紹介された病院を調べてみると網膜剥離に精通していたし、土曜日の午前に外来(医師交代制)があることがわかった。
「行ってみて、手術なり入院の相談とかすればいいか」と気軽に行ったところ、それこそ「医師交代」で代わる代わる同じ検査をされてしまい、検査中は目を上下左右に大きく動かすし、強い光が動くので、何度かめまいを起こしてしまった。
「網膜剥離です。すぐ手術してください」「えっ!今日ですか!」入院はベッドが空いてからと思っていたので思わず聞き返すと、
「動くとどんどん広がりますよ。本当は安静していなきゃいけない状態なんです。失明してからでは遅いですから」
週明けに出勤し、直接事情を説明してから入院する心づもりではあったが、さすがに「失明」と聞くと先延ばしにするわけにはいかなかった。
入院のための検査(血液・心電図・X線・尿)を手早く済ませ入院手続(窓口でパンフレットを受け取っただけですが)をする。
一旦、自宅に戻り職場へメールを打ち、必要なものを取ってくる。この間にも30分毎、瞳孔を開く目薬を差すのを忘れない。かなり急いでいるのか、病院に戻りエレベータに乗ったところで携帯に着信があり、「今どこですか」と看護師さんから催促があった。
手術のために検査が再開され、目印の「レーザー」が撃ち込まれる。これが少し痛みがあったので「痛い!」と言ったら、出力を下げてくれた。
点滴の針を刺してもらうがうまくいかず、別の人に代わりやっと成功。
主治医から、手術の説明を聞きサインをする。局部麻酔(これが結構な痛みがあるらしい)をするために目の下にシールの麻酔薬が貼られる。
「手術中に無意識に目が動いてしまうかもしれない」と気になっていたことを聞いてみると、「大切なところでは筋肉を引っ張って固定するのでその心配はありませんよ。引っ張ってるときは痛いですけど・・・」
一旦病室へ入る。ここでは血栓予防という靴下をはき、前あきの寝間着を貸してもらい、いざ出陣。術前なのに車いすで向かうという。
車いすで手術室に送ってもらう途中、なぜか突然コップを忘れたことに気付き「あっ!コップを忘れた」と思わず口走ってしまったが、「紙コップで良ければお貸ししますよ」と車いすを押しながら看護師さんが淡々と応えてくれた。(続く)