自治会の歴史(10)街区長の役割の変遷

IT委員会代表TT

1.筆者は平成29年度に十数年ぶりに自治会副会長を担当した。この十数年間、防犯パトロールと見守り隊に夫婦で参加しており、優等生の自治会員であると自負していた。ところが、いざ再度、副会長を担当してみると、この十数年間で自治会を取り巻く環境はまるきり変わっていると感じた。

平成30年度で退任し、今年の新役員の皆様の抱負を読んでいると、2年前の私と同じ状態の人がいることに気が付いた。とくに、10年以上前に役員を経験し、その後、防犯パトロ―ルや見守り隊隊に参加する余裕がなかった人の感想は浦島太郎のように思えた。ここでは、一つの大きな変化として、街区長の役割の変遷を取り上げる。

この十年間に、街区長の役割は2度変化した。いずれも、「街区長がまわってくると、過剰な負担がかかるので、自治会を脱会したい」という人が出てきて、その対策であった。

2.従来の会則9条には、街区長について次のように書かれていた。 (平成21年度会則から抜粋)

街区長は原則として、輪番制にする。…… 各種文書の回覧、配布、会費の徴収等自治会に必要な業務を行う。

…… 街区長は会計、第10条の部会のいずれかに所属する。

3.自治会脱会者の発生を避けるために、平成23年度(または22年度)に、特別な事情がある場合は輪番制をスキップすることが出来ると改訂された。

会則第9条(平成23年度会則から抜粋)

ただし、高齢、病弱、留守等本人から辞退申し出が書面でなされた場合には、審査の上認めるものとする。

どの程度の人がこの会則改訂に適応されて、街区長をスキップして、脱会は避けられたかは分からないが、その後も会員数は減少を続けている。

4.その後、平成29年度にアンケートを行い、再度、会則改訂の案が29年度総会に出された。

その概要は、輪番をスキップするという項目は外されたが、いずれかの部会に属するという義務も外された。そのため、多くの街区長が「各種文書の回覧、配布、会費の徴収等自治会に必要な業務を行う。」業務だけを担当することになった。

平成29年度総会 改訂会則(案)第16条8項(抜粋)

「街区長は、支部長を補佐し、会費等の徴収、各種文書の回覧、配布等、本会に必要な職務を行う。」とだけ書かれ「街区長は会計、第10条の部会のいずれかに所属する。」という項目が外された。

(注)この会則改訂(案)は総会採決に問題が残されている。また、スキップ項目が外されたことは、見守り隊対象者のような高齢者では会費徴収などの業務は難しく、審議不十分の観がある。

5.会員数と部会参加人数の変化

対策にも関わらず、その後は下記に示すように、会員数は減少を続けている。また、平成29年度の会則改訂(案)提出以降は、部会活動に参加する人数が大幅に減少している。

〇途中で分離したワンハンドレッドヒルズを除く、会員数の変化は次の通り。

(平成21年)701、(平成23年)687、(平成24年)678、(平成25年)679、(平成26年)664、(平成27年)657、(平成31年)650(第5ブロック10数軒新築の新規参加会員を含む)

〇部会活動に不参加の街区長数

(平成30年)19/51 (平成31年)9/47

街区長の2~4割が「会費等の徴収、各種文書の回覧、配布等」だけを行うことを選択するという予想を上回る。役員会としては残念な結果であった。

6.脱会、スキップ、部会活動不参加の実態は

平成21年は会員数が最も多かった時期であり、その後会員数は減少に転じた。その対策として、輪番制で回ってくる街区長の役割の第一回見直しが行われている。しかし、減少はこれだけの問題だったか否か疑問が残る。筆者が「あすみ130号」(平成30年5月13日発行)に書いたように、平成22年度から「あすみ」の発行回数が年2回に減り、情報連絡が疎になり、会員の自治会離れが起こった可能性が否定できない。

平成29年から31年で筆者の知っている範囲で起こったことを振り返ってみる。

平成29年度で、街区長をスキップした例で知っているのは、高齢者(筆者の同年齢)1例と若年層で家庭の事情1例。

30年および31年で脱会した例では、高齢者では、死亡、移転を含め7件。中年層で自治会入会にメリットを感じない人1件。役員会の進め方に違和感を感じる人1件。輪番が来たから辞めるという人はいない。

部会活動に不参加の人のうちでは、若い若年層で多忙な人1件、中年層で自治会以外の活動で忙しい人2件、病気1件。高齢者の例は知らない。高齢者よりも、若年層と中年層の生活スタイルの多様化の方が目立つ。

皆さんの周りではどうか? 対策を考えるのに役立つ。

7.自治体活動の活性化について、防犯パトロール隊、ボランティアグループに学ぶこと

前項で述べた状況は2年前から予測されており、総会での中期計画の重要性を提案したが、少数意見として、採用されなかった。再度、検討されることを望む。

そこで参考になるのは、長年続けられている防犯パトロール隊と見守り隊などのボランティアグループ活動である。これらは今や、自治会活動の中心になっている。その構成員は高齢者と女性が多い。高齢者と女性もまたみな多忙である。しかし、長年の経験から、多忙の中でも、自治会活動に使える少しの時間を提供できるようにした人たちである。

彼らは僅かな時間を自治会活動に取り入れる生活のリズムを作っている。その活動を、親睦を兼ねて自由に楽しんでいる。役員会で制限を加えられることは好まないが。

自治会の歴史(10)街区長の役割の変遷」への2件のフィードバック

  1. 会則改訂でうたっている街区長の役割分担は大きな間違いです。自治会、地域社会への参画意識を持ってもらうために、過去の先輩諸氏は何らかの部活への参画を会則に盛り込んだものです。これを助長すると自治会崩壊につながります。1年、やって2年自分らが住んでいる地域に何らかの地域貢献があって然るべきです。その為にやむを得ない場合のスキップ制度があります。小生は実験としか理解していませんし、会則改訂案は審議不十分で成立したとは思っておりません。
    投稿者と同意見です。

    福祉委員長 H

  2. 武山IT委員長、ご苦労様です。是非、シリーズで続けて下さい。大変参考になります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です