フィンランドでは、ロシアからの独立
運動が長く続いていました。
第一次世界大戦の渦中、ロシア革命が
起こり、帝政ロシアが倒れて、社会主義
政府が樹立されます。
これを好機と見たフィンランドは、
1917年12月6日、独立を宣言します。
同じころ、オーランド諸島では、スウェ
ーデンへの帰属を求める運動が高揚して
いました。
オーランド諸島帰属問題は、設立して
間もない国際連盟に持ち込まれます。
調査と協議を経て国際連盟理事会は、
「オーランド諸島はフィンランドに帰属
するとともに、永久に非武装・中立を続
ける」と決議します。
それを受けて、フィンランドとスウェ
ーデン両国が合意したのが、「オーラン
ド諸島の非要塞化と中立化に関する協定」
です。
第1条 フィンランドの主権を承認する。
第3条 陸海空に関する軍事施設あるい
は軍事・作戦基地の他、戦争目的
に使用されるその他の設備を禁止
する。
第9条 非武装化と中立化に国際的な保
障を与えるため、国際連盟理事
会は、あらゆる加盟国に対して
協定の内容を知らせ、諸国家が
平和のためにオーランド諸島の
法的地位を尊重するよう努めな
ければならない。
1940年、フィンランドとソ連は、「オ
ーランド諸島の非武装に関する条約」を
締結します。
この条約が結ばれたことによって、
オーランド諸島の非武装に関して、ソ連
も義務を果たすことになりました。
スウェーデンに長らく支配されてきた
フィンランドとしてはオーランド諸島を
スウェーデンに帰属させたくないという
国家としての領有維持論と、スウェーデ
ン語を話し、スウェーデン文化の中にい
るスウェーデン人の島がどうしてフィン
ランド領であり続けなければならないの
かという住民としてのスウェーデン帰属
論との対立を、どう折り合わせるか非常
に難しい問題を解決したのは、次のよう
な内容です。
① オーランド諸島は、高度な自治権
を持つ。
② オーランド諸島の議会は、外交や
司法以外の広範な分野で、独自の立
法権を持つ。
③ オーランド諸島の自治政府は、独
自の予算編成権を持つ。
④ 公用語は、スウェーデン語のみと
する。
⑤ フィンランドの兵役義務を果たす
代わりに、民事行政に勤務する権利
を持つ。
⑥ オーランド諸島は、非武装・中立
を貫く。
⑦ オーランド諸島は、フィンランド
に帰属する。
スウェーデンに帰属したいとする意見
が圧倒的だったオーランド諸島の住民は、
今日では大半が現状維持を望んでいるよ
うです。「高度な自治」と「武器も基地
も無い平和」と「経済発展」が、しっか
り結びついているからでしょう。
詳しくは、『月刊 学びあう輪 武器も
基地も無い平和 スヴァールバル諸島と
オーランド諸島』をお読み下さい。
前回の問題 解答
愛知県と岐阜県の境にあたる中央本線
のトンネル区間は、「愛岐トンネル群」
と呼ばれています。
今日の問題
オーランド諸島は、武器も基地も無い
平和を、何年間続けているでしょう。
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