麻酔の話

麻酔の話です。
マジメなお話です。
麻酔と聞くと怖いイメージがあるかもしれませんが、本来麻酔とは動物に痛みやストレスを与えることなく手術、処置をおこなうための処置です。
現在、獣医学領域で使用されている麻酔薬は非常に安全性が高いものが選ばれており、様々な鎮痛剤や麻酔薬を組み合わせることで各々の麻酔薬の減量を可能とし、副作用も軽減されてきています。
また麻酔中の心電図や血圧などの生体モニターや人工呼吸器といった機器や設備が整っている施設も増加しております。

左:吸入麻酔器、中央:生体モニターと点滴機、右:人工呼吸器
ただし、もちろんリスクもあります。
「全身麻酔はなぜ危険なのか?」
全身麻酔をすることで血液の流れに変化が起き、心拍数や血圧の低下が起きるため心臓の悪い子や高齢の子ではより危険になります。そのような動物たちでは麻酔時にも循環を改善、補助するような薬剤を使用し、より安全に麻酔を実施することができます。
また麻酔薬の多くが肝臓・腎臓で代謝・排泄されるため、肝臓や腎臓が悪い子では体に長く麻酔薬が残り、麻酔から覚めにくくなることがあります。これまた当たり前ですが,呼吸がきちんとできるということ、すなわち肺がしっかりと機能していることも非常に重要です。
「それらの機能を評価するにはどうするのか?」
麻酔前に確認のための血液検査、レントゲン検査をおこないます。
どんなに簡単とされる手術でも必要だと思います。
おそらく人のお医者さんで全身麻酔前に検査しないことはいないでしょう。
当院では避妊・去勢手術から骨折や頸椎の手術といった一般的に難易度が高いと言われる手術も行いますが、必ず全身麻酔をかけます。そのどれもが適切な麻酔・疼痛管理がおこなわれれば基本的には心配ないです。
と言いたいところですが、飼い主側の心情はそう簡単ではないでしょう。
昨年、我が子(当時7ヶ月)が大学病院で全身麻酔をかける手術を受けることになってました。手術前に感じたことは「やはり麻酔は怖い!」でした。
どれだけ安全と言われても、どれだけ安全だとわかっていても、
「無事に終わった。」と聞くまでは心配で心配でしょうがないものだと思いました。
幸い我が子はその後の術前検査で麻酔をかけて手術をおこなう必要がないということが判明し、杞憂に終わりましたが、とても不安でした。
「きっと麻酔をかける動物たちの飼い主さんもこういった気持ちなのだろうな。」と心底感じました。
私たち麻酔をかける側にできることは、飼い主さんへ十分に理解いただける説明をすること。問題が起こらぬように術前から術後までベストを尽くすこと。更にはより安全な麻酔管理が可能になるように日々の勉強を怠らないということだと考えております。
当院では「これまで大丈夫だった。」が「これからの大丈夫。」ではないことをお伝えしてます。
ただこれがイコールになるように努めております。

これぐらい無敵の犬だと安心です(^-^)
MAKUHARI Beans Petclinic
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