「共同労働」を選ぶということ①

なぜ立ち上げるのが自営業や株式会社ではなく企業組合 ワーカーズ なのか
少しお話をしておきます
ワタシは理容店に生まれました 自営業です
親の世代では 人づきあいが苦手という場合 職人になるという道があったようです
父親は無口で癇癪持ち 頑固で偏屈 コミュニケーションの取れない人でした
会社勤めなどのできる筈もなかったでしょう 職人の道へ
養女で理容店に入った母親と結婚 技術を教え込まれたそうです
人を雇うこともなく 家内制自営業
その環境で育ったワタシですから サラリーマン生活もそう長くは続きません
定時制高校に通いながら工員やアルバイトを転々
友人に誘われて生協職員に
幸いにもここでいい上司に恵まれ 上司と部下の関係を学びます
若さに任せて生意気盛りのワタシを よくも適材適所に使ってもらったものだと 今にして思います
人生の師とも言える人に出会い
広報に必要なノウハウーー取材の 仕方、記事の書き方、見出しの付け方、写真の撮り方、現像、焼き付け、印刷版下の作り方ーーを教え込まれました
その後脱サラ
どうしてもやりたかったライブハウスを始めます
アマチュアを集めてコンサートを企画・制作していたので 周りにはたくさんの仲間がいたのですが
一人で始めることに 何の疑いも持ちませんでした 誰かと一緒に など考えもしなかったのです
当時はカラオケ全盛期
階下のカラオケ店は大にぎわいでも ライブハウスなど誰も来ない日々
それでも何とか経営を続けますが 3年を待たずに行き詰まり閉店
音響機材だけが残りました

セミナー「共同労働で仕事おこし」①

セミナーが始まりました
今日は初日
受講生として参加するのは このセミナーが久しぶりです
主催者側の方々が参加されています これからの講師陣です
毎年夏の団地のお祭りでMCをしているSさんは
ワタシが音響の仕事で長い間お世話になっていますが
この主催団体「共同労働の協同組合ネットワークちば」の代表
ワーカーズコレクティブ千葉県連合会
日本労働者協同組合連合会センター事業団東関東事業本部
ワーカーズコープちば などの面々
初回は他己紹介のあと 協同組合の概要を学びます
協同組合の成り立ち 歴史 国内の状況…
一般の参加は少ないものの 発言が続きます
特徴的なのは男女の発言の違い
男性は資料のワーカーズを所轄する法的整備が整わないことについての発言
女性はDVD『ガイアの夜明け」のワーカーズの実際の事業の進展がどうなったのか
どこへ行けば仕事に参加はできるのか 求人情報はどこにあるのか に興味を示します
男性が企業だけの関わりで人生の大部分を生きて来たのに対し
女性は地域のコミュニティにしっかりと根づき 人脈も広い ネットワークが豊富
この違いは起業の仕方やスピードに 大きな違いをもたらします
男性は起業の前にネットワークづくりから始めることになります その分時間がかかるでしょう
第2回は2月8日(金)18:30〜20:30 実践編1「食」の仕事おこし
ワーカーズコレクティブ千葉県連合会と各ワーカーズの報告です
皆さんもぜひご参加を‼

共同労働で仕事おこし

ちば市民活力創造プラザで開催される連蔵セミナー
「共同労働で仕事おこし」
http://blog.goo.ne.jp/network_chiba/e/1250652ecbd4f12aadb4d428af33c870
に受講を申込みました
普段はここに勤務しているのですが 今回は受講生です
たくさんの人たちが受講してくれることを楽しみにしています
実はこの場で人探し 人集めをしたいと思っています
講師陣は名だたる方々ばかり
皆さんもぜひご参加を‼

設立資料を作る

中央会からいただいた書類のひな形を見ながら
設立趣意書を作り始めます
イメージを文字にすることで いっそうそれは強固になります
ワーカーズ設立には理念が大切 と言われていました
何か特別な 崇高な理想を描くのかと それがなければ立ち上げてはいけないのかと
当時は結構反感を持っていたのです
今はそれが整理されて文字になります
地道に事業をやり 地道に稼いで 真っ当に税金を払い
普通に暮らしていける収入を得たい 年金ぶんの収入を得たい
これがまさに事業の理念です
年金制度の崩壊は ワタシが20代の頃に年金課の友人から聞きました もう30年以上も前のことです
それが今 現実のものとなっている
自分の暮らしは自分で守るということが 目の前に迫っています
高齢者だけでなく若者にも同様に この不安は襲ってきます
社会的弱者にはなおさらです
何とかして事業を立ち上げ 成功させたいと 強く思います

千葉県中小企業団体中央会へ

明日の種で教えていただいた千葉県中小企業団体中央会に向かいました
設立の相談から登記までの一切を支援していただけるということ
相談員のSさんは山ほどの資料をくださいました
設立時の出資金額など 具体的に話してくれます これは今までに相談した中では初めてのこと
お金のことになるとどこでもあやふやで 釈然としなかったのです
ストレートに話ができるというのは 信頼できる組織だと思います
中央会への入会金も 会費ももちろんこれぐらいかかります と先に言ってもらった方がいいのです
今まで遠くにあった事業の立ち上げのイメージが これでぐっと近くになりました
何をどう準備していけばいいのか 自ずと見えてきます
設立趣意書を作り始めます
ひな形を参考に
名称を考えるのも楽しい作業です
仮に「食の環」にします
かつて南房総で田舎暮らしをしていた頃 地元の農家から自給野菜を仕入れて
習志野市 船橋市あたりまで行商していました
自給野菜です 晩生の在来種ですから病気にも強く味も濃く美味しい品種です
農家では当然ながら出荷用と自給用を分けて栽培します
自給野菜の畑は 土がふかふかです 有機肥料がたっぷり入っているからです
そこでは健康で美味しい野菜が採れます
都市部ではこれが喜ばれました
味の違いは分かってもらえます
ここでの屋号を「やさい いのち ちから」と名付けていました
野菜の命の力をいただいて 自分の命の力にする という命の循環をイメージしました
食の環 とは 命の循環でもあるのです

企業組合 明日の種を訪ねて

花見川のサイクリングロードを 区役所を見ながら過ぎたところに その施設はありました
新しい建物のドアを開けると 忙しく働く女性スタッフ 厨房の奥には板前の男性
社長のKさんは食事中でしたが 快くワタシを迎えてくれます
佐倉市でワーカーズの立ち上げ準備中にお義父様の会社の経営を任され
会社に隣接する土地にこの施設を建てたのです
お義父様は先進的に障がい者雇用を進めて来られた方
その意志を受け継いで この施設も1階は社員食堂を兼ねたレストランに
2階は電気製品のリサイクルなどの作業場
お話をしている間にも障がい者施設の方が見学に打ち合わせに訪れます
こうして現場を見ることは どんな話を聞くよりも 学ぶことがたくさんあります
事業を立ち上げる上での覚悟の仕方 腹の括り方 言葉にならないパワーを吸収できる気がします
関わる人たちの動き 表情 すべてが学びです
今度はランチを食べに伺う約束をして
この施設を後にしました
自分のやりたいことをカタチにする イメージをより強固にする
それができた気がしました

ワーカーズから企業組合へ

ワーカーズの夢は潰えたのでした
ワタシは失った時間を 自分の思いを言葉にしてくれなかった代表の彼女を少しだけ恨みました
自分にはこの場所が必要なのだと なぜ言葉にしてくれなかったのだろうと
ワタシ自身が不全だった頃なら
この恨みの感情を増幅させていたでしょうが それはすぐに消えました
「過去と他人は変えられない」 心理学(交流分析)で言われるフレーズです
このことが分かっていたからです
それからしばらくの間 仕事の合間にお菓子を作り 惣菜を作り
自分のイメージを確かめるように
諦めたくない気持ちを確かめるように過ごしました
シフォンケーキを試作
アップルパイを作る
塩麹や醤油麹を仕込む
キュウリのQちゃん風の漬物を大量に作る
茄子を漬物にする
そんな時 明日の種 という企業組合を知りました
早速HPを見に行きます
企業組合 という聞き慣れない名称
今まで求めてきたワーカーズという仕組みと どこが違うのだろう
ブログに行くと施設オープン直後です
記事にコメントを残しました
すぐに返事が来ました
是非ともご挨拶をしておこうと伺いました

ケークサレ…??

ケークサレとは「塩のケーキ」の意味 フランスのお惣菜ケーキ
都内では中目黒「カフェ・ド・ヴェルサイユ」わずか1軒だけ(現在はネット通販中止)
レシピを見ると確かに美味しそう
早速試作です いろんな材料の組み合わせ レシピを変えての試作
だんだん形になってきます
当事者のメンバーの中からも
これで仕事ができたら嬉しい と希望が見えて来ます
何をどう作るか も大切ですが
彼ら引きこもりには 他人と関わること自体が大切
今まで家族以外の他人とは関わったことがないのですから
そして何より 自分の感情を言葉にして他人に伝えることが肝心なのです
小さな子供が言葉を覚え 周りとの関わり方を学ぶように
少しずつ少しずつ進めていきます

ワーカーズの立ち上げに 代表は話には乗るものの
実際に行動することを躊躇しているようでした
今になって分かることですが
彼女にとってこの工房は引きこもり当事者の居場所である以前に
彼女自身の居場所 彼女のお城だったのです
それを失くしてまで 新しい事業に関わることはしたくなかったのでしょう
彼女自身が夫の依存を受け入れている共依存だったのです
彼女が夫から逃れる場所がこの場だったのです
ケーキ作りをする工房の入り口のアパートに住む男性
工房に怒鳴り込んできたり 男性の当事者に絡んだりする事件が勃発しました
警察に通報し 家人に迷惑行為をやめるよう求めたり
もちろんその間は作業は中断です
そうしている間に年度末
工房には新しい当事者が現れます
お菓子作り教室をやっていた女性
彼女がこの場をリードするようになりました
ひょっとしてこれは代表の意図的な行動かとも思いました
パーソナリティ障害を持つ人がリーダーシップを取れないことは ワタシには分かっていますが
代表には分かっていない様子
これも後になって分かるのですが 彼女は当事者と一緒にやりたかったのです
単年度契約のワタシの仕事は不安定です
来年度はどうしようかと思っていたところだったのですが
ワーカーズの話が進展しない以上 ここで手を引くのがいいだろうと判断
1年あまりのここでの作業は終わりました 一体この時間は何だったのでしょう
食品衛生責任者講習の受講証を引き払い 道具を撤収しました

ワーカーズを作ろう!

ワーカーズコレクティブ
協同組合の一番小さな単位です
同じ目的を持った人が集まって出資し 事業を行い 利益を分配する
これが非営利でなくてはならないと知ったのは ずいぶん後のこと
引きこもりの自立支援をしているスペースがあります
ワタシは当初 ボランティアとして広報版下の制作と
自身のカウンセリング当事者の回復の経験を生かして 当事者の話を聴いたり
ワークショップをやったりしていました
引きこもりの状態の裏には
AC アダルトチルドレン 共依存といったアディクション(嗜癖)があります
これがさまざまなパーソナリティ障害の根っこになっているのです
長い時間 この状態が続いている彼らは 回復にはもっとたくさんの時間がかかります
彼ら自身の中にも諦めの気持ちが生じているので 回復したかに見えてもまた元に戻る繰り返し
代表との話で 彼らが自立できる仕事の仕組みを作ろうと 模索していました
その中で知ったのがワーカーズの存在
ワーカーズコレクティブ千葉県連合会を訪問しました
佐倉市には「回転木馬」「風車」といったワーカーズがあり
県連の方にも案内していただいて話を伺いました
スペースに戻って どんなことができるか話しました
ケーキ作りで仕事を立ち上げよう
ワタシはレシピを探し パウンドケーキから始めることに
材料を変え 調合を変え 試作です
メンバーの女性が持って来たのが ケークサレのレシピでした