【留学生の就職活動について】(その1)

 今週、仙台で東北の大学の職員の方々を対象に『グローバル人材育成勉強会』に呼んでいただき、「留学生への就職支援」というテーマで講演を行ってきました。
 まあ、あまり私のブログを読む人はいないのですが、当日配布した資料を3回ぐらいに分けて公開したいと思います。興味がある方や留学生の就職支援を行っている方は参考にしていただければと思います。(これ大学の職員向けに書いた文章なんですいません)
【留学生の就職支援で行うこと】その1.留学生の特徴について理解する。
 留学生の就職支援を行うにあたり最初に行うことは「各大学に在籍する留学生の特徴を理解する」ということです。可能であれば全員の国籍・性別・年齢などはもちろんですが、中国・ベトナムの学生などの場合は出身の地域なども押さえておくことをお勧めします。
 以下にポイントについて簡単にまとめておきます。
《就職支援を目的とした留学生の特徴について押さえておくべきポイント》
1. 出身地域(特に中国・ベトナムなど)
本学の場合、留学生に対し履歴書作成セミナーを行うという取り組みを通じて留学生のデータを把握するようにしています。留学生の場合、履歴書から読み取れる情報が多いのでこれにより留学生情報の収集を行っています。
2. 兵役の確認
ご存じのとおり韓国・台湾、その他一部の地域では兵役義務があります。留学生自身もこれを職歴として意識していないケースがあるのでこれを職歴と考えてあげて、職務経歴書などに反映させるよう指導するなど積極的に評価すると良いでしょう。企業の面接で兵役中の内容(業務内容)について聞かれ、うまくコミュニケーションが取れると面接がうまく進むこともあります。
3. 母国の学歴(特に高校卒業後の学歴)
4. 国内日本語学校・専門学校の学歴
手間のかかることではありますが、大学入学前に日本で日本語学校・専門学校を経由して入学した留学生の場合は就職活動にあたり、日本語学校の出席率や成績などの資料を本人に用意させておくことをお勧めします。
5. 母国での職歴
大学4年次に25歳以上の留学生については新卒採用よりも職能を評価した採用と捉え、母国での高等教育歴や母国での職歴を評価してあげた上で就職支援をしてあげるとよいのではないかと考えています。
6. 成績及び奨学金受給歴
留学生にとって成績表は学業に熱心に取り組んでいる証明です。特に成績優秀な留学生の場合、成績表を準備させ大学職員が理解すると同時に履歴書への反映させる指導をお勧めします。
また学内外の奨学金受給歴についても留学生担当部署に確認すると良いでしょう。当たり前のようですが、留学生課とキャリアセンターの連携が十分でないと留学生のこのようなアピールポイントを就職担当部署が知らず、企業にアピール出来ないこともあります。
《主な奨学金について》
・「文部科学省私費外国人学習奨励費」
私費学生のうち、成績優秀な学生が受給を受ける。月額4.8万円×12ヶ月。期間は1年限り更新。おおよそ私費学生の10人に一人程度が受給されている。
・「国費留学生(国内採用)」
優秀な私費留学生が大学4年生の一年間のみ支給できる国費奨学金制度。私費大学の場合、各年度に1名程度しか受給できない。
《まとめ》
 ここまで説明してきたことはいわば企業でいう「自社の製品の特徴を理解する」ということに似ています。例えて言えば企業のコンサルタントが企業の決算書を見るのに加え、自社製品の特徴について調べることに似ているかと思います。
 通常大学生が履歴書を企業に送付する場合、各大学の指定する履歴書を利用することが一般的です。本学の外国人留学生の場合も同様です。大学の就職指導担当部署は通常、大学指定の履歴書を使うよう指導しているかと思います。
 しかしながら、大学指定の履歴書についてはどの大学も日本人大学生の就職活動を念頭に作成されているものであり、外国人留学生の経歴(母国での学歴、日本語学校学習歴・兵役・職歴等)を履歴書の学歴・職歴の欄に書ききれないということも多いかと思います。
このため、外国人留学生が仮にこのような経歴を有している場合は履歴書に加え職務経歴書を作成させることが外国人留学生の就職支援において有効であると考えています。
 なお、この職務経歴書については特に様式を指定せず任意の様式で記入をさせても良いかと思います。
 いずれにしても職歴、兵役等がある外国人留学生の場合は職務経歴書を必ず提出させる方がよいでしょう。いわば、外国人留学生の採用活動は新卒者の就職支援と思わず、社会人の就職支援のような意識で取り組む必要があるということではないかと思います。
続く