裏面交流する人

交流分析にあるこの言葉。裏面(りめん)交流。
物事の裏表、人の裏表と同じ意味です。

私たちが通常している交流のパターンはいってみれば表面での交流。
思ったこと感じたこと考えたことをそのまま素直に言葉にしています。その言葉の裏には他意はない。

私もかつてはそうでした。時々こんな人がいます。思ってもいないこと、考えもしないこと、感じてもいないことを口にする人が。これが裏面交流。

健全な交流=コミュニケーションの取り方を親から教えてもらえなかったのです。AC共依存の人は言葉のコミュニケーションより非言語のコミュニケーションが多かったので、言葉のコミュニケーションは苦手でした。

ましてや幼い頃から感情を抑えつけて育ちます。喜怒哀楽の喜と楽は特に強く抑えつけています。いくつもの禁止令を自分に課して大きくなります。

裏面交流する人の、その目的は何でしょう。思ってもいない、心にもないことを言葉にする目的は?
自分に振り向いて欲しい、注意・興味を向けて欲しい、自分がかけた言葉を受け止めて欲しい、自分に言葉をかけて欲しい、寂しいから構って欲しい…まだまだありそうです。相手への欲求。

自分が相手にかける言葉はそれほど多くないのですが、相手には多くの言葉、対応を求めるのです。

裏面交流を続けていると、お互い不幸です。コミュニケーションを取るのが大変です。相手が本当は何を感じ考え思っているのか分からなくなります。

健全なコミュニケーションを取っている人は物足りない、空回り、感情の共有ができないフラストレーションを感じます。

AC共依存が苦手なのがこの感情の共有、共感です。自分の感情が分からない、他者の感情も分からない。

まずは自分の感情に気づくことが大切です。
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参考までに下の文献(抜粋)を。裏面交流の単純化パターンが示されています。

P=親  A=成人  C=子どもの自我
表面のメッセージとは別のメッセージがある場合があり、これを裏面的交流と言います。前者は社交レベルのメッセージでAからAへ、後者は心理レベルのものでPからCへ、あるいはCからPへのメッセージとなります。図3では、子どもの「今日はコンパに行くから夕食はいらないわ」に対して母親の「どうぞ、好きにしなさい」という反応は表面的にはAとAの交流ですが、「遅くなったらいけませんよ!」というPからCへの裏のメッセージが含まれている場合があります。日本人では、この裏面的交流が非常に多くみられ、会話に奥行きがあるとも言えますが、あまり裏のメッセージが多すぎると人間関係が複雑になり混乱の原因となることもあります。

(早稲田大学人間科学学術院教授

野村 忍)

 

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自分の命を守ることが

少し前のことですが元官僚による婿刺殺事件。

機能不全家族の悲しい末路に胸が痛みます。

父は事務次官に就任。「お前らエリートは俺を馬鹿にしてる」

息子は中学時代からいじめを受けた。アニメ会社に就職失敗。「画力が足りないと言われた」

息子からの暴力で母親は鬱、そして自殺未遂。長女は縁談があったが「兄に変なのがいる」と破談。絶望して自殺。

息子(被害者)は一人暮らしをするが父親(加害者)の「ゴミを片付けろ」などの指令・命令。

同居を開始した翌日に暴行を受ける。息子を殺すこともありうると考えるように。

「殺すぞ」と言われ息子を包丁で刺した。

「できるだけ寄り添ってきたつもりだったが」と父。

ざっと経緯を見ただけでも、かける言葉がありません。

家族の輪廻。世代間連鎖がこの家族にもあったことは容易に想像できます。

父親も同じように育ったのです。自分の息子にしたように、支配とコントロール(操作)で息子に対した。

それは愛ではありませんでした。息子は愛が欲しかっただけなのです。

「できるだけ寄り添ってきたつもりだったが」実際にはそれは寄り添ったのではなく命令、指示でした。

父親自身も同じように自身の親に育てられたので、同じように息子を育てたのです。

子供のこのような暴力・暴言・乱暴な行動はほとんどすべてが親の責任。

子供のこのような行動・言動はすべてSOS.

親にも子にもそのことが分からないのです。悲しいすれ違い。

AC共依存の機能不全家族に生まれ育った子であるあなたにお願いがあります。

このようなことにならないために、親から離れてください。できるだけ早く。

機能不全家族の親は加害者。子であるあなたは被害者になりうるのです。

子には親から離れたくないという執着・愛着があります。あの時に愛されたかった、言いたかったことが達成されていないので、ずっと愛されたい欲求が終わりません。

酷なことですが、それは叶えられません。あなたの愛着・執着を手放すことが必要なのです。

あなたが自分で自分の命を守ることが大切です。

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