第31回演奏会 曲目解説その3

こんばんは、幕フィルA・オーボエです。
前回に引き続き、最終楽章の掲載です。
やっぱりまたまたこの記事も当団のトロンボーンAさん作となります。
前の記事を未読の方は、ぜひ前の記事も読んでみてくださいね(^^)
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ブラームス (Brahms)
■交響曲第1番ハ短調作品68
Symphony No.1 in C minor, op.68
第4楽章
第1楽章同様,立派な序奏のついた楽章です。主部は展開部のないソナタ形式で書かれています。この序奏部に出てくる素材が楽章後半の主部で使われるのも第1楽章と同じです。
序奏部は威厳あふれる堂々とした気分で始まります。続いて独特のリズムを持つピツィカートの部分になります。コントラ・ファゴットの低い音が入ったりしてちょっとグロテスクな印象を与える部分でもあります。木管楽器などを中心とした高揚感のある部分の後,ティンパニの連打になります。それが弱くなった後,有名なアルペン・ホルンを思わせるホルンのソロの部分になります。
このメロディは,ブラームスがクララ・シューマンに贈った歌曲の断片のメロディです(原曲はやはりアルペン・ホルンのメロディとのことです)。ちなみにこの歌曲の歌詞は「山の上高く,谷深く,私は1000回もあなたにお祝いのご挨拶をします」というもので,ブラームスのクララに対する情熱が溢れたものです。そういうつもりで聞くと非常に情熱的にも感じられます。このメロディがフルートに清々しく引き継がれていきます。
この部分では1番ホルン,1番フルートが主旋律を演奏しますが,その息継ぎの小節を各2番奏者が同じ音を伸ばしてサポートしているので,両者一体となって途切れることがありません。息の長い美しいメロディ・ラインを楽しめるような工夫がされている部分です。
その後,トロンボーンにコラール風の印象的なフレーズが出てきます。これも古い聖歌に基づくものと言われています。再度,アルペン・ホルンのメロディが出てきた後,この部分が静かに終わると主部になります。
ここで出てくるのがベートーヴェンの「歓喜の歌」に似ているといわれている第1主題です。この主題がヴァイオリンの低音から滑らかに出てくるのを聞くと曲の気分も晴れやかなものにパッと変わります。このメロディは第9と似ているといえば似ていますが,そっくりという感じでもありません。ブラームス自身も「愚かな人には何でも同じに聞こえる」と否定的に応えたそうです。似ているにしても似ていないにしても,良いものは良いという感じの素晴らしいメロディです。
その後は,このメロディにいろいろな動機を加えて熱気を帯びて進んで行きます。弦楽器が活発に動き回わり,再度アルペン・ホルンのメロディが出てきた後,ヴァイオリンに第2主題が出てきます。この主題は身をくねらすような動きのあるものでト長調で演奏されます。それに続いてオーボエに3連符を織り込んだ第2主題第2句が出てきます。その後,小結尾に入ります。ここではヴァイオリンに高揚感のある新しいメロディが出てきます。次々と高揚感のあるメロディが出てくる展開はこの楽章の大きな魅力です。
ここで一区切りが付くと展開部には入らず,第1主題に戻ります。この楽章は展開部がない代わりに,この繰り返しの部分で展開部的な様相を見せます。対位法的な音の絡み合いも見せ,大きな盛り上がりを見せます。アルペン・ホルンの主題が出てきた後,一息ついた後,第2主題がハ長調で再帰します。
再現部が終わった後,この曲全体のクライマックスであるコーダに入っていきます。爆発直前の緊張感をたたえながら,第1主題の展開が行われた後,「タッタカ,タッタカ」というリズムが出てきて,曲の推進力を高めていきます。そのクライマックスで,序奏に出てきたトロンボーンによるコラール風のフレーズが今度はトランペットなどを含めてさらに華やかになって再現されます。非常に効果的で格好良い部分です。ティンパニの決め所でもあります(このティンパニは単純に2発入れるのが楽譜どおりなのですが,少し前の時代の指揮者では華やかにドロドロドロと連打をさせている人もいたりします。)。
その後は晴れ晴れとした気分も出てきます。再度「タッタカ,タッタカ…」というリズムに乗って,時々,見得を切るように立ち止まりながら大きな盛り上がりを作って,力強く全曲が締められます。
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いかがでしたでしょうか?
曲を知ってる人は「うんうん、そうなんだよねぇ」って頷くところも多かったのでは?
ここまで読んでいただきありがとうございます。
興味があったら是非、6/21の演奏会まで足をお運びください♪
最後に。
記事を提供していただいたトロンボーンAさんに感謝を。
最初に文章をいただいたとき、Aさんの、音楽に対する想いが感じられて圧倒されました。
掲載にご協力いただき、ありがとうございましたm(__)m