紫色の実  ムラサキシキブ

 降り続く雨の中、ムラサキシキブ
鮮やかな紫色の実を結んでいます。


 紫色は、色の階級では赤色を超えて、
最上位に位置してきました。
 その変位を、孟子は良く思わなかったようです。
「紫の朱を奪うを憎む」と、論語にあります。
 日本で紫色を最上位としたのは、
律令制度が整ってから。
 平安時代に入ると、藤原氏の「藤」と
相まって、紫色の位置は絶対的になります。
 赤色と青色を混ぜると、紫色ができます。
 赤色は、活力が漲り、情熱的なイメージ。
 青色は、興奮を鎮め、抑制的なイメージ。
 紫色は、中庸をいく、穏和なイメージ。
 その紫色は、古くから愛されていました。
 たとえば、『万葉集』から二首。
 託馬野に生ふる紫草衣に染め
  いまだ着ずして色に出でにけり
                第395首
 紫草を草と別く別く伏す鹿の
  野は異にして心は同じ
           第3099首
 紫色といっても、じつは幾種にも別れます。
  紺青色=さえた青紫
  瑠璃紺=ふかい青紫
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  杜若=赤みのふかい紫
  鳩羽鼠=赤みの灰紫
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 これら幾種もの紫色を、身近に
親しめるようになれば、すてきですね。
 

    starblue前回の問題 解答 starblue
 「中秋の名月」を指す「秋の最中」から、
お菓子の「最中」の名が生まれました。
     starpink今日の問題 starpink
 今日、9月9日は、重陽、菊の節句。
 次の、重陽、菊の節句を詠った詩の
作者は、だれでしょうか。
 眼を合わせて独り愁へて臥せり
  菊の酒は誰がためにか調へむ
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