「消えたい」 虐待された人の生き方から知る心の幸せ 高橋和巳 著

Twitterで相互フォローしている女性はカナダ在住のシングルマザー。

彼女の紹介ツイートで読んでみようと思いました。

精神科医が向き合うDV被害当事者。著者は彼ら彼女らを「異邦人」と呼ぶのです。同じ時代同じ時間を生きているのに違う。

私は精神科医の著書を読んだのは少なく、磯部潮、斎藤環氏ぐらい。カウンセラーの著書が圧倒的に多いです。
両者の違いは医師の場合は患者、カウンセラーの場合はクライアントと呼び方が違うのですが。同じテーマを扱うのでも向き合い方、見る方向が違うといえます。

精神科医は患者と対向して正面から患者に向き合う感じ。医師は患者を、患者は医師を見る。
カウンセラーはクライアントの隣に座って同じ視線でクライアントと同じ風景を見る感じ、といえばお分かりいただけるでしょうか。

著書を読む場合、どちらが自分に合うかはそれぞれです。

さて、精神科医はこの異邦人と出会います。いつも診る患者とは違います。最初は鬱と当たりをつけても、それはまるで底なしの闇のように。自覚の感覚、言葉の感覚も違う。

機能不全家族に生まれて育ったACアダルトチルドレンとの出会いです。
精神科医の世界では機能不全家族の言葉は馴染みになったようですが、ACアダルトチルドレンの呼称はないようです。〜障害と、パーソナリティ障害と呼ばれることになります。メディカル部門とそれ以外のコ・メディカル部門の違いです。

少しずつ読み進めていくと、著者のカウンセラーとしての力量+精神科医としての力量が見えてきて、しかもその両方を上手く使い患者を導いていく光景が見えてきます。

精神科医の患者への接し方、診断、薬の処方が適切に行われると、患者の症状は見事に回復します。本書を読むと分かります。著者はカウンセラーの養成をしいてるとあります。このような状況が作れているのは素晴らしいと思います。

こんな人がもっと増えて欲しいと思います。

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ヒトは「いじめ」をやめられない 中野信子 著

いじめがなくならないどころか、ますますエスカレートし、ついに犠牲者まで出てしまいました。
いじめる側の何と陰湿な執拗なことか。若い女性を狙う卑怯。許せるものではありません。

著者はTVでもお馴染みの脳科学者です。少し前に買って、このSNSでのいじめのエスカレートと犠牲者が出てしまった機会に読み始めました。

オキシトシン、セロトニン、ドーパミンという脳内物質、性ホルモン・テストステロンが、いじめ=サンクション(制裁行動)を支配している、と始まります。

「大津市中二いじめ自殺事件」にも触れ「いじめ防止対策推進法」「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」策定といった学校の取り組みにも触れます。

傍観者が通報すればいじめは減るのか
の章では「日本では沈黙は金、というように、仲裁する人よりも傍観した人が最も得を得やすい」と。同調圧力の強さも挙げています。

脳内物質、性ホルモンのせいなのか、と何だか暗澹たる気持ちになるのですが、後半ではいじめの回避策も書かれています。成長に合わせて自分をコントロールする「メタ認知力」が大切、とも。

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