ごぶさたしてます、A・オーボエです
演奏会もはや2週間後となりました。
追い込み中です~
さてさて、今日は第31回演奏会にて演奏する
『ブラームス交響曲第1番』の曲目解説です。
文章提供は、トロンボーンAさん。ありがとうございます~
これを一読してから演奏会で曲を聴くと、今までとはまた違う聴き方ができるかもしれませんよ。
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ブラームス (Brahms)
■交響曲第1番ハ短調作品68
Symphony No.1 in C minor, op.68
ブラームス最初の交響曲は,構想から完成までに21年も掛かっています。恐ろしく慎重にかつ情熱を込めて作られた作品です。このエピソードとともによく知られているのが,当時の指揮者ハンス・フォン・ビューローによる「この曲はベートーヴェンの第10交響曲だ」という評です。
ベートーヴェンの流れを汲んで古典的な構成のソナタ形式の作品を書いてきたブラームスには,「交響曲は何としても書きたい。しかし,ベートーヴェンの後にいったいどんな曲を書けば良いのか?」という難題が20年間に渡って突きつけられていたのでしょう。それに対する立派な回答がこの第1交響曲です。「ベートーヴェンの第10交響曲」という評については,ブラームスは好まなかったと言われていますが,これは最大級の賛辞といえます。
いずれにしても,この交響曲は,ブラームスの苦心と年輪が曲の重みとなって反映している聞き応えたっぷりの作品です。ハ短調からハ長調へというベートーヴェン的な構成の中にロマン派の交響曲らしい,豊かな膨らみが詰め込まれています。この「苦しみから勝利へ」という図式は,子供が自分の父親を乗り越えるという風にも聞くことができそうです(当時,政治的分裂が続いていたドイツが統一されていますが,それを祝って作曲したという説もあります)。
この作品が最初に構想されたのは,ブラームス20代の時ですが,いくつか書いたスケッチはピアノ協奏曲第1番になったりドイツ・レクイエムになったりセレナードになったり,いろいろなものに転用されました。そういったエピソードもブラームスらしさを感じさせてくれます。
ただし,こういった作曲までの苦労話を全然知らなくても素直に「すごい曲だ」とオーケストラの響きの充実感を楽しめる作品です。冒頭のティンパニ,第2楽章のヴァイオリン,オーボエ,第3楽章のクラリネット,第4楽章のトロンボーン,ホルン,フルート…といった個々の楽器の”働きぶり”もとてもよく分かる作品です。ブラームスの大曲をはじめて聞くには最適の作品と言えそうです。
第1楽章
ウン・ポコ・ソステヌートという指示のついた堂々とした序奏で始まります。最初の部分ではお経に合わせて木魚を叩くような感じで「ドン,ドン,ドン…」と叩くティンパニの確固たるリズムが印象的です(変なたとえですみません)。この上に弦楽器がジワジワと半音ずつ上昇していくような悲壮な感じのメロディを演奏します。管楽器の方は反対に下降していくメロディを演奏していますので,何とも言えない複雑で重苦しい雰囲気がしばらく続くことになります。この半音進行は全曲を通じての基本的な動機となっています。この曲全体に重みが感じられるのは,この序奏の雰囲気が一貫しているからとも言えます。
このお経のような部分が終わると,穏やかな気分になり,木管楽器や弦楽器に新たな動機がでてきます。しばらくするとまた最初のジワジワと半音で動いていく部分に戻ります。その後,オーボエが哀愁を感じさせる印象的なソロを演奏します。
このメロディを他楽器が受け継いで静かになったあと,「ドン」と一つ音が入り,ソナタ形式で書かれたアレグロの主要部に入っていきます。序奏部の動機をほのめかした後,ヴァイオリンによって低音からぎこちなく上昇していくような第1主題が演奏されます。この主題も序奏部に出てきた動機と関係しています。穏やかな気分のある経過部の後,曲は長調になりオーボエが優しい第2主題を演奏します。これにクラリネットやホルンなどの楽器が絡みます。
その後,また暗い気分に戻り,弦楽器に「タタタ タタタ…」と何かが迫ってくるような動機が出てきます。これが「タタタターン」となって運命を動機を思わせるような気分を感じさせながら小結尾となって呈示部が終わります(ここで反復の指定が入っています)。
展開部は第1主題の処理で始まりますが,しばらくすると「タタタターン」のモチーフが出てきます。このモチーフがいろいろな楽器で演奏される一方,「元気を出せ,わが弱き心よ」という古いコラールのメロディが弦楽器で演奏され,この2つが絡まりあうようにして展開していきます。静かになった後,序奏部のような気分でジワジワと音が盛り上がってきて,ティンパニが激しく連打するクライマックスを築いた後,再現部になります。
再現部は呈示部とほぼ同様の内容です。楽章の最後は,一息ついた後,メーノ・アレグロに速度が遅くなり,ティンパニが弱く連打する上に第1主題をほのめかすようなメロディがハ長調で演奏されて静かに結ばれます。
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次回は第2楽章を掲載します。
お楽しみに