日本を救った木村沙織のサーブと迫田さおりのバックアタック=バレー
木村沙織のサーブが日本の苦しい状況を救った
バレーボールの全日本女子は25日、ロンドン五輪最終予選の第5戦でキューバと対戦した。3連勝で迎えた韓国戦で王手をかけるはずが、敗れたことで、この日の結果次第では五輪出場に黄信号が点滅する。
敗戦から中1日を経て、選手たちは気持ちを切り変えてキューバ戦に臨んだとはいえ、第1セットはサーブやスパイクにミスが目立った。日本にとって嫌なムードのまま試合は進み、18-23とキューバが大量リードを得たまま終盤へ。この厳しい状況から、流れを変えたのが木村沙織(東レ)のサーブだった。
「韓国戦でも1セットを取られたので、同じ展開になるのは嫌だった。どうにか逆転するためにはサーブで崩さないと思っていたので、崩すことができて良かった」(木村)
狙い通りのサーブでキューバの守備を崩し、日本は5点のビハインドを一気に跳ね返した。23-23と同点に追いついた後も、またも木村のサービスエースが飛び出し、24-23と遂に逆転。最後は江畑幸子(日立)のレフトからのスパイクで25点目をもぎ取り、逆転で第1セットを先取した。
しかし、第2セットはキューバのヤネリス・サントスのジャンプサーブが走り、第1セット終盤とは反対に、中盤に相手サーブによる連続7失点を喫する。岩坂名奈(久光製薬)に代えて平井香菜子(久光製薬)、山口舞(岡山)に代えて新鍋理沙(久光製薬)、江畑に代えて迫田さおり(東レ)を投入するも、終盤まで勢いが衰えないキューバをとらえることができず、第2セットは18-25で失った。
1-1で迎えた第3セットは一進一退の攻防が続く。試合が動いたのは、12-11で日本がリードした場面、またも木村のサービスエースだった。
波に乗った日本は迫田の攻撃や荒木絵里香(東レ)のブロックで連続得点を挙げ、最後は平井がキューバの攻撃をブロック。サーブが走り、ブロックが効果を発する理想的な展開で第3セットを制し、2-1と日本が優位に立った。
しかし、この試合で敗れれば五輪出場の可能性が消えるキューバも粘り、第4セットを取り返す。日本にとって今大会初のフルセットへと突入した。
もつれた試合を象徴するように、最終セットも終盤まで互いに譲らず、1点をめぐる攻防が繰り広げられる。しかし日本は、真鍋政義監督が「今日のラッキーガール」と称した迫田にボールを集め、得意のバックアタックで得点を重ねた。ジュースの末に16-15とマッチポイントに到達すると、最後は竹下佳江(JT)のサーブが効果を発し、キューバのスパイクミスで17-15。3-2で大熱戦を制し、日本が3大会連続の五輪出場に王手をかけた。