予定の時刻10分前に受付に行くと、一人も待合室にいない。
早速、名前を呼ばれて診察室に入る。
「手術前に、この前、血が固まりやすいかどうか調べた血液検査の結果をお知らせしますね。」と言うから、何か障害になることでも見つかったのかと身構えたが、検査結果が印字されている短冊状の用紙を見せながら
「この前もおっしゃってましたが、本当に健康体なんですね。総て正常値ですよ」とビックリされてしまった。
そして、
「その後おかわりはありませんか」と尋ねて来たので、
「えぇ~っと。相変わらず偶に痛むし、特に屈んだときなんかですね」
と考えながら答えると、
「あぁ、あなたは長年患われていたから変化はないでしょうね」と自身の愚問に気が付いたようだった。
「手術の準備をしますよ」と奥の方から看護師さんに呼ばれ、行ってみるとロッカーとシャワーが一体になったユニットへ案内された。
「そこで、総て脱いで、着替えて下さい。(用意されている着替えを指し)あっ、そのパンツはお尻の手術用にお尻に穴が開いていますので、穴が開いている方を後ろにして履いて下さい。待機時間もありますので、本やスマホなどはお持ちになって構いません」と付け加え「トイレは大丈夫ですか」と言うので、済ませてはあるが、「一応入っておきます」と答えトイレに向かう。
備え付けの手術用衣料(健康診断の時に着替えるようなやつ)に着替え、荷物を入れたロッカーに鍵をかけ、スマホを持って手術室(処置室?)に入る。
ベッドに仰向けになると、右腕に血圧計、指先に心拍計が装着され、モニタリングが開始する。
「血圧が急に下がることもあるので、自動的に5分毎に計りますね。左腕に抗生物質の点滴を打ちます。眠くなる薬も入っています。もし必要なら増やすこともできるので言って下さい。ちょっとチクッとしますよ。」
と点滴の針が入りテープで固定される。
「患部はどちらですか」と言うので、
「右側です」と答えると「それでは右側を下にして横になって下さい。腰を丸めて、もっと丸くなって。」と指示がある。
丸くなって、態勢を整えると「術後のことについて説明します」と何やら説明を始めたので、必死に記憶をしようと務めた。
そして、最後に「いま言ったことはお帰りの際にもプリント(画像参照)をお渡ししますので読んでくださいね」
ガクッとしてしまった。
執刀医が入ってきて、「気分はどうですか」と言うので、大丈夫です、と答える。
「硬膜外麻酔の痛みを抑えるために今から表面麻酔を打ちますよ。さっきの点滴位にちょっとチクッとします。」
針が刺さった瞬間、不覚にもビクッとしてしまったので、痛かったですか、と心配される。
「麻酔の針を刺しますね、ちょっと目印を付けるので、腰骨を触りますけどいいですか?」
と許可を求めてくる。
良いも何もないので、「良いですよ」と答えると何カ所かを触りながらマーキングを進める。
針が刺さる感覚が何となくあった後、「麻酔薬を入れていきます」と、麻酔薬が入ってくる。
これも何となくだけど入って来ている感じがある。
麻酔が終わると暫くして「足は動きますか?動かしてみて下さい。下半身がだんだん暖かくなるのがわかりますよね。ちょっと冷たい物を上半身に付けますよ」と言いながらアルコールの脱脂綿を肩に付ける。
「これは冷たいですよね?じゃあこれは」と足にふれる。
「冷たくないです」と答える。
こんなやりとりを3~4回続けると、「うまく(麻酔が)効いて来たみたいですね」と言うので、「はい、下半身がかなり温かくなってきました。」と答える。
「危ないので、手足を固定しますね。」と固定され「電気メスを使うので、胸にアースを付けますね。あと(手術用の電気で)明るくなるので、アイマスクを付けます」と看護師さんにアースとアイマスクを付けられて手術はスタートした。