こんにちは。勤務医の中嶋です。
年末年始の準備に向けて忙しくなる時期ですね
日頃の疲れに加え、空気も乾燥して風邪をひきやすい季節ですので、皆さんも気を付けて過ごして下さいね
今回は、以前「足先を舐めてしまうワンちゃん」ついて注意点をあげた中で(http://beans.makusta.jp/e248862.html)、
「常同行動」というものについて少し詳しくお話しようと思います
常同行動は文字通り、同じ行動を無目的に常に繰り返すことです。
常同行動にはクルクルと自分の尾を追う「尾追い行動」や尾を咬んでしまう「尾かじり」
光や影を追う「光追い行動」、「影追い行動」、実際には存在しないハエを追うような「ハエ噛み行動」
などがあります。他にも手足や脇腹の皮膚を舐め続ける行動などがあり、舐め続けることによって皮膚炎を
伴うと「舐性皮膚炎」となります
常同行動が、生活する上で支障をきたすようになると「常同障害」という言葉に変わります。
いくらクルクル回っていても、ワンちゃんや飼い主さんの生活に影響がなければ、
単純に常同行動が出ているだけで、何の問題もありません
ただし、常同行動として自分の皮膚を舐め続けた結果、皮膚が傷ついてしまった場合は、常同障害となります。
写真のわんちゃんは、肩のあたりの皮膚を舐めこわしてしまい、出血するほどの傷ができてしまった例です
病変部を拡大したところ↓
常同行動の原因は本人(本犬?)がコントロールしきれないストレスをかかえることにあると言われています
ですから、常同行動が見られるワンちゃんの飼い主さんに診察中お話を詳しく伺うと、
「最近、散歩が少なくなった」
「最近、忙しくて犬を留守番させる機会が多くなった」
「お子さんが産まれて、犬にかまう時間が短くなった」
というようなお話をいただくことが多いです
ちなみに、写真のワンちゃんも飼い主さんが仕事を始めて、留守番の機会が多くなったタイミングで
肩を過剰に舐めるようになったというお話でした
このワンちゃんの治療は、
出血を伴う皮膚のダメージがあり二次感染が心配ですので、抗生剤などで皮膚病が良くなるまで治療しました。
その後は、常同行動をコントロールする必要があるので、まずは生活環境の改善を試みています。
例えば、散歩が少なくなっているようなら散歩の時間を多くとったり、留守番の時間に知育トイを使ったりの工夫をしてもらっています。
また、一度出てきてしまった常同行動は、環境をもとの生活に戻しても行動だけは残ってしまうことが多いので、
不安を取り除いてあげるようなお薬を使ってあげて、常同行動を一度リセットしてあげます。
このタイプのお薬は、効き始めるのに2か月ほどかかりますので、長期にわたる投薬が必要です
このワンちゃんは、まだお薬を始めてから1か月ほどですが、
まだ舐める行動が残っているので常にエリザベスカラーを装着して過ごしています
今後、お薬が効いてきたら簡単なトレーニングなども入れてストレスを感じにくい体質を獲得していくことで
エリザベスカラーがなくても日常生活が送れるようにすることを目標にしています
このような、常同行動が関連する舐性皮膚炎の動物を診察する機会が増えています。
(常同行動は犬にも猫にも起こる!)
「もしかしたら、うちの子は常同障害かも!」と思う方がいらっしゃったら一度病院に相談に来てくださいね。
まず、治療した方がいいかどうかの判断から一緒に相談し、お役に立てる情報を提供できればと思います。
最後に院長不在のお知らせです。
12月6日午前中は院長不在となりますので、院長診察をご希望の方はご注意ください
幕張ビーンズペットクリニック
http://www.m-beans.com