犬の認知症について

こんにちは。勤務医の中嶋です。

今回は、意外と多い老犬の認知症について紹介したいと思いますinu
犬の寿命は年々延びており、2012年現在の平均寿命は13.3歳と言われています。病院でも、お年寄りのワンちゃんたちを診察する機会が多くあります。そのようなワンちゃんたちの診察中、飼い犬の認知症様症状で苦労されている飼主さんたちの話しを伺う機会も増えました肉球
犬の老齢性認知機能不全については、他の神経病に比べ診断法や治療法の確立が遅れているのが現状です。
分かっていることは、認知症にかかる犬には同じような症状が見られること。予測できることとしては、老化による神経伝達物質の枯渇や視覚聴覚障害により、不安の感情が強くなっていることです。
よく見られる犬の認知症の症状は以下のようなものがあります花束
1、 場所や時間が分からない
2、 人や動物への関わり方が変わる
3、 昼夜が逆転する
4、 「しつけ」を忘れる
5、 目的のない行動が増える
「もう歳だから」とか「ボケてきたから仕方ない」と思われている飼主さんも多い中、
現在15才の雑種犬、チョコちゃんの飼主さんは犬の認知症に積極的に取り組まれ、ワンちゃんも飼主さんも満足できる生活を得ることが出来ました。
他のワンちゃんや飼主さんたちの参考になればと思い、飼主さんの同意を頂き取り組み例を紹介したいと思います8onpured8onpured
飼主さんが最初に認知症の相談にいらっしゃった時、チョコちゃんの年齢は14才7ヶ月でした。チョコちゃんは12kgの雑種犬で、1年前位から家の中をウロウロ徘徊したり、部屋の外(ベランダ)に出ようとしたり、(甘えて?)家族に飛びついたりする行動が見られるようになりました。他にも、何ともなかったドライブも車内落ち着いて過ごすことが出来なくなってきたそうですicon17ダッシュ
相談にいらっしゃる1ヶ月前位から散歩から帰った後部屋の隅に行き、1~2時間ずっとヒュンヒュン鳴いたり、大きな声でワンワンと鳴くようになったそうです。飼主さんはマンションに住んでいるため、このチョコちゃんの大きな吠え声をどうにかやめさせたいという思いを持って、来院されましたバラ
一般的な検査をしましたが、特に病気が見つからなかったので、認知症として取り組むことになりました。まずは、神経伝達物質の枯渇によって不安の感情が強くなっていることに対し、不安を感じにくくするお薬をあげてもらいました。
また、以前紹介した「知育トイ」を購入してもらい、散歩以外に程よい疲れを与えてもらいました。知育トイは、散歩後の吠え行動が認められるタイミングで与えてもらうことで鳴いたり吠えたりする行動を回避することができましたピース
ちなみにチョコちゃんが使っている知育トイは、ボールの中にドライフードを入れて自分で転がしながら食べるタイプのもの


他にも、新しいコマンドを教えてもらったり、お座りを使ったゲームをしてもらうことで、不安を感じにくい体質作りをし、これ以上認知症が進まないように抗酸化作用のあるサプリメントをあげています。

昨年12月に取り組みを始めてからもうすぐ5ヶ月になりますが、飼主さんは以前のチョコちゃんに戻ったと笑顔で来院して下さいましたface01
ペットに認知症で悩まれている飼主さんがいらっしゃったら、少しでもお役に立つ情報をお伝えしたいと思いますので、お気軽にご相談下さいbyoin

~手作り知育トイの紹介~

看護師の林さんがペットボトルで作ってくれたもの↓

ペットボトルを上半分くらいで切って逆さまにしてはめたもの。

中からドライフードを出すのが難しくなるのがポイントです☆

院長が息子さんに買ってあげたガチャガチャの容器に穴をあけただけのもの↓

幕張ビーンズペットクリニック

http://www.m-beans.com