満たされないままの愛

ACアダルトチルドレンの育ちは不安と恐怖に満ちている と書きました
自分の世界のすべてである家族の中で 愛されている 歓迎されている実感が持てないのです
健全な家族の子どもなら 一身に愛と歓迎を受けて育つのでしょうが
険悪な夫婦の元では 生まれて来たことを歓迎されることもなく育ちます
いつ爆発するか分からない家族のメンバーの顔色や気配をうかがい 
その矛先が自分に向けられはしないかと いつもおどおどしています
親との 特に幼児期に必要な母親との間で 充分な愛情欲求が満たされません
母の肌の温もり 柔らかさ 匂い 撫でられる安心感 こんな原初的な感覚や欲求が満たされないのです
0歳から3歳ぐらいまでの子どもです
見る 聞く はできても言葉はまだ出ません 自分の感情を言葉にできるようになるのは もっと先のことです 
でも見ています 聞いています そんな子どもは本能的に自分の命を守ります
不安と恐怖の中で 自分はどうしたら身を守って 生き延びて行けるか
そうして生き延びた子どもは まさにサバイバーです
そんな子どもが親からもらったものは 笑わないこと 自由奔放な感情を表さないこと 自分が犠牲になったりピエロを演じること
この親の元で生きて行くために 本能的に無意識に選ぶ道です

生き辛さの元はコミュニケーションの不全

ACアダルトチルドレンの生き辛さ
他人と上手くやれない
どう関わっていいのか 何を喋ればいいのか分からない
コミュニケーションが取れない 自分を上手く表現できない
結果 他人に疎んじられる 仲間はずれにされる いじめられる
引きこもってしまう 仕事を辞めてしまう 学校へ行かなくなる
負の連鎖にはまってしまいます
なぜコミュニケーションが取れないのでしょうか
これも親からの学び
原家族がコミュニケーション不全なのです
コミュニケーションとは相互交流
ことがら 情報 知識 思考の相互の交流です
さらに感情の交流があります
感情を言葉にして相手に伝える
相手はそれに呼応して感情を言葉にする
このやり取りが交流の真骨頂といえます
ACは知識も知能もあります 情報量も多い 決しておバカではありません 頭はいいのです
ただ 感情の表現ができないのです
周りの人たちのやり取りを見て
なぜあんな楽しい言葉のやり取りができるのか
ACには分からないようです

共依存〜親に奪われた「私」〜

共依存の過保護 過干渉
機能不全家族の親子関係に は自他の境界がありません
親は子どもの身の回りの世話を焼くどころか 子どもを自分の所有物として扱います
子どもの人生を奪い取ります
無償の愛ではなく条件付きの愛で育てます
「子どもがどんなにダメでも、親は子どもを無条件に愛する」のではなく
「勉強ができないからダメ 言うことを聞かない子は嫌い」と
あらゆる手を使って子どもを支配 コントロールします
あなたの人生はあなたのもの と言っても、その感覚が理解できません
自我の確立 自立 自律ということができていません
親は子どもに教えていないのです
自らも 自分の親から教えてもらっていないのです
家族の輪廻 家族内連鎖です

ACアダルトチルドレンの「困った」

ACの一番の特徴は「実年齢よりも若く見られる」こと
歳の割に若い 子供っぽい 幼い言動を見せるようです
これ自体は悪いことではありません 誰しも若く見られるのはちょっと嬉しい
ACの幼さ 幼児性はあんまり可愛くありません 
認知(ものの受け止め方 感じ方)が子供のままです
無理もありません 幼児期のトラウマが未だに本人を苦しめているのですから
幼児期のトラウマ それは家族から始まります
幼児期の子どもにとって その世界のすべては両親と生活のスペースですが
本来なら安全であるはずの家族は機能不全です
親からの暴力…肉体的な あるいは言葉での暴力 虐待 いじめ
子どもに向けられる直接的なものだけでなく
父母の夫婦関係の不全 夫婦喧嘩
DV アルコールやギャンブルなどいろいろな依存
子どもは夫婦の関係を見て育ちます
いつ起こるか分からない暴力 罵声
小さな子どもにとっては恐怖と不安に満ちた場所でしかありません
その世界での出来事が 子どもの安心や安らぎ を奪うものであれば
その子の心は不安定になります
もっと酷いと心(インナーチャイルド※1)の成長が止まるのです

※1:インナーチャイルド:内なる子ども という概念を使って説明しています もう一人の自分 自我 と言い換えてもいいでしょう
強いトラウマによってこのインナーチャイルドの成長が止まっているのがACアダルトチルドレンです

悲しい嗜癖

思わずTwitterでこう呟いてしまいました
@iPure08: ボーダーっぽい嗜癖の人は、言葉をコミュニケーションのためにではなく、攻撃のために、自分を守るために使う。彼らにとって言葉は武器。相手を矢のように刺す。これもまた親からもらったもの。コミュニケーション不全の家族に生まれて育った悲劇。
知り合いのメールを読んでいるうちに 過去の体験 やり取りを思い出したのです
ボーダー嗜癖(※1)の人の場合は 言葉をコミュニケーションの道具としてではなく 武器として使います
言葉でのコミュニケーションを学ぶことなく大人になったためです
そんなことがある訳がない と思うでしょうが これが機能不全家族に育った証
機能不全家族の特徴は
言語コミュニケーションの希薄な その代わり非言語コミュニケーションの多いこと
表情や仕草 目つき ため息を言葉以外のメッセージを強烈に出します
健全な家族なら感情を普通のテンションで言葉にして 相手に伝えますが
彼らにはそれができません ただ感情的になることは得意です すぐにキレる
怒り 暴力 無言 そして言葉の暴力を駆使する
この家族の子どももまた そんな親の言葉のやり取りを見て 聞いて 学びます

※1 ボーダー嗜癖:ボーダー=境界性パーソナリティー障害とその周辺も含めて 嗜癖:医学領域では「症状」となりますが コ・メディカル領域では「嗜癖」という言い方になります ボーダーっぽい という意味で使っています

共依存って何?

共依存
これは少し知られている言葉でしょうか
依存する側とそれを助長する側「共依存」
アルコール依存の家族の場合でみると
アルコールに依存する人ーーこちらは依存者
それを助長する人ーーこちらが共依存者 となりますが
共依存という場合は この双方の人間関係を言うことが多いようです
最近よく話題になる母子カプセル 一卵性母娘の場合は
母と娘の相互が依存し共依存する構図です
夫婦や親子の間だけで見られる共依存ですが
稀に距離の近い他人どうしの間にも見られます

※ACアダルトチルドレン や共依存というという言葉は 精神科医が診断名として使う医学用語ではなく
コ・メディカル=医師以外の医療・介護・ケースワーカー・カウンセラーなどの分野から生まれた言葉です。

ACって何?

同じタイトルでmixiなどでブログにしていますが
ここでは初歩的なことに触れます
タイトルのACとは アダルトチルドレンのこと
アダルトチルドレンって 未だにあまり馴染みのない言葉かもしれませんね
これは「機能不全の家族に育って大人になった子ども」と訳されています
元々は「アルコール依存性の家族に育って大人になった子ども」だったのですが
現在ではDVやネグレクト(育児放棄) 薬物依存 ギャンブル依存の家族に育って大人になった子どもなども含まれます
つまり幼児期に家族のメンバーの人間関係の不全が元で
心に深い傷を負ったまま 癒されずに大人になった人のことです
この家族に生まれてよかった
自分はここに生まれたことを歓迎されている
この世に生まれて幸せだ
自己肯定感 自己愛 自尊心 自分にOKと言える自分
などの感覚がとても低いのです