カテゴリー別アーカイブ: 楽器紹介

幕フィル的 楽器紹介《トランペット編》

幕フィル団員の協力を得てお送りする、
『幕フィル的 楽器紹介』第2弾!
今回は、これも誰もが知ってる楽器、
トランペットです。

え~、構造を簡単にいうと、
唇を振動させて音を出し、
管を通る間にあの音になるんですね。

そして、3本のピストンを押して音程を変えます。
ピストン下の両横にあるU字型とO型の金具は、
左手の指をかけて管をスライドさせ、
音程の微調整をするものです。
さて、他のパートから寄せられた疑問に
「ピストンが3本しかないのに、どうして音階を吹けるの?」
というのがありました。
ちょっと長くなりますが、金管楽器に共通の原理なので、
ここでざっと説明します!
まず、これを見てください。

バロック~古典(バッハ~ベートーヴェン位)の時代の
「ナチュラルトランペット」です。
ご覧のとおり、ピストンがありません。
でも、唇の調節でいくつかの音が出せるんです。
ゆるめにすると低い音、締める(張る)と高い音。
そうすると、こんな音階(?)が吹けます。

「倍音って何?」とは訊かないで下さいね★
私も良くわかってないので・・・(^^;
バロックの頃は、高い方の音でメロディを吹いたり、
管の長さ=基本の音(調)が違う楽器を何本か用意して
演奏したりしたそうです。
現在のトランペットは、ピストンを押すと
迂回管に息が通り、その分音程が下がります。
3本のピストンでその度合いが違い、
その組み合わせと、唇の調節を合わせていろんな音程を出せるのです!
おわかりいただけましたか?
でもこんな歴史があるために、楽譜で苦労するとか。
というのも、前述の「管の長さが違う楽器」は、
楽譜では全部「基準の音がド」で書かれるから。

↑ 『エグモント』の楽譜ですが、パート名に続く
「in F」は、F(ピアノのファ)が基準という意味で、
楽譜で「ド」と書いてあれば「ファ」の音を出します。
これが曲の途中で「in D」とか「in A」とか変わると、
実際に出す音が何か、読み替えが大変なんだそうです。
そして、オケでは重要で目立つ場面が多く、
「醍醐味」と「苦労」が紙一重のようで(-_-;)。
本番で成功したらとても満足感があるけど、
その分プレッシャーも相当で、失敗すると目も当てられない★
反面、それ以外は「休みが多くて数えるのが大変」。
・・・これって、弦楽器と真逆だわぁ~。
ほぼずっと弾いてて、ミスっても(トップ以外は)
案外目立たず、普通に弾けば音は出る。
だからでしょうか? 今回のアンケートで、トランペットの皆さんの
「やってみたい楽器」が「ヴァイオリン、ヴィオラ、弦楽器」。
他パートへの声も、全員が弦楽器あてでした。
ちなみに、体力的な面では肺活量はそんなに必要ないそうですよ。
むしろ細い管に息を集中するから、血圧上がりそう(冷汗)。
管が太くなってく フリュ-ゲルホルンあたりだと、
息が足りなくてつらいそうですが。
アンケートでもう一つ。
トランペットを選んだ理由として、
「(ホルンやチューバに比べて)楽器が安い」という人が(^^;
ヤマハのHPで調べたら、確かにその通り!
一般的なB♭管・ピストンの楽器で5~30万円です。
(ロータリーのだと、いきなり60万円以上でした☆)
最後に、あるトランペット吹きから一言!
「オケで天国と地獄の気分を味わいたい方は、
 ぜひ一緒にトランペットをやりましょう!?」

では、また次回~♪ (びおら~1号)

幕フィル的 楽器紹介《ヴァイオリン編》

いよいよ本格始動!
『幕フィル的 楽器紹介』です。
まず最初は、オーケストラといえばこの楽器、
ヴァイオリンです。

楽器の構造はわりとシンプル。
本体の中は空洞で、弦と本体の間に立っている
「駒」が弦の振動を伝えて、音を響かせます。
実は駒の下あたりの(外からは見えない)胴の中に、
「魂柱(こんちゅう)」という つっかい棒のようなのが入ってて、
駒とセットで大事なパーツです。(両方とも接着はされてません)
これらが倒れたらオオゴトです★
弦の材質は、スチール・ナイロン・ガット(羊の腸)があり、
さまざまな銘柄の弦を、音色などの好みで使います。
でも、ガット弦は音はいいけど湿度などの影響で切れやすいし、
お値段も高い(^^;;)ので、あまり使ってなさそうです・・・。
遠くから見てるとヴィオラとの区別がつきにくいですが、
並べると・・・

こんなに違います。(もちろん右がヴァイオリン)
正面からの比較写真は良くあるけど、
厚さもわかるように横から撮ってみましたv(^^)
そういえば、両方弾いてるHさんいわく
「ヴァイオリンって小回りがきく楽器だったんだ~。」
細かい動きは、ヴァイオリンの方が楽みたいです。
実際のオーケストラの楽譜は こんな感じ。

(ベートーヴェン作曲「エグモント序曲」の2ndヴァイオリン)
1stと2nd は、同じ楽器でも役割がだいぶ違います。
見づらいけど、3段目は「その音を16分音符で刻む」だし、
5段目はひたすら8分音符。
この時1st は、メロディーを弾いてます。
オーケストラでは、そういうのが多いんです。
そこで、それぞれのパートについて聞くと、
【2nd の場合】
・CDを聴いても、楽譜を見ないと自分のパートがわからない
・伴奏、リズム、対旋律など、色々やって楽しいけど報われない
・地味な楽器の、ある種 究極。曲の全てを知ってないとできない
・苦労は、主旋律(主に高音)と伴奏(主に低音)の板挟み
【1st の場合】
・メロディーでわかりやすい
・音が高い!(音程が取りにくい)
・・・な、なんだか2nd はボヤキだらけに見える(汗)。
でも更に聞くと、1st も2ndもそれぞれの面白さがあって、
どっちが好きとかは無いそうです。
パート分けは、幕フィルでは各自の希望で
だいたい決まるんだそうですよ。
そしてオケでの醍醐味は、人数が多いこと。
みんなで音が揃ったときは、鳥肌モノで気持ちいいとか。
作曲家の好き・嫌い(苦手)を訊いてみたら、
「好き」の一番人気はブラームス!
なんと、回答7人のうち、5人が挙げてます。
うんうん、ブラームスの弦楽器はオイシイんですよね~♪
他はバッハ、ヘンデル、ドヴォルザーク、チャイコフスキー等。
面白いのがモーツァルトで、
「好き」と「苦手」が同じくらい・・・。
聴く分には楽しげな曲が多いけど、
演奏ではごまかしが効かないから、でしょうかねぇ★
ところで、世間の大方の人の
ヴァイオリン弾きに対するイメージって、
「小さい頃からやってるんでしょ?」
「楽器だって、(買うと)すごく高いんでしょ?」
「難しそうな楽器を弾けるなんて、すごいわねぇ~」
・・・という感じじゃないでしょうか。
下手すると、違う世界の人みたいな☆
でも、アマチュアの場合はいろんな人がいますよ~。
まず、ヴァイオリンを始めた時期は、けっこうバラバラ。
早い人は4歳とか、小学校3年生とかだけど、
(ちなみにコンマスと2ndトップ)
中学・高校・大学からとか、大人になってからの人もいます。
(実はコンミスHさんも!)
始めたきっかけは、学校のクラブ活動が意外に多いですねぇ。
プロはともかく、趣味で弾くならそれでも大丈夫。
クラブで始めた人だと、先生などに
楽器を決められる場合も・・・(小柄だから、とか)。
最後に、楽器のお値段の話を。
プロで活躍する人なら、ストラディバリとか
何千万~億の楽器を使う人もいます。
でも普通のアマチュアには無理!(笑)
ある楽器店のHPやチラシを見る限り、
初級・中級向けで、ケース・弓など込みで
20~60万ぐらいが多いようですね。(せいぜい100万超え)
初心者向けで、5~10万ぐらいといったところ。
さすがに、通販で見かける「セットで1万円!」なんてのは
「どんな音がするか怖い」とか。ですよねぇ・・・(- -;)
というわけで、《ヴァイオリン編》でした。
本当はボウイングのこととか、
入れたかった内容はあるんだけど、
長くなるのでこのへんにします。
弦楽器共通の内容は、別記事で補足したいと思います。
では、次回をお楽しみに♪   (びおら~1号)

幕フィル的 楽器紹介《セクション編》

こんにちは、びおら~1号です。
気づけば、もう1月も下旬★
このカレンダー(自分の部屋の)も、
写真に写ってる日を過ぎてしまいました(汗)。

ちなみに、表紙はこんなのです。

というわけで、遅ればせながら・・・
お待たせしました!
(え?待ってない?)
以前 予告していた企画を、やっとスタートします。
題して『幕フィル的 楽器紹介』。
実際に演奏する人の視点を含めて、
オーケストラの楽器を紹介してみようという試みです。
そもそも これを考えたきっかけは、
意外と他の楽器の事を知らない人が多いこと。
そして、最近は楽器紹介の本もいくつか出てるけど、
楽器自体のメカニックな構造とか、
プロの視点でのエピソード紹介ばかり。
もうちょっと身近な話で、
アマチュア演奏家の気持ちや事情も
紹介できたら、と思った次第です。
それと、自分では楽器をやらないけど
何かの縁でこのブログを見てくれてる人に、
オーケストラを少しでも知って
興味を持ってもらえたら、とも思ってます。
ただし、あくまで幕フィル団員に
アンケート&取材した結果ですので、
その辺はご了承ください。
(だからタイトルが『幕フィル的~』)
さて今回は、各楽器を紹介する前に、
オーケストラにはどんな楽器があるか、
セクション(楽器の分類)別に
ざっくりと説明します。
まず、オーケストラの前半分にいる弦楽器。
(わかりやすいように、画像はアンサンブルのです)

この写真だと、左から順にヴァイオリン、チェロ(座って弾いてる)、
ヴィオラ、奥にコントラバス。
弓で弦をこすって弾くので、「擦(さつ)弦楽器」とも言います。
基本的に、楽器の構造と演奏の原理は
だいたい一緒です。(細かい話は各楽器のときに)
実は、楽器が大きくなるにつれて
弓は短く、太くなっていきます。

上からヴァイオリン用、ヴィオラ用、チェロ用、コントラバス用。
張ってあるのは、馬の尻尾の毛。時々張り替えます。
次に、弦楽器の後ろにいる木管楽器。

左から、フルート、オーボエ(楽器が隠れてる・・・)、
一つとばして赤い長い楽器がファゴット、そしてクラリネット。
木管楽器は、その名の通り木でできている・・・
と言いたいところですが、例外もあるので別の観点で。
唇以外のものを震わせて音を出し、
管の穴をふさいで音程を変えているのが木管楽器です。
フルートは、息を吹き込んで空気を震わせて音を出し、
他の木管楽器はリード(アシという植物の薄い板)を
震わせて音を出します。
リードの良し悪しが演奏を左右する面があるそうです。
フルートは金属製のが多いけど、上の理由と
元々は木でできていた(今もある)ので木管です。
そして、オーケストラではあまり使わないけど
サクソフォンも木管楽器なんですよ!!!
金属製だけど、吹き口はクラリネットと同じ形で、
たくさんのキイで音を変えてますからね。
続いて、後ろのほうに陣取る金管楽器。

左の三人がトランペット、あとは左から順に
チューバ、ホルン、トロンボーン。
唇を震わせて音を出し、
ピストン(主にトランペット)・ロータリー(ホルン・チューバ)・
スライド(トロンボーン)で管の長さを変えて音程を作ります。
長時間吹いていると、唇が痛くなってきて(バテて)、
特に高い音が出なくなります・・・。
そうそう、金属とはいえ軟らかい材質なので、
ぶつけると割と簡単にヘコミます。ご注意を★
最後に打楽器。

オーケストラで主に使われるのは、
この写真のティンパニですね。
他には、曲によってシンバル・トライアングル・
タンバリンなどの鳴り物系、
大太鼓(バスドラム)・小太鼓(スネアドラム)などの太鼓系、
グロッケン・マリンバなどの木琴・鉄琴系が入ります。
毎回、楽器の移動が大変そうです。
楽器を叩くバチ(マレット・スティック)で音色が変わるので、
いろんな種類を使い分けるようです。
・・・という感じですが、いかがでしょうか?
次回から、それぞれの楽器について詳しく紹介します。
トップバッターは、ヴァイオリンの予定です。
では、また次回~。