2008年のクリスマスによせて

12月14日に第33回幕張海浜保育園のクリスマス祝会を行うことがで
きました。お忙しい中、沢山の保護者の皆さんにお集まりいただきあり
がとうございました。
今年一年を振り返ると、政治や経済、社会の様々な分野で大変な一年
だったように思います。
特に10月以降、あれよ、あれよという間に世界中に金融危機が広がり
みなさんのご家庭にもさまざまな影響が出ているのではないかと心配
です。これだけ大きく急激に社会状況が変わってしまうと明日の生活の
ことで精いっぱい、自分のことで精いっぱい、人のことなんかかまって
いられないという思いが社会全体の空気になってしまうことを私は恐れ
ます。
私が大切にしている言葉ですが、聖書に「自分のようにあなたの隣人
を愛しなさい」という言葉があります。
聖書では人間は、人間の命は神様によって創られた。それも神様の姿
をかたどって大切なものとして創られたものであるという人間観が根底
にあります。
ここに「人間には人が冒してはいけない尊厳」があるという考えの根拠
があります。ですからこの「自分のように」という言葉は「神様から大切
に創られた自分のように」と理解することができます。もう一つ「隣人」
とは自分の周りにいる人、自分と関わりのあるすべての人を指します。
そして「愛する」という言葉ですが、昔キリスト教が初めて日本に伝えら
れて聖書が日本語に訳されたとき「愛」という言葉は「ご大切」と訳され
たのです。
ですから「自分のようにあなたの隣人を愛しなさい」との言葉は「神様
から大切な存在として創られた自分のように、自分とかかわりのある
すべての人を大切にしなさい」ということになります。
一方で、愛の反対は無関心であることです。
このような時代だからこそ、自分の周りの人に起きていること、社会で
起きていること、同じ千葉県、同じ日本、同じ地球の各地で起きている
ことに誠実に関心を持ちながら、自分の隣人とは誰なのか、自分は
その人たちにどのように関わっていけるのか、人を大切にするとはどう
いうことかを考えることを大切にしたいものです。
最も近くにいる隣人とは家族であり、子供たちであることを確認して
いただきたいと思います。今年もいじめ、自殺、虐待など多くの事件が
起きました。経済的に貧しく生きること、食べることに必死の国には考
えられないことが日本でおきている。そうしたことに心が慣れてしまう
ことだけはないようにしたいものです。
2008年のクリスマスを迎え、私たちの周りに愛と平和とが溢れます
ようにという小さな祈りが、皆さんの心の中をいつも明るくともすことを
願います。
             社会福祉法人愛の園福祉会理事長 堀口路加