年の瀬の里山

 年の瀬の里山は、ひっそり静まりかえって
います。
 紅葉も黄葉も舞い散り、針葉の緑もくすんで
います。
 色あせた里山で、一種だけ気を吐いているのは、
カラスウリの実。
 秋半ばから色づいたまま、冬半ばに
さしかかろうとしている年の瀬に至っても、
真っ赤に輝き続けています。
 夏に咲く花が開くのは、夜の間だけ。
 夜に里山を歩かないため、花を見ずして
秋になり、実がなって初めてカラスウリの
存在に気付く繰り返しでした。


 こんなに目立っているのに、鳥にも虫にも
食べられず、色あせていきます。
 
   黄葉の散りゆくなへに玉梓の
    使を見れば逢ひし日思ほゆ
          『万葉集 第209首』
      「玉梓」は、カラスウリの古名です。
 冬の足音が声高になるつれ、カラスウリの実は、
しわがより、やがて朽ちていきます。


   starblue 前回の問題 解答 starblue
 一 A 競 B 双 C 朋 D 赫 E 棘
 二 左右が同じ
     starpink 今日の問題 starpink
   黄葉の散りゆくなへに玉梓の
     使を見れば逢ひし日思ほゆ
 この歌の作者はだれでしょう。
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