ムラブリ族のお話

【黄色い葉の精霊:ムラブリ族】
世界中には“失われる危機にある言語と民族”があります。
この日本においてリアリティに欠けることなのですが事実です。
その中の1つの少数民族、タイに住む“ムラブリ族”のお話。
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タイは、周囲をビルマ、ラオス、カンボジアに囲まれており、国境地帯の山岳には多数の
少数民族が存在します。これらの民族の多くは焼き畑農耕を行い、国境を越えて移動していたので、
タイ政府は長らく国籍を与えず放置していました。
その中の少数民族「ムラブリ族」
東南アジア最後の狩猟採集民族ともいわれるムラブリ族。
“ムラブリ”とは彼らの言葉で「森の人」という意味です。
彼らは長い年月をかけて、他民族との接触を避けてジャングルの中を移動する生活をしてきました。
森の恵みである小動物や果実などを食料とする狩猟活動が中心の彼らは、バナナの葉を屋根や寝床にした住居を作り、
まわりに食料が少なくなると別の場所に移動する生活をするのです。
彼らが去った跡には黄色く枯れたバナナの葉の住居が残されていることから「黄色い葉の精霊」とも呼ばれます。
「ムラブリ語」という言語はありますが、文字を持たないので文献が残っておらず、部族の起源など歴史的なことはほとんど判っていません。

20世紀後半、彼らの生活の場である森林環境破壊が進み生活は脅かされるようになりました。
森林伐採や焼畑農業でジャングルは減少し、食料事情は悪化するばかりで、狩猟生活を続けることが
できなくなります。
人口も約300人にまで減少してしまいました。
20〜30年ほど前からムラブリ族の多くは、ジャングルを出て定住する生活になり
現在はチェンマイの東方ラオスとの国境近くの村に暮らしています。
集落をつくって各家族が家を持ち、野菜や穀物を作ったり家畜を飼うようになっています。
しかし狩猟生活を何百年も続けてきたムラブリ族にとって、農業はほとんど初めての体験。
生活条件はなかなか向上しません。

そんな中の10数年前、スイス人織物技術者の支援プロジェクトとしてムラブリ部族に
ハンモックの編み方伝授し、ムラブリ族の生活を向上させるためにハンモックづくりが
試みられるようになります。

ムラブリ族並びに少数部族の生産者たちは、厳正な製品チェックと品質向上に努め、
ハンモック業界の中でのオンリーワンブランドを維持してきました。
今では世界でもトップクラスのハンモックブランドにまで成長しております。

価値の低い製品を大量生産するのではなく、高いクオリティーの製品を提供することで
正当な収益を得られるシステムを目指しています。


タイそして世界で高い人気を得る、ムラブリ族の作るハンモック。
少量生産のため市場になかなか出回らず、ハンモック普及率の高い欧米諸国では
「伝説の部族の幻の作品」としてレアな存在になっています。

☆ムラブリ族
http://www.elpr.bun.kyoto-u.ac.jp/essay/sakamoto2001.htm
次回はフェアトレードを交えたお話
Happy Time

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