獣医師に相談してみてください)
↓
獣医師が、病気かそうでないのかを判断します。(病気なら、その治療を行っていきます)
↓
病気ではなく、問題行動(身体的な病気が関わっていないが困った行動)と判断されたとします。
↓
環境改善や家庭での工夫でその行動が治りそうなものなら自宅で飼主さんが行う。
(ここで、動物行動学者が研究して得た動物の特性などの情報を含め、普段の生活で工夫できることを飼主さんにわかりやすく伝える)
↓
「しつけのし直し」が必要ならトレーナーさんに教えてもらう
↓
精神的に落ち着かせる作用のあるお薬を併用した方がよいかどうか、獣医師と相談して決める。
↓
数週間おきに再評価していく
こんな感じのものです。
私は、トレーナーではありませんが昨年アメリカに行ったときに、
行動治療に必要なトレーニングのやり方をDr.Sophia Yinという先生(行動治療の専門医)に
直接指導して頂いたので、
この地域にも行動治療という概念が根付いていけばいいなと思って、行動治療の一環として
「マナークラス」を開催させて頂くこととなりました
(Dr. Yinのサイトはこちらhttp://drsophiayin.com)
トレーニングの内容は、主に「いかなる状況でも飼主さんの方に集中できるようになる」「リラックス状態を維持出来るようになる」といった内容のもので、犬の自信や独立心を育てるためのものです。
また、普段の生活の中でいかにストレスを感じないで生活できるか、などにも配慮した内容になっているので、パピークラスを終えたジュニアのワンちゃんたちにも利用してもらえたら嬉しいです。
トレーニングは1コマ1時間全4回で、診察時間外のお昼の時間帯に当院の待ち合い室で行います。(うちの待合室は広いです!)
まずは問診票を持ってカウンセリングに来て下さい(病院でお渡しするか、Faxします)
その後、それぞれのワンちゃんにあったプログラムを作成し、
問題行動に対してのフォローアップ(再カウンセリング)をしながらトレーニングを実施していきます
以上が、マナークラスの概要でした
最後についこの間パピークラスを卒業した「くるみちゃん」の成長ぶりを披露します
歯磨きも、エリザベスカラーも上手にできました
お兄ちゃんも一緒に教室に通っていい子になりました
幕張ビーンズ・ペットクリニック
http://www.m-beans.com