2008年のクリスマスによせて

早いものでことしも12月を迎え、12月14日にマリヤ保育園第38回クリス
マス祝会を行うことができました。
お忙しい中、沢山の保護者の皆さんにお集まりいただきありがとうございま
した。
今年一年を振り返ると、政治や経済、社会の様々な分野で大変な一年だっ
たように思います。特に10月以降、あれよ、あれよという間に世界中に金
融危機が広がり、みなさんのご家庭にもさまざまな影響が出ているのでは
ないかと心配です。
これだけ大きく、急激に社会状況が変わってしまうと明日の生活のこと
で精いっぱい、自分のことで精いっぱい、人のことなんかかまっていら
れないという思いが社会全体の空気になってしまうことを私は恐れます。
私が大切にしている言葉ですが聖書に「最も小さいものの一人にした
のはキリストにしたのと同じである。」という言葉があります。
聖書には、人間は、人間の命は神様によって創られたものでありそれも
神様の姿をかたどって大切なものとして創られたものであるという
人間観が根底にあります。
生まれてくる命は場所を選べませんし、いつも安心安全なだけの人生は
ありえません。
最も小さいものの一人とは、小さな子どもだけでなく、悲しみや苦しみの
中にある人、耐えがたい困難や貧困の中にある人、誰からも顧みられない
孤独な人を言います。
こうした人たちは最も弱い立場、最も小さい者として粗末に扱われがちです。
でもその人たちも神様の姿をその中に宿して大切に創られた人たちです。
だからそういう人たちにしたことはイエス・キリストにしてくれたことと同じ
なのだというのです。そうした行動の原動力は「愛」です。昔キリスト教が
初めて日本に伝えられ聖書が日本語に訳されたとき「愛」という言葉は
「ご大切」と訳されました。
一方で、愛の反対は無関心です。
このような時代だからこそ、自分のことだけ、自分さえよければと考える
のではなく、自分の周りの人に起きていること、社会で起きていること、
同じこの米本団地、同じ千葉県、同じ日本、同じ地球の各地で起きている
ことに誠実に関心を持ちながら、自分の周りの最も小さいものの一人とは
誰なのか、自分はその人たちにどのように関わっていけるのか、人を大切
にするとはどういうことかを考えることを大事にしたいものです。
クリスマスを迎えることのとき、改めて最も近くにいる小さなものの一人
とは子供たちであり家族であることを確認していただきたいと思います。
今年もいじめ、自殺、虐待など多くの事件が起きました。経済的に貧しく
生きること、食べることに必死の国には考えられないことが日本でおきて
いる。
そうしたことに心が慣れてしまうことだけはないようにしたいものです。
2008年のクリスマスを迎え、私たちの周りに愛と平和とが溢れますよう
にという小さな祈りが、皆さんの心の中をともし続けることを願います。    
             社会福祉法人愛の園福祉会理事長   堀口路加