アーカイブ | 2018年11月13日

街作り、お勧めの本(追加2):

山崎亮『縮充する日本 「参加」が創り出す人口減少社会の希望』(PHP新書、2016年) 1200円+税
広報担当副会長TT
山崎氏の著書の追加です。とくに、自治会等のリーダーの記載が、今後自治会のリーダーになる方の参考になると思います。以下、ご覧ください

第3章 「苦情や抵抗から自主運営へ-政治・行政における参加の潮流‐」の中に、「市民参加の条件は整っている」という項があります。そこに次のように書かれています。
「……人口減少・税収減少の現在、市民参加型の活動がより重要になっている。市民参加を促すためには次の6つの条件が必要である。」(146ページ)
1.市民へのインフォメーションが与えられること
2.参加した行動が有効であると市民が感じられること
3.費用の負担を市民が引き受けられること
4.参加することが生活や仕事に支障をきたさないこと
5.市民のための教育が学校でも行われること
6.圧倒的な影響力ではなく対話で活動が進められるリーダーが存在すること
……」

当たり前のことが書かれていますが、6番目のリーダーの存在について、もう少し詳しく付け加えます。
○圧倒的な影響力ではなく対話で活動が進められるリーダーが存在
著者の経験から、好ましいリーダー次のように書かれているのは、興味深く傾聴に値すると思います。
「……、どこの街にも影響力を持っている人が必ずいる。しかし、そういう人が話し合いの場を仕切らないファシリティション(討議を活性化する能力というほどの意味)が必要である。住民参加型に大切なのは、いつも発言している意見よりも、いつも黙っている人の本音である。……」(151ページから)

好ましいリーダー像として、次のようにも書かれています。
「……命令するのではなく、お願いすることを厭わない。先頭に立ってメンバーをグイグイ引っ張るのではなく、メンバーから背中を押してもらいながら上手に舵をとっていく。……」(152ページから)

私はいま83歳です。平均余命から推定すると、あと7年生きると上等です。健康寿命はその半分以下でしょう。健康寿命というのは、人の助けを借りずに生活できる年齢です。
人の役に立つ仕事の年齢は、すでに過ぎていると思います。あまり余計なことをすると、高齢者の一般的な弊害として言われる「人の意見は聞かず、独断的になる」という老害をまき散らしそうです。我々高齢者が役に立つのは、限られた特殊技能、若い世代が知らない、歴史を纏めるくらいです。あとは、若い頭脳で考えて頂くことを期待します。
以上、参考になれば幸いです。

街づくり、お勧めの本(追加1):

山崎亮『コミュニティデザインの時代 自分たちで「まち」をつくる』中公新書、2012年) 860円+税
広報担当副会長TT
街づくりに、お勧めのコンパクトで手ごろな本を2冊追加します。
著者の山崎亮氏は、40歳代の若手の研究者・アドバイザーでコミュニティデザインの第一人者です。大学で教鞭をとる傍ら、いろんなコミュニティーの活動にコンサルタントとして活躍されており、多くの事例を経験されています。
とくに、地縁型のコミュニティーとして、自治会・町内会・商店街会の例が、我々が自治会のことを考える際に参考になります。
易しい本ですので、時間のある方はどうぞ手に取ってください。
高齢者の方には、前回報告しましたように、読書は健康寿命を延ばすのにいいそうです。
自治会の次世代の幹部になる方はぜひ熟読してください。

以下、気になったキーワードを2点だけ紹介します。

○「いいあんばいのつながり」(10ページ)
この本に、自治会などのメンバーの理想的な繋がりとして、「いいあんばいのつながり」の繋がりという絶妙の表現がとられています。
取り上げられているのは、第1章第1節の「自由と安心のバランス」(4ページ)のところです。そこには、「つながりとしがらみ」(7ページ)いう言葉も出ています。
もうお判りでしょうが、昔の農村における隣組は、メンバーのつながりが強固でした。そのため、困った人がいたら部落全体で助け合っていました。ただ、リーダーの個性が強すぎると、しがらみが強く、窮屈なところがありました。
農村から多くの人が都会に出てくる時代になると、しがらみから解放される自由を楽しんでいる一方、お隣さんとの付き合いがなく、孤独感を感じる人が増えてきました。自治会の存在意義はそんなことをなくすることでしたが、昔の農村の隣組のようなしがらみは求めていませんでした。
我々の自治会も注意しないと、この「しがらみ」が復活しそうになるということではないでしょうか?

○「ハード整備偏重時代の終焉」(42ページ)
第1章第5節に書かれています。皆さんすでに感じていることの再確認のような表現です。
自治会館などが老朽化した時は、建て替える必要はあるでしょう。それは別として、今は既にある施設を如何に有効に活用するかが問われている時代だということだと思います。