内閣府が2015年度に実施した調査で、15~39歳の「若年ひきこもり」は54・1万人と推計された。今回、40~64歳の「中高年のひきこもり」について国レベルで初の調査を実施。調査方法の一部変更があったため単純比較はできないが、その結果に基づく推計数は、若年層を上回った。
(略)
今回の推計は、ひきこもる中高年の子と高齢の親が孤立する「8050(はちまるごーまる)問題」が、特殊な例ではないことを示すものといえる。また、「就職氷河期世代」(おおむね現在の30代後半~40代後半)の多くが40代に達したため、中高年のひきこもりが増えているとの指摘もある。
調査時期や手法の違いから「若年」と「中高年」の推計を単純合計はできないとしつつも、北風参事官はひきこもり総数が「100万人以上」になるとの見方を示した。(略)
(朝日新聞デジタル 2019.03.29)
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私が引きこもりの居場所事業を行うNPO法人で有償ボランティアをしていたのが10年ほど前。その頃、利用者(引きこもり当事者)は10代後半から30代後半でした。
ですから彼らが今も引きこもっていたら、もはや中高年。
若い頃の引きこもりなら、そこから立ち直る可能性、時間的な余裕があるのです。親が元気なうちは引きこもっていればいいのです。親が年老いて病気でもしたら、そろそろ外に出て仕事を探す。この時期的な余裕で自分の始末をし、内側を片付ければよかったのですが。
親の財産を食いつぶしてもよかったのです。親は支配とコントロールで子の人生を食いつぶしてきたのですから。
でも中高年だと実際問題として残った時間が少ない。やり直しがきかないのです。本気で短時間で何とかしなくてはいけません。
さて、どうしましょう。
昔なら人付き合いが苦手だったら手に職をつけて職人に。私の両親は床屋の職人でした。
今の時代でもそれは通用すると思うのです。
ネットの発達で在宅での仕事は広がりましたから、仕事の依頼を受けて返す、器用な人ならクラフト系に進む、通販で稼ぐ、など。今なら無料でも開設できるネットショップがいくつもあります。もちろん全部自分でやります。
大切なのは、自分が本当にやりたいことを始め、それを続けることです。淡々と、楽しみながら。
今まで親に向けて発信していたSOSはしばらくやめて、ひたすら自分のことに集中しましょう。好きなことに取り組む上での最低限の対人関係だけには注意を払って。ミスしたら修復して。言葉が足りなかったら補足して。なるべく明るくポジティブに。
親は常に「お前が心配」を口実にあなたを支配し操作(コントロール)しようとしてきます。それに巻き込まれないように。
ただ、今までのように強い恨み憎しみの感情で拒否する必要はありません。親との距離を今までより多く取って、動じないように。
少しなら他人と関わってみたい、という人は製造、商品管理など時間から時間まで働けばいい職種を。空いた時間に同僚先輩と話すことから、対人関係の作り方を学びましょう。そうすれば接客などもできるようになるかも。
決して無理をしないで、嫌ならすぐ辞めて。変な我慢はしないように。ストレスが溜まるだけです。
親はもうそれなりの歳。
あなたには積年の恨み憎しみがあるでしょう。言いたくて言えなかったこと、言って欲しくて言ってもらえなかったこと、して欲しくてしてもらえなかったこと、してあげたくてもしてあげられなかったこと、たくさんあるでしょう。
老いていく親を眺めながら、手放すこと、諦めることを自分の中から探しましょう。親の死を越えて、初めて子は自立、自律します。