逃げ惑う?


「にげまどうし」(三友恒平著,IKKICOMIX)を読みました。
~みんなみんな,にげたがり~
旅人には2種類あって,自分の居場所を増やしながら旅を続ける人と,
居場所を失いながら旅をする人がいるそうです。
そして失う旅を続ける人は“にげまどうし”に会うことが出来て,
居場所を見つけられない人をココではない何処かに連れて行ってくれるんだって。
その世界は失う恐怖も,留まることへの不安もないところ。
ボク?
ボクは・・・
どっちなのかな?
居場所,増やしてるよね???
三友恒平。
ボクはこの人の描く漫画がスキです。
このヒトの評価は,恐らく好き嫌いが真っ二つに割れると思いますよ。
しかも大多数が“嫌い”派(笑)
以前にもこのブログで三友先生の作品を紹介してます。
(必要とされなかった話 http://futurewestwoods.makusta.jp/e179860.html)
人生に疲れた時に読んでみては如何でしょうか。
少し前に進もうかという気になれます。
でもあんまり人生に疲れて欲しくはないですね。
だからオススメできないなぁ♪
“にげまどうし”の情報はコチラ↓↓↓
http://www.shogakukan.co.jp/comics/detail/_isbn_9784091885890

恋するプリンセス・・・


「プリンセスの王子さまぼしゅう中!」(芝田勝茂編,ポプラ社)を読んでました。
ウチのちっちゃいちゃんが。
目次をみると,
「あなたの恋にぴったりのお話は?」
「7つの恋のワンポイントレッスン」
「はじめてのキスのあいて,それはね・・・」
などなどお年頃の娘さんを持つお父様にとっては
ドッキドキな内容がテンコ盛り♪
そっかー。
いつもまでも“ちっちゃいちゃん”のままかと思っていたけど,
恋に恋するお年頃なのねぇ。
っても小学2年生ですけどね。
寝る前に一生懸命ナニを読んでるのかと思えば・・・
う~ん,しみじみ・・・

むしろ正しいと思うゾ!


「生きる悪知恵」(西原理恵子著,文春新書)を読みました。
表紙には「正しくないけど役に立つ60のヒント」,
帯には「正直者よりウソつきになれ」と書かれてます。
でもね,ボクには大きく頷けるお話や,
ガツンと頭を殴られたようにも感じる“喝”がありました。
ウソや悪などありません。
むしろ正論ですね。
少しだけ生きることが愉しく,そして楽になります。
この“少しだけ”ってのがミソですな♪
ボクもヘニョヘニョと生きていこうと思います。

新やっぱりミステリはキライだ

またミステリを読んだので感想など。
直近に読んだ「涙」がとても良かったので,
またナニか読みたくなり本屋で物色してたんですけどね・・・
今回は残念なお知らせです。
なので簡単に。
読みましたよー!的なお知らせです。
読後の感想を言い合うのが好きなボクなので,
これらの作品について語り合う機会があれば幸いです。

「フリークス」(綾辻行人著,角川文庫)を読みました。
うーん・・・
なんか物足りない気がしましたね。
これはね,気味の悪い感覚を狙って書いてるのでは?
っていう考えが先に立ったのが原因ですね。
そしてミステリとしての謎に関しては,
ボクの敬愛する作家“夢野久作”先生の
「ドグラ・マグラ」に大きく影響を受けてると感じました。
その他にもいろんな有名作家さんのパロディが見受けられ,
新しい空気感を感じられなかったのが原因でしょうか。
人体改造にしても記憶障害にしても斬新ではなかったなぁ。
そして次。

「摂氏零度の少女」(新堂冬樹著,幻冬舎文庫)を読みました。
心理的外傷を負って妄想性パーソナリティ障害を引き起こした主人公の
猟奇的な行動を描いてます。
ですが,リアリティに欠ける感じが否めません。
物語中で主人公がパラノイアであることは書かれてないのですが,
その行動理念が非常に病的であることからボクはそう判断しました。
でも,心理的外傷の原因が弱く,
登場人物の動きや心象描写が非現実的な割りに,
グロテスクな描写に力を入れてるのがあざとく感じてしまいました。
上の2冊は誤解を恐れずに言うと,
ミステリ作家としての力量不足を感じてしまったのです。
残念でした・・・
さてラストはこの本。

「贖罪」(湊かなえ著,双葉文庫)を読みました。
湊かなえの前作,「少女」と「告白」がとても面白かったので,
書店に並んだ瞬間に購入しました。
巧いです。
やはり湊かなえは上手いです。
でも!
もちろんストーリーは違いますが,
前作,前々作と手法がおんなじだなーって。
これが初めての湊作品であれば,とても面白かったと思います。
しかしボクは「少女」と「告白」を読んでしまっていたんです・・・
それが敗因でしたね。
マンネリズムももっと続ければ味になると思うのです。
横溝正史の金田一耕助シリーズなど10作品くらい読めば,
11冊目からは最初の数ページでナゾが解けます(笑)
ですが「獄門島」も「悪霊島」も面白いんですよ♪
湊作品も10作品くらい同じ路線で書いてくれれば
ダシが利いてくるのではないでしょうか。
などなど,偉そうなことを書いてしまいましたがね,
読者はお金を払って本を読んでるんです。
このような感想を声高に言っても良いのではないでしょうか。
本屋さんで手にとって「お!これは面白そう♪」
と買って帰ってワクワクしながら読むんです。
立ち読みで全部読むワケにもいかないし,
ましてやミステリを最後から読むのも無作法ってもの。
なのでやっぱりミステリはキライです♪
でも当たりハズレがあるのも楽しみのウチなんですよね。
キライですシリーズ,いつかまた書きます。
その時までしばしの別れ。

この漫画がアツい!!


「WOMBS(ウームス)」(白井弓子著,IKKI COMIX:小学館)を読みました。
“妊婦だけの特殊部隊がある”
なんて突拍子もないキャッチコピーなんだ!
これはもう女性にしか描けないでしょう。
作品自体はSFです。
おまけに戦場モノです。
現在連載中で,第3巻まで発刊中。
続きが気になりますねー♪
ナゾがまだまだ解き明かされていないので
早く先が読みたいのですが,2013年春に第4巻だそうで・・・
待てん!
待ちきれんぞぉぉぉぉ!!!
公式HPはコチラです↓↓↓
http://www.ikki-para.com/comix/wombs.html
ありきたりって言葉はまったくありません。
面白いですよ。

続やっぱりミステリはキライだ


「涙」(乃南アサ著,新潮文庫)を読みました。
これも「ハゴロモ」に続いてチャーリーさんのブログで紹介されてたものです♪
http://be-smart.269g.net/article/17197383.html
すごく丁寧です,描写が。
人物,その時代の風俗,舞台となる場所等,
そのどれもが細部のディティールに拘って書いてあります。
文庫版で上下巻2冊となってページ数も多いですが,
読みだしたら驚くほどテンポ良く読み進められました。
全ては主人公を取り巻くキャラクターの悲惨な過去の思い出で語られるのですが,
その回想の中にも,現代の自分に戻った時にも驚きの展開が!
約2年間で変わる人柄。
成長もあれば苦悩ゆえの後退もあります。
一つの事件がもたらす大きな波紋。
巧みですねぇ,乃南アサさん。
読後感がスッキリとは言い難いのですが,
前回紹介した「ある少女に~」より余程サワヤカに読み終わることが出来ました。
そのかわり!
物凄くハマって読んでしまい,
ここ3日間ばかりまともに寝てないです。
眠いです!!
やっぱりミステリはキライだということにしておきます♪

やっぱりミステリはキライだ


「ある少女にまつわる殺人の告白」(佐藤青南著,宝島社文庫)を読みました。
第9回「このミステリーがすごい!大賞」優秀賞受賞作品なんだそうです。
以前,湊かなえの本を2冊紹介しましたが,似たような手法が使われてますね。
主人公がそれぞれの登場人物にインタビューする場面しか書かれてません。
読み手は登場人物の回想シーンを想像するだけです。
最後の最後まで主人公の言葉は一切ありません。
児童虐待という重いテーマを扱って,
その部分の法律の矛盾点を深く掘り下げて書いてることや,
たくさんの人物のリアルな描写はとても旨いです。
そして物語として,とても良く出来てると思いました。
その分,エンディングの後味の悪さがいつまでも後を引きますね。
昔読んだ「六月六日生まれの天使」(愛川晶著,文春文庫)もストーリーが良かっただけに,
後味の悪さは極上でしたね。
その時の風味と同じくらいでしょうか。
ミステリって謎解きなら面白く読めるんですけど,
その手のモノには何故かハマれなくって・・・
読者の期待を大きく裏切るタイプのミステリを良く手にとってしまいます。
後味悪いの好きなのかな???
でもやっぱり読後感スッキリな方が良いんでしょうね。
ミステリはキライだって事にしておきます。

大人のファンタジー


“よしもとばなな”さんの「ハゴロモ」を読みました。
お友達のチャーリーさんが自身のブログでオススメされてたんです。
実は“よしもとばなな”はちゃんと読んだ事がなくて,
大昔,深夜にTVでたまたまやってた「キッチン」を観ただけなんですよ。
その映画があまりに風変わりで良かったので,「ハゴロモ」を読むことにしました。
なかなかにドロドロな人間模様なのに,童話的。
人間の汚い部分を描写しているのに,共感できる。
きっと誰しもが持っている心のスキマを埋めてくれるでしょうね,
この物語は。
そんな大人のファンタジーでした。
すべての登場人物に共感できる部分がありましたが,
ボクは特にキーパーソンである写真家の言葉にズキンときました。
以下,引用。
「山道にはとても魅力的なところがあるが,一線を超えると生きることと死ぬことの区別がなくなるところがある。そして,自分の心が弱いときには,たくさんの目に見えない存在が死の方にさりげなく人をひっぱろうとする。そこには呪いだとか,たたりだとかそういう,俺たちが安直に名前をつけてしまうような暗い感情はなく,ただそういうものだという感じなんだ。そこでは死の方がうんと自然なんだ。そういうものに囲まれたことが何回もあった。あの,寂しいようなぼうっとしたような,いつのまにか自分が乗っ取られる感覚は忘れがたい。そういう時に撮った写真は,人間が見たことのないものが実はたくさん入っていて,目に見えないエネルギーがぐっと濃縮されていて,濃すぎて人に嫌われるほどなんだ。」
コレを読んだ時,思い出しました。
「この感触,北海道の山道でボクが感じていたものと同じモノなのか?」
こういう写真をボクも撮りたいのです。

少女と告白


“湊かなえ”は巧いな。
「少女」と「告白」を読み終えてそう思った。
両作品ともに登場人物の視点、または独白で彼(彼女)らの真実が語られている。
その真実の点と点を結んで出来る円の中心に事実があるのだが、
これについては全く書かれていない。
読者の判断に委ねられているのだ。
しかも登場人物は誰しも“特別”な人間ではなく、
人なら誰しもが持つ心の弱さや負の感情をブーストさせて
オーバードライヴさせてしまった人々だ。
読んだ人は皆、キャラクターの誰かに共感を覚えるのだろう。
作者はごく普通の人々の個性をしっかりと確立させて描写している。
この巧みさに堪らなく惹き込まれる。
また、人がこの世から去ってしまっても
その人を取り巻く世界が消えてしまわないのと同様に
物語が終わってもストーリーは収束しない。
そこも読者の心に爪痕のような読後感を残している。
湊かなえさんの作品、また読みたい。
「告白」はボクの好きな映画監督の一人である「中島哲也」によって映像化されているので、
これも観てみたい。
公開当初、「下妻物語」、「嫌われ松子の一生」や「パコと魔法の絵本」の
中島監督が「告白」を映画化???
と思い、劇場に足を運ぶのを躊躇してしまったのを今でも後悔している。
「少女」の文庫化に伴い、本の虫熱に冒されたボクの読書感想文。

古書ゲット!


古書を入手しました。
古書と言っても漫画なんですけどね。
「星の時計のLiddell」集英社,内田善美著。
「ぶ~け」という月間少女漫画に昭和57年6月号から
昭和58年8月号まで掲載されてたんです。
ずーっと欲しかった本で,ようやく手にすることができました。
なんでも作者が現在消息不明で,版元品切れ状態が続いてるんだそうで,
漫画なのに初版だと結構な額で取引されてるようですよ。
とりあえずレアなんです,レア♪
中学生の頃に読んだきりでしたが,
読み返した今でも当時の新鮮な感情が甦りますね。
表現が非常に詩的なんですよ,絵も文章も。
そして人間の生物としての進化の行く先等,
哲学的な内容が随所にちりばめられていると思いきや,
エルウッド・ブルース,フィリップ・マーロゥやエラリー・クイーン等の名前が出てきたりします。
この対比も作者の懐の深さを思わせます。
そして作者は作品中で宗教観についても触れています。
農耕民族は自然を自分達の都合の良いように変えてきた。
それが故に自然は信仰の対象になり難い。
逆に自然から命の糧を得ていた狩猟民族は,自然を崇める事が多い。
この考え方って面白いと思います。
作者は芸術系の大学でイラストの勉強をしていたハズですが,
このような概念にどのようにして辿り着いたのでしょうね?
肝心のストーリーはですね,
ヒマを持て余した資産家の息子が主人公で,
その友人が夢を見るんです。
いつも同じ夢を。
友人はいつしか夢に憑りつかれて,“夢”の方が自分を見ているのではないか
と思いだす。
そして夢に出てくる“家”を探す旅にでる。
主人公はその旅を共にする。
簡単に言うとこんなですが,
ベースにポオの詩や荘子の胡蝶の夢があるんでしょうね。
とても面白く,惹きこまれますよ。
大事にしたい本が増えました。