雨の日の仕事


今日、千代婆ぁちゃんの家に行ってお話を聞いて来ました。
針仕事をしていた、千代婆ぁちゃん。
まずは一言・・・
『昔は、雨んときゃ、ぼろ(布)のつぎはぎやら、縄ないをしただよ。』
昔は、雨で畑や海に出れない時こそ、家族全員分の着物の繕いをしたそうです。
そんなとき、男衆は畑、海、薪集めに使う縄をなっていた(編んでいた)そうです。
もちろん昔は、ガスなんか無く、炊事やお風呂にも薪を使っていたそうです。
そんな貴重な薪ですが、一年分を集めるのが、丁度今の時期の仕事だったそうです。
薪を集めていた場所は、皆さんもご存知、14号線のキグナス石油(ヤマダ電器隣)の裏の山だったそうです。
この山一体は昔、埼玉県川口のお味噌屋さんが所有していて、千代婆ぁちゃんの実家が管理を委託されていたのだとか・・・。
冬の時期、この山で松の落ち葉、枝、竹などの薪を集め、男衆の編んだ縄で束ねて持ち帰り、一年分の燃料としたそうです。
薪集め(山の管理)の仕事中、眼下には海岸が(今の14号線沿いに)見渡せたそうです。
潮が引くのが山の上から見えると、皆で浜に降り、潮吹きや蛤などの貝採りの仕事をしたそうです。
採って来た貝は、『ムキヤ』とよばれる女の人達(いまのパートさん)の手により文字通り剥かれ、それを男達が自転車で埼玉、茨城まで売りに行ったとの事です。
千代婆ぁちゃんの話を聞くと、文明の力に頼ってしか生きた事のない、テレビやコンピューターばっかり見て時間を過ごす、私たちの暮らしが、なんだか薄っぺらく感じてしまいます。
みんな薄々気付いているはず、でも便利な?世の中で、今までに増して忙しく、立ち止まって考える時間も作れないままでいるのが現状。
たまには、あの山の上で遠くに見える(かもしれない)海をみつめ、『本当に大切なもの』について考えるのも必要かもしれませんね。
千代婆ぁちゃん、今日繕っているのは旦那さんのワイシャツ。
お孫さんの結婚式で着るものだとか・・・。