二年前の記事を読み返していたら,当時のボクは「自転車ダイエット」なるものをやっていた。
しかもそのダイエットの結果を毎週,このブログで公表しているではないか。
だが,ある日を境にブッツリとその記事を書かなくなっており,結果も出さないままでいたようだ。
今回はその頃の心象風景をエッセイ風に綴り,今更ながら実験結果を公表してみようと思う。
「自転車ダイエット」。
それは一日に一時間,自転車を漕ぐという簡単な内容で,
モノの本に書いているワケではなく,ボクが開発したダイエット法だ。
それを始めたキッカケは,ボクの体重が80㌔を超えそうになったからだ。
身長172.5㎝で38歳のボクの適正体重は,とある計算法によると65㌔なのだそうだ。
流石にブヨブヨのハラは,グッとイキを止めても誤魔化しようがなかった。
それに加えて「記録ダイエット」も併せてやってみた。
この「記録ダイエット」を併用したのは,父親が始めたところ
「特別な運動をすることなしにメキメキ痩せた」という情報を得たからだった。
本来の「記録ダイエット」はその日の体重と食べた物を毎日記録するというものらしいが,
ボクの場合,サイクルメータの数値と体脂肪計付きヘルスメータの数値,
そしてその日に食べたモノをノートにチマチマと書き綴るというものだった。
当初は1週間程度続けてみて,効果が現れたら続けようかと軽い気持ちでスタートさせたハズだった。
サイクルメータの「走行距離」「平均速度」「最高速度」,
ヘルスメータの「体重」「体脂肪率」「BMI」「内臓脂肪レベル」「基礎代謝」の数値を
折れ線グラフにしてみたら,わずか1週間で体重値が右に傾いていることが判った。
実測値ではたった1kgではあったが,こうなると俄然面白くなってきた。
サイクルメータではボクの自転車レベル,
ヘルスメータは「体重」だけで良かったのだが,
ウチにあったヘルスメータで計測できる項目を全て記録して,
痩せレベルを表そうという魂胆だった。
毎朝5時に起きて自転車に1時間乗り,データを記録した。
朝,起きられなかった日は夜に走った。
雨が降っていても構わず走った日もあった。
ある晩は日付が変わる頃に出発し,翌朝も同様に走った。
転んでケガをした翌日も走った。
コースはずっと変えなかった。
そうすることで昨日のボクの折り返し地点はココだったけど,
今日はもっと遠くまで来ることができた,明日はもっと先に進めるに違いないと思うためだ。
サイクルメータの数値は,ヘルスメータのそれに反するように右肩上がりに伸びていった。
そのうちにボクは体重計に乗る時刻まで決め,データを取り続けた。
この頃から,このデータにのめり込んで抜け出せなくなっていた。
のっぴきならない事情のため,自転車に乗れなかった日は体重計の数値だけ計測したが,
そんな日は最高にダークな気分に襲われた。
千歳川にサイクルメータを落としてしまった時は,
半狂乱になった精神状態を抑えつけるのに大変な苦労を強いられた。
蓄積したデータが5箇月分に達しようとした頃,とある電話を受けた。
電話の向こうの声は母親のもので「ちょっと実家に帰って来てくれないか」と。
詳細は会ってから,とのことだった。
その時ボクの体重は,データ収集を始めてから約12㌔減少していたが,
ボクが一番初めに心配したことは,今までのデータの連続性がなくなることで,
ダイエットや自転車レベルに関しては最早どうでも良くなっていた。
なんとか自転車と体重計を持って実家に行く方法はないかと,真剣に悩んだ。
もちろん実家にも体重計くらい有るのだが,ボクの心配は計測機器の機差にまで及んでいた。
ヨメの説得もあり自転車と体重計を諦めて実家に向かったが,
彼女の説得にボクは納得などしていなかった。
不可触の聖域を汚された気分でいっぱいであったからだ。
実家でボクを待っていたのは病魔に侵され,すっかりやつれた姿の父親であった。
父の体重を落としたのは「記録ダイエット」などではなかった。
結局,この帰省時におけるデータの欠落の為に実験は終了を余儀なくされたが,
「毎日1時間自転車に乗ることで体重値及び体脂肪率は減少する」との結果が得られた。
ボクの身体は鍛えられ,痩せた。
しかしボクの心には何も残らなかった。
3箇月後,父は亡くなり,北海道では自転車に乗れる季節も終わった。
生命の終わり,季節の終わりとともに,ボクの中でもひとつ終わりが訪れた。
自分自身で作り上げた鬱屈した脅迫観念に押し潰されそうになっていたこと,
パラノイア的な実験データと結果を残す行為で,
アイデンティティの獲得をしようとしただけであることに気付いた。
この時にようやく悪い夢から覚めた気がした。
といっても,この文章を書くに至るまで2年弱かかっているのだが・・・
今では体重計を持って旅行に行くなんて頭がオカシイのではないかと思うし,
あの時,ヨメに負の感情を抱いたことを大変申し訳なく思う。
おかげで引き締まった腹筋の夢は水泡と帰し,ブヨブヨのビールっ腹が残った。
でもこれで良いのだ。
逆三角形のマッチョな肉体では,自転車に乗る時に風の抵抗を真っ向から受けることになる。
その点,ボクのハラは前方からの風を左右に受け流せる
「空気力学的に優れた流線形のハラ」なのだから。
重い話なのかな?と思ったら最後のハラで和みました(^_^;)
実はレコーディングダイエットで10キロほど痩せました。
体重落ち始めたら面白くて、かなり無理しました。
75キロを越えたあたりから始めて63キロまで落としたら、
日中、フラフラするようになったので止めました(^_^;)
今年は冬に肥えた分を落とせずに65キロ台をフラフラ~
>cooly85さん
よくもまぁ,最後まで読んでくれました♪
ダイエットって記録し始めると面白いですよね!
ちょっとそれにハマってしまってオカシなことになっちゃったので,
それ以降,自転車には乗ってますが,
キロクはしないようにしています(笑)
過激なダイエットは心身に悪いですよね♪
一時期、血圧を下げるためのいろんなもんが流行ってましたけど、結局それにとらわれ過ぎてかえって血圧が上がるって結論が出て、そのブームが去っていったのを思い出しました。
何事もバランスが大事って言うけど、それが難しいんですよねぇ。
>まどとしさん
健康ブームってコワイですよね。
TVでみのもんたがナニか言うと,
瞬く間に店頭からバナナが消えたりしましたもん。
やはりバランスが大切なのでしょう♪
そうやって過去の自分を振り返って、総括ができるようになって、
抱いていたわだかまりや負の感情もほどけて行って、
一つずつ前へ進めるようになるんだろうね。
まずはよかったです(^-^)
>ユリコさん
今回の文章,自虐ネタにならないように気を付けてたんですけど,アウトですかね???
とりあえず過去の自分は何処かおかしかったと思えるようになって,だいぶ健全になりましたよ。
身内が、余命3ヶ月って重いですよね。
それでも ここまで立ち直ったミライさんに
エールをおくりたいです!
私も頑張らなくちゃ(笑)
素敵なエッセイですね~♪
ボクはここまで書けないです(汗
自己を振り返る
自己を覚知する
すなわち自己を客観的に意識することは難しいのに
ミライさんはそれが出来ているので
凄いな~と思いました♪
んー、難しいところだね>自虐
自らの過去を総括するに当たって、自虐にならない為には純客観視が必要になる。
だけど自己を純客観視できる訳もないのでね。
まあ、要はバランスだよね。
って、ミライさんのまどとしさんへのレスを横取ってみてごまかしたりして(^^ゞ
>熊雄さん
あの時点では父が死ぬって本人も含めて誰も思ってなかったんですよ。
なので亡くなったと聞いた時はホントにビックリでした。
エールありがとうございます!
>レッドさん
久しぶりに渾身の文章です。
素敵に読んでもらって幸せってモンですな♪
序章から深刻へ,そして最後のどんでん返しの構成を考えて書きました。
レッドさんは人のココロに突き刺さるポエムが書けるじゃないですか♪
凄いな~!
>ユリコさん
そーですよねー。
自分の醜い部分を晒してる時点で自虐と取れなくもないし,
オチが自分の体形で笑いを取りに行ってますもんね。
うーん,難しい・・・
ま,誰かの心にナニカを感じさせる文章であれば良いかな。
みらいさんは
『人の気持ちを汲みとる事に長けた、愛想のよい人気者です。
世代の別なく人と付き合えますが、内には闘志と負けん気の強さを秘めています。』
あと、なんでもゲーム感覚で楽しむ一面もあるみたいです(笑)
同じキャラクターに吉田拓郎♪、かまやつひろし♯、女性では青山テルマ♪♯がおりますよ~!
>ぴぃさん
なんだか当たっている気がします!
で,それはどんな,なんの動物ですか???
それは鵺です。
ウソウソ(笑) 防御の猿でした。
>ぴぃさん
ありがとうございます!
防御の猿ですか♪
あはははは!
なんか面白いっすね。
鵺でも良かったかも。
「永田町には鵺が住む」ってね♪
お久しぶりです。
最後まで読みました。なんか泣けてきて、自分が弱くなったことに改めて気がつきました。無理しているつもりはないのですが、どこかで無理している自分がいることに気がつきました。のんびり行こうと思います。
>roseさん
お久しぶりです♪
お元気でしたか???
泣いてくれたのですね。
その涙のワケはボクには判りませんが,
ボクのために流してくれたのなら,
他人を思い遣る強さを手に入れたんだと思います。
自分のための涙なら,
過去を見据える強さの表れだと思いますよ。