法人成りをする3つの理由-12 ~番外編~

 法人成りをする3つの理由シリーズも、これで最後になります。
 今まで、節税という視点から法人成りを検討してきました。
最後は節税以外の視点を考えてみたいと思います。
 法人成りの動機について、一番多いのは
ずばり「与信力」ではないでしょうか。
 節税以外で法人成りをする理由でよく聞くのは、
「取引先からの要請」です。
何故か。それは、取引先における与信管理上の問題です。
仕事の実績もあり、もっと仕事を頼みたいけれど、
「個人事業者」という理由で、
会社の総務・財務から制限がかかります。
 もちろん、資本金1円の法人(1円でも会社は
できます)では困りますが、ある程度資本金を
準備できる位の計画性と信用力がなければ
与信を得ることが出来ないというわけです。
 また、コンシューマー向けの業種でも
連絡先が個人事業者だと、信用力に影響が出ると
考えている事業主さんは多いようです(真偽は定かではありませんが・・・)
 同じような理由として、金融機関からの与信力があります。
 一般的には、個人事業者よりも法人のほうが
与信力があると評価されることが多いような気がします。
理由は、その会社の資本力が大きいところですが、
個人事業者よりも法人のほうが継続性・持続性があると、
考えられている部分も大きいと思います。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 いかがでしたでしょうか?
 法人成りをするのは、事業を継続するためのひとつの転機です。
 
同じ商品やサービスが市場から評価を受けるのは
だいたい4~5年位といわれております。
 事業を継続するためには、商品サイクルを考え、
現在の顧客のニーズにこたえつつ、常に将来の事業を
考えて行動しなければなりません。
 今回はわかり易く、節税という視点で検討をしました。
しかし本当の理由は、自らの事業の継続をする事かも
しれません。
 何故なら、自分自身の力には限界があり、
事業を継続・発展するためには信用力をつけ、
組織を創っていく必要があるからです。
 節税をきっかけとして、みなさん自身の事業の発展を
考えるきっかけとなれば幸いです。
 確定申告が終わってから、平成21年の業績を思い出しつつ、
皆さんの将来の事業計画を考える上で、この記事が
お役に立てれば、望外の喜びです。
ここまで読んで頂きまして、ほんとうに有難うございました。
 法人成りについてもっと詳しく知りたい方、
不安がある方は遠慮なくご相談ください。

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法人成りをする3つの理由-11 ~効果が出にくい業種~

 前回のブログで、法人成りのタイミングを、納税の差額で
検討してみました。
 しかし、これはどのような業種にも当てはまるものなのでしょうか?
もう一度、節税の3つのメリットを確認しましょう。
1.所得税額控除が使える
2.事業税5%を払わなくて済む
3.消費税が2年免税になる

 もし、上記のメリットが使えない業種があれば、
法人成りによる節税効果も薄くなってしまいます。
 まず、1の給与所得控除は、どの業種でも使えます。
何故なら、業種に関係なく、役員給与は給与所得になるからです。
 次に、2の事業税について考えて見ます。
事業税は、ほとんどの事業について課税されますが、
業種により税率が変わります。
ほとんどの事業は5%ですが、
あんま・マッサージ・指圧・はり・きゅう・
柔道整復その他の医業に類する事業、装蹄師業は
3%となり、税率が違います。

さらに、
医業等の社会保険診療報酬は、
そもそも事業税が課税されません。

(自治体によっては例外もあります)
 ですので、柔道整復師や内科等のクリニックなど、
社会保険診療が収入の多くを占める業種では、
あまり節税効果が望めません。
 これをグラフにすると以下の通りとなります。
千葉市花見川区幕張町~阿部会計のブログ~-事業税率の違い
 黄色いグラフは「事業税0%」の場合の差額となります。
例えば、差額が100万円の場合、事業税5%であれば、所得が800万円で
差が出ますが、0%の場合所得が1100万円までないと差が出ません。
 また、
社会保険診療報酬は消費税も非課税です。
 社会保険診療報酬が収入の多くを占める場合、
法人成りの節税効果が鈍くなることになります。
 もっと詳しく知りたい方は、こちらからどうぞ
 次回は、節税以外の法人成りの動機について
考えて見ます。
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法人成りをする3つの理由-10 ~法人成りのタイミング~

 さて、前回までで、法人成りの3つのメリットを
説明いたしました。
 もう一度おさらいしておきましょう。
1.所得税額控除が使える
2.事業税5%を払わなくて済む
3.消費税が2年免税になる

 それでは、具体的にはいつ法人成りを
すればよいのか、節税額の違いから検討してみましょう。
実際に所得を、給与所得の場合と事業所得の場合で
比較してみました。
(住民税は税率が同じで、かつ一定なので考慮していません)
 さらにこれとあわせて、国民健康保険の料率を7%として
比較してみました。
 個人事業主は国民健康保険加入の場合が多く、
国民健康保険も多くの場合は、所得が課税の
基準となっており、実際に負担感も大きいところなので
あえて考慮しています。
 その差額の違いをグラフにしたのが下の表です。

千葉市花見川区幕張町~阿部会計のブログ~-税額の差額

少しわかりづらいのですが、所得が500万円~600万円で
納税額の差が70万円を超えています。また、所得が800万円を
超えると、なんと納税額が100万円の差になります。
 それほど多くない所得でも、節税額がだいぶ変わることが
分かるでしょうか。
 もっと詳しく知りたい方は、こちらからどうぞ
 ただ、どんな業種でもこれほど差が出るわけでは
ありません。
 次回は業種ごとに法人成りを考えてみたいと思います。
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法人成りをする3つの理由-9 ~消費税免税の条件~

 さて、前回は消費税の免税についてご紹介いたしました。
消費税は、原則として2年前の事業年度の
(課税)売上高により、その申告義務の有無を判断されます。
今回は、申告義務について説明いたします。
 前回のブログにも書きましたが、消費税の申告義務は、
過去の(課税)売上高により判定されます。
個人事業者の場合、前々年の売上高
法人の場合、原則として2期前の(課税)売上高を
           12か月分に変換した売上高
上記の期間における(課税)売上高が1000万円以上の場合、
その事業年度は消費税の申告義務が生じます。
 個人事業者が法人成りした場合、事業をしている者は
かわりませんが、設立した法人は、
当然に2年前の売上高は存在しません。
よって、法人成りした場合には、消費税が免除になります。
 しかし、ここで注意する点が2つあります。
1.資本金が1000万円以上の場合、消費税が免除されない
2.事業年度2期の免税となるので、1期目の決算が短いと損

 1については、消費税法により定められている事項です。
(消費税法12条の2)免税規定の例外として定められています。
1000万円かどうかは、課税期間開始の日の資本金で
判定されますので、期中で増資して1000万円以上と
なる場合には、消費税が免税となります。
 2について、個人の場合は単純に2年前の売上のみで
判断されますが、法人の場合、12ヶ月に換算されます。
例)
第1期売上高300万円、事業年度が3ヶ月の場合
300万円×(12ヶ月/3ヶ月)=1200万円>1000万円
よって、上記の場合には、第3期目の納税義務が発生します。
(通常の事業年度が12ヶ月の場合です)
 上記の場合、消費税が免除になる期間が13ヶ月と
なってしまいます。
 そのため、決算の時期にも注意をする必要があります。
 上記の注意点を参考にすれば、
最大24ヶ月、消費税が免除されます。
これが3つ目のメリットです。
 以上で、法人成りの3つのメリットを説明いたしました。
次回は具体的に、いつ法人を設立すればよいのか、
ご紹介したメリットを参考に、検討してみたいと思います。
 また、もしこの記事を見て、法人成りに興味をもたれた方、
又は検討されている方、もしくは、もっと詳しく
教えてほしいという方は無料で相談に乗りますので、
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法人成りをする3つの理由-8 ~消費税とは?~

 さて、前回までに、税金の仕組みから考える法人成りの
理由を2つ紹介しました。
もう一度整理してみましょう。
1.給与所得控除が使える
2.事業税を払わなくてすむ

 法人成りをすると、事業所得を給与所得にかえる
効果があることが分かりました。そこから派生される
効果が上記の2つになります。
 最後のメリットは、消費税です。
 ご存知の方も多いかと思いますが、消費税の
申告義務は、過去の(課税)売上高により判定されます。
個人事業者の場合、前々年の売上高
法人の場合、原則として2期前の(課税)売上高を
           12か月分に変換した売上高
 申告義務が無ければ、当然ですが消費税の納税義務は
ありません。よって通常、
事業開始した2年間は消費税を払わなくてすみます。
これを利用するのが3つ目のメリットです。
 ただし、このメリットを享受するためには
いくつかの前提条件があります。
この前提条件を確認しないと、メリットを受けるどころか
納税が増える場合があります。
(つづく)
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法人成りをする3つの理由-7 ~事業税とは?~

 前回は、法人成りをする事で、事業所得を
給与所得にさせる効果があることを
説明いたしました。
 実際にどの程度税額が違うのかを見る前に、
もう少し、所得に関係する税金を紹介します。
 個人の所得に関する税金は、所得税ですが、厳密には
もう少し種類があります。
税金の種類は以下の通りです。
1.所得税(国税)
2.都道府県民税・市町村民税(地方税)

3.個人事業税
 所得税と都道府県民税・市町村民税は
事業所得、給与所得共に課税の対象ですが、
事業所得に課税されて、給与所得に課税されない
税金があります。それが、3番の個人事業税です。
 個人事業税は、個人事業者が納税義務を負う、地方税です。
その行う事業により、税率が分かれています。
ほとんどの事業は課税の対象ですが、社会保険診療報酬には
事業税はかかりません。また、事業的規模でない不動産貸付業
(いわゆる5棟・10室基準)にも、事業税はかかりません。
税率は5%ですが、下記の事業はそれぞれの税率となります。
1.第2種事業に該当する事業 4%
 (畜産業,水産業,薪炭製造業など)
2.あん摩、マッサ-ジ又は指圧、はりきゅう、柔道整復その他の
 医業に類する事業及び装蹄師業 3%
個人事業税について詳しくはこちら
 さて、前回のブログでも紹介しましたが、法人成りをすると、
事業所得を給与所得にさせる効果があることを
説明いたしました。
事業所得であれば、課税されていた事業税が
給与所得になると課税されません。つまり、
その分5%の税金が節税になります。
これがメリットの2番目です。大きいですよ、5%は・・・
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法人成りをする3つの理由-6 ~当期利益は0を目指す~

 前回の続きです。少しおさらいをしましょう。
税引き前当期利益=収益-費用-役員報酬
事業所得=収入(収益)-経費(費用)
   ↓  ↓  ↓
税引き前当期利益=事業所得-役員報酬
 ここで、上記式のうち「税引き前当期利益」を0に
するとどうなるでしょうか。
0(税引き前当期利益)=事業所得-役員報酬
0=事業所得-役員報酬
右辺を整理すると・・・
事業所得=役員報酬
 役員報酬は所得税法上、給与所得に該当します。つまり、
法人成りをすると、事業所得を給与所得に変換することができるのです。
これが1つ目の理由、「事業所得の給与所得化」です。
法人成りすれば、経費と同時に給与所得控除も
使うことが出来ます。
 それでは、どの程度節税効果があるか、
実際に検討してみましょう。
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法人成りをする3つの理由-5 ~事業所得と法人税~

 前回まで、事業所得と給与所得の違いを説明しました。
事業所得 = 収入 - 実際使った経費
       
給与所得 = 収入 - 給与所得控除
              ・・・実際使った経費とは関係がない
 ここで法人税の計算方法を見てみます。
 法人税は、「税引き前当期利益」に法人税率を掛けて
計算します。「税引き前当期利益」は、正規の簿記の
原則に従い、会社法に規定される基準により作成された
損益計算書により計算します。が、少し乱暴に言えば、
その計算方法は以下のとおりとなります。
税引き前当期利益 = 収益 - 費用
 言葉は違いますが、この式は事業所得の計算式に
似ていると思いませんか?
そう、実際の計算は事業所得の式と変わりません。
ただ、大きく違うところが1つあります。
それは、費用の中に、役員報酬が含まれる点です。
これを事業所得の式とあわせると、「税引き前当期利益」の
式は、以下の通りとなります。
税引き前当期利益 = 収入(収益) - 経費(費用) - 役員報酬(費用)
   ↓  ↓  ↓
税引き前当期利益 = 『事業所得』 - 役員報酬(費用)
 ちなみに、役員報酬とは経営者の給与です。
これは給与所得として所得税が課税されます。
 ここで、もし税引き前当期利益が0の場合は
どうなるのでしょうか・・・
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法人成りをする3つの理由-4 ~給与所得控除とは~

 前回説明した給与所得控除とは、一体何なのでしょうか?
法人成りをする3つの理由-2 ~所得税とは?~
説明したことをもう一度おさらいしてみましょう。
所得の算式はこのようなものでした。
3.所得=収入-経費-特別控除

これを給与所得に当てはめると、給与所得控除
特別控除に該当します。
給与所得は、原則として経費が認められません。
その代わり、その収入金額に応じて控除額が
決められています。
(ちなみに、収入1000万円を超えると5%の控除率になります。)
事業所得は、使った分が経費となりますが、給与所得は
控除額が自動的に計算されます。
ちょっと比較してみましょう。
※収入1000万円 経費200万円の場合
事業所得は、1000万円-200万円=800万円となります。
一方給与所得は、この式あてはめると、
1000万円-220万円=780万円となります。
実際に使った経費が200万円にもかかわらず、
控除が220万円となり、この場合は得したことになります。
実学の経費が認められない代わりに、概算で経費を認める
計算方法が給与所得の特徴です。
でも、もし実額の経費と給与所得控除がどちらも使えれば、
すごい節税になると、思いませんか?
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法人成りをする3つの理由-3 ~所得の種類とは~

 さて、所得によっては、税金を多く負担できたり、
逆に負担が大きいと、その個人の生活に影響が出る場合
(自己が保険料を負担する満期保険金など)があります。
この事を 担税力 といいます。
 所得税は担税力の違いに着目して、所得を10種類に分けています。
サラリーマンがもらう給与は 給与所得 といいます。
給与所得の中には、賞与や手当(通勤手当は課税されません)なども含まれます。
また、役員報酬や歳費なども、この給与所得に該当します。
一方、個人事業者が得る所得を 事業所得 といいます。
 給与所得も事業所得も同じ所得ですので、上記3の計算式により
所得を計算します。
事業所得は簡単です。収入は売上、経費は仕入れや経費です。
事業所得の場合の、所得の計算式は、以下のようになります。
事業所得 = 売上 - 経費
青色申告であれば、最大で65万円の特別控除がつきます。
これに対し給与所得は以下の通りとなっています。
給与所得=収入(源泉徴収表の支払金額)-給与所得控除
給与所得控除って、あまり聞きなれない言葉ですね?
これっていったい何なのでしょうか・・・
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