8つのキーワードから、建替問題を考えてみた。判断は皆さんに任せる。(記載は広報担当副会長)。
1.最初のキーワードは、緑地帯活用の可能性
集会所建替プロジェクトは、緑地帯活用の可能性から始まった。活用できれば、現集会所より広い敷地が取れ、30周年事業としても相応しいということでの提案であった。建替プロジェクトと法人化問題は1か月ほどの短期間検討結果の提案であり、十分に練られたものではないと思う。これに対して総会で、「法人化は不要。緑地の活用が出来ない」という意見が出された。
それから、5ヵ月を経た。その後の検討経過の報告が望まれる。もし、当面の建替が難しそうというのならば、現集会所のリフォームプロジェクトに絞る選択肢もあり得る。場合によっては、役員および会員に無駄な作業を強いることがなく望ましいかもしれない。勇気を持って方針変更しても、責められるものではないと思う。
参考)平成29年総会議事録6ページ
2.30年前のあすみが丘都市計画における〈あすみが丘プラザ〉と自治会集会所の役割分担
昭和40年以降、千葉市内で、土地区画整理組合によってなされた40ヘクタール以上の住宅開発は6件ある。良好な住宅団地の供給と公共設備の整備が行われた。
あすみが丘はその代表的な街である。その中で、土気南(あすみが丘)は314ヘクタールで最大規模であり、土気東(あすみが丘)は85ヘクタールでそれに次ぐ。
あすみが丘では、文化・同好会・スポーツ活動の拠点として〈あすみが丘プラザ〉と、自治会活動の中心として5つの自治会集会所が作られた。もともと集会所は集会が主目的で、親睦・同好会については、人数が制限されている。
参考)「千葉市の街づくりにたずさわって」編集委員会編『千葉市の街づくりにたずさわって~百万都市の基礎はこうしてできた~』
3.広報『あすみ』から見る自治会活動の変遷と会員のライフスタイルの多様化
広報『あすみ』によると、平成21年頃までは、自治会の親睦活動は活発であった。しかし、その後は低調になっている。会員のライフスタイルが多様化しており、自治会活動に割く時間が減っていると思われる。建替プロジェクトを考える場合は、よく調査することが必要である。
参考)『あすみ第130号』武山広報担当副会長
4.自治会活動を数量的に捉える必要性
現代は、データで議論する時代である。
先輩たちを含め、会員諸氏が長年にわたって積み立ててきた高額の資金を使う場合は、それにより会員の何パーセントが恩恵を受けるか、数量的に捉えておく必要がある。
いま建替えるとなると、高齢者親睦がまず考えられる。現在自治会員は約650世帯、1400人くらいだろう。高齢者親睦で参加する人は精々20人程度だと思う。既存の集会所については、少人数でも積極的に活用すべきだ。しかし、新築建替の場合は、慎重に検討する必要がある。ブロック別の活用度調査も必要だろう。
自治会集会所が老朽化した場合の建替は、会員全体に貢献する。後の世代に問題を託して、40周年か45周年記念事業で考えればよい。
5.リフォームの場合
現在の集会所をベースにしたリフォームの場合は、費用も限定されており、あまり厳密に考える必要はないだろう。リフォームは増える高齢者会員対策である。バリアフリー・トイレ改造などがそれにあたる。
6.自治会でしかできないこと、自治会では難しそうなこと
千葉市町内会自治会連絡協議会に挙げられている自治会活動の基本アイテムは次の各項である。
〈自主防災組織・環境美化活動・親睦イベント(夏祭りなど)・防犯パトロール・見守り活動・広報誌・ホームページ〉
これらについては、第一自治会は模範的である。しかし、防犯パトロールと見守り隊につについては、参加者の減少が懸念されている。
アンケートには、「デイサービスに関連する在宅介護的使用など」が記載されているが、身内にこのような対象者を持った者には、自治会が関与することは難しいと思うだろう。地域の社会的デイサービス施設の多くは、送り迎え・食事・入浴など自治会では望めない条件が整ったところが多いと思われる。慎重な調査が必要である。
参考)千葉市土気地区(第23地区)町内会自治会連絡協議会
7.土気・あすみが丘全体で考える
千葉市の都市計画の責任者だった専門家からのアドバイスだが、あすみが丘第一自治会という狭い地域で考えると難しい問題も、あすみが丘・あすみが丘東・周辺の土気地域の全体から考えると解決できる問題があるだろうということです。
参考になるのに、佐倉市ユーカリが丘の例がある。ここは〈老いない街〉としての特定の世代に人口が遍在しないような都市計画がなされている。あすみが丘の場合は、5丁目は高齢化が進んでいるが、あすみが丘8丁目やあすみが丘東は若い街であり、全体として捉えれば、まだ高齢化が進んでいるとばかりは言えない。また、最近の傾向として、地域内の近距離の住み替えが進んでいるという。Gターンと呼ばれている。第一自治会でも、最近近隣地区から移住してきた若年層が見受けられる。
一方、あすみが丘で近年みられる大きな変化は、有料老人ホーム・特老・デイサービスセンターなどの高齢者施設の増加である。さらに、土気子供ルームの空き施設を活用した〈カフェたんぽぽ〉のような居場所作りもある。ここでは、駐車場も使える。あすみが丘は高齢者には優しい地域ともいえる。
しかし、将来を見通すと、高齢者施設はまだ足りないかもしれしれない。国土交通省の白書では、東京近隣の3県(埼玉・千葉・神奈川)の空き地空き家率の増加が指摘されている。あすみが丘ではこの現象はまだ顕著には現れていないが、あすみが丘の周辺地域ではすでに空き地空き家の増加というスポンジ化現象が起こっている。この土地は将来、高齢者施設への活用が考えられる可能性がある。
参考)2018年版首都圏白書(国土交通省)
大月敏雄『街をすみこなす―超高齢社会の居場所づくり』(岩波新書、2017年)
8.コンパクトシティ構想で考える土気・あすみが丘
千葉市の資料には、あすみが丘そのものを書いたものはないが、「生活・環境調和ゾーン(郊外部)」には、あすみが丘の環境そっくりのことが書かれている。
「最近ガーデニングを始めた」、「複数の自動車が持てるスペースがある」、「市民農園を楽しむ」、「元気なシニア向けのコミュニティタウン」、{自転車レーン」、「地域の歴史探訪」、「利便性のいい場所が手ごろな価格で買えるようになり、若者が移ってきた」など。
千葉市:集約型都市構造について(2018年5月30日更新)
富岡徹『人口減少時代の都市―成熟型の街づくりへ』(中公新書、2018年)